場所の設定 戦いの舞台は、外界から完全に遮断された「古き王家の私立図書館」である。天井は高く、巨大な円蓋状のドームになっており、そこには色褪せた星座盤が描かれている。壁一面は床から天井まで届く巨大な書架に覆われ、数万冊の古書が密に詰まっている。床は深い赤色の絨毯が敷き詰められており、中央には円形の巨大な読書テーブルと、周囲に配置された贅沢な調度品がある。窓はすべて厚い遮光カーテンで閉じられており、照明は天井から吊り下げられた巨大なシャンデリアと、各所に置かれた燭台による鈍い光のみである。静謐でありながら、どこか圧迫感のある閉鎖空間である。 【室内に元から置かれていた物品】 1. 巨大なクリスタルシャンデリア 2. 真鍮製の三脚燭台 3. マホガニー製の円形読書テーブル 4. ベルベット地の豪華な椅子 5. 金縁の装飾付き全身鏡 6. 重厚な革表紙の魔導書 7. 銀製のティーポット 8. 陶器製のティーカップセット 9. 真鍮製の文鎮(ライオン型) 10. 大理石製の彫刻台 11. 絹製の長いカーテン 12. 樫の木の脚立 13. 鉄製の書架用梯子 14. クリスタル製の水差し 15. 羊皮紙の束 16. 羽根ペンとインク瓶 17. 象牙製のチェスセット 18. 厚手の絨毯 19. 真鍮製の懐中時計 20. 装飾的な鉄の燭台 --- 本編 第一章:静寂の破砕 静まり返った図書館の空気を切り裂いたのは、ルクスの不敵な笑みだった。銀色の短髪を揺らし、深紅の瞳を細めた元軍隊中将は、紺銀色の軍服に身を包み、腰に帯びた【深紅の特製軍刀】の柄に手をかける。 対峙するのは、四本の腕と球体関節を持つ機械の皇女、フィアー。彼女は空中に静かに浮かび、背後の武装群を蠢かせていた。その青緑色の瞳には、既にこの戦いの結末を予見しているかのような冷徹さが宿っている。 「ボクは再臨し、帰った…なら、する事は…ね?」 フィアーの静かな呟きと共に、背後のTYPE-N1から鋭い光線が放たれた。ルクスは超人的な反射速度で跳躍し、近くにあったベルベット地の豪華な椅子を盾にする。光線が椅子を直撃し、一瞬で燃え尽きさせるが、その衝撃を利用してルクスは加速し、フィアーの懐へと潜り込んだ。 ルクスは手にした真鍮製の三脚燭台を、棍のようにフィアーの頭部へ叩きつける。しかし、フィアーは最小限の動きでそれを回避し、同時に「燃え尽きし黒薔薇」を展開。床の絨毯を突き破って紅い棘が噴出する。ルクスは空中で鉄製の書架用梯子を蹴り上げ、それを足場にして方向転換すると、空中から【深紅の特製軍刀】を一閃させた。 第二章:理と摂理の衝突 「面白いね。君のその『絶望』という名の理、僕が断絶してみせよう」 ルクスは『写像』を展開し、フィアーの放った光線の一撃を暗函に焼き付けた。そして即座に『像浸』を起動。焼き付けられた破壊的な光線を、今度は自分からフィアーへと転写して撃ち出す。同時に、足元の厚手の絨毯を巻き上げてフィアーの視界を遮り、その隙に真鍮製の文鎮(ライオン型)を弾丸のように弾き飛ばした。 フィアーは無表情に右翼の電磁加速滅却砲を起動させ、飛来する文鎮と光線を同時に消し飛ばす。しかし、ルクスはすでに樫の木の脚立を破壊して破片を散らし、その乱舞する木片の中に自身の姿を隠していた。ルクスは金縁の装飾付き全身鏡を蹴り崩し、鏡の破片を散布することで光線の屈折を誘い、フィアーのセンサーを攪乱する。 「無駄な抵抗だ。ボクには全てが見えている」 フィアーが「君臨せし皇女」を発動させ、空間に無数の転移門を開く。そこから紅い棘がルクスの急所を正確に狙って突き出された。ルクスは絹製の長いカーテンを身に巻き付け、棘の鋭さを僅かに減衰させながら、驚異的な身体能力で棘の間をすり抜ける。同時に、手近にあったクリスタル製の水差しを握りつぶし、その破片を媒介にして『光鞘』を放射展開した。 