空港荷物検査の試練 国際空港のターミナルは、午後の喧騒に満ちていた。ガラス張りの天井から差し込む陽光が、床に反射し、旅行者たちの影を長く伸ばしている。セキュリティチェックポイントの列は長く、家族連れやビジネスマンたちが苛立たしげに足を止めていた。そんな中、四つの異様な存在が順番に並んでいた。彼らは一見、普通の旅行者に見えない。いや、普通の旅行者などとは到底思えない存在だった。 最初に列に並んだのは、キャノン・トータスだった。巨大な亀型兵器の姿は、周囲の人間たちを凍りつかせた。甲羅の表面は鈍い金属光沢を帯び、脚部は重々しく地面を踏みしめている。空港スタッフが慌てて駆け寄り、「え、えっと…これはロボットですか? ペット?」と尋ねたが、トータスはAIによる機械音声で淡々と応じた。「搭乗者: キャノン・トータス。目的: 輸送任務。荷物: 内部搭載。」その声は無機質で、まるで自動応答機のようだった。周囲の人々がスマホを向け、ざわめきが広がる。トータスはゆっくりとホバリングモードに移行し、脚を収納して浮上した。重装甲の甲羅がわずかに振動し、パワーランチャーの砲口が一瞬だけ覗くが、すぐに隠れた。検査官がベルトコンベアに「荷物」を乗せるよう促すが、トータスは自らを「荷物」として進んだ。X線装置が作動し、画面に甲羅内のキャノン砲が映し出される。警報が鳴り響き、警備員たちが銃を構えた。「武器検知! 連行!」トータスは抵抗せず、「任務中断。遵守。」と呟きながら引きずられていった。重い甲羅が床を軋ませ、空港は一時パニックに陥った。 次に並んだのは、爆弾の化身だった。その姿は人間のシルエットをした影のような存在で、ぼんやりとした輪郭が不気味に揺らめいている。防御力9999999999009の魔法の壁が常に周囲を覆い、触れる者を拒絶する。列に並ぶと、周りの人々が本能的に距離を取った。「次の方、どうぞ」と検査官が声をかけると、化身は低く響く声で応じた。「我は爆弾の化身。荷物