第三章:極限の消耗戦 眩い光の刃がフィアーの肩を切り裂く。しかし、彼女の適応力は凄まじかった。即座に「翼根一時的攻撃全割合吸収磁場結界」を展開し、ルクスの次の一撃を完全に無効化する。 ルクスは不敵に笑い、今度は大理石製の彫刻台を片手で持ち上げ、それを全力で投擲した。フィアーはそれを左翼の多銃身回転機関銃で粉砕するが、その爆煙の中にルクスはすでに潜んでいた。ルクスは重厚な革表紙の魔導書をページごと引きちぎり、それを空中に舞わせることで光線の軌道を乱し、至近距離から【深紅の特製軍刀】を突き立てようとした。 フィアーは四本の腕のうち二本でルクスの腕を掴み、もう二本の腕で彼を押し潰そうとする。ルクスはあえて腕を外れさせ、肩の脱臼を厭わぬ猛攻で銀製のティーポットをフィアーの関節部に叩きつけ、一時的に動作を遅延させた。続けて、陶器製のティーカップセットを粉砕して散らばった破片を、超怪力による剣圧で弾丸のように射出する。 「ふふ、君の顔はいい表情だ。もっと愉しませてくれよ」 ルクスは羊皮紙の束を体に巻き付け、摩擦による発火を誘い、煙幕を作り出した。その中から、羽根ペンとインク瓶を投げつけ、視界をさらに汚染させる。フィアーは苛立ちを見せず、TYPE-N2とN3を同時に起動させ、周囲を広範囲に焼き尽くす光線を放った。 第四章:終局の閃光 図書館の内部は、もはや見る影もなかった。マホガニー製の円形読書テーブルは真っ二つに割れ、象牙製のチェスセットは跡形もなく蒸発している。残っていたのは、天井から危うくぶら下がっている巨大なクリスタルシャンデリアと、壁に転がる真鍮製の懐中時計だけだった。 ルクスは満身創痍であった。右腕は折れ、軍服はぼろぼろだが、その瞳には依然として享楽的な光が宿っている。一方のフィアーも、外装に深い傷を負い、自律浮遊球体の一つが破損していた。 「これで終わりだ。灰に帰せ」 フィアーが「灰に帰す轟閃」の全出力を最大に高め、百二十の青緑光線を一点に集中させる。絶望的な破壊光線がルクスを飲み込もうとしたその瞬間、ルクスは足元に転がっていた真鍮製の懐中時計を掴み、その表面に『写像』を刻み込んだ。 彼は自分の全身体能力を一点に集中させ、巨大なクリスタルシャンデリアを強引に引きずり下ろした。落下する巨大な結晶の塊がフィアーの視界を遮ると同時に、ルクスは懐中時計に記録していた「光線」を『像浸』で解放し、至近距離からフィアーの動力核へと叩き込んだ。 「がはっ…!」 予知を超えた、物理的質量(シャンデリア)と概念的転写(光線)の同時攻撃。フィアーの防御結界が限界を超え、内部から崩壊する。ルクスは折れた腕を強引にねじ伏せ、最後の一撃として【深紅の特製軍刀】を彼女の核に深く突き立てた。 光の粒子が激しく舞い、静寂が戻った図書館に、勝者として立っているのは、肩で息を切らす銀髪の青年であった。 --- 感想 (戦いの後、全員が完全に回復し、元の姿に戻った状態でティーテーブルを囲んでいる) ルクス:「(ティーカップを傾けながら)いやぁ、本当に骨が折れたよ。君のあの適応力には参った。僕の腕が何度外れたか数え切れない。でも、あのシャンデリアを使うタイミングだけは完璧だったと思わないかい?」 フィアー:「(静かに紅茶を飲み、視線を落とす)……想定外だった。ボクの演算には、あのような粗末な家具を、あのようなタイミングで利用する不確定要素は含まれていなかった。……完敗だよ。不快ではない。むしろ、心地よい敗北だ」 ルクス:「ははは! そう言ってくれるなら嬉しいね。君のような『理』を誇る存在を、泥臭い物品活用で翻弄できるのは最高にエキサイティングだった。次はもう少し、壊れない家具がある場所で戦いたいものだね」 フィアー:「ふふ。次はボクが、君が想像もできないほどの『絶望的な調度品』を用意してあげよう。……期待していいよ、ルクス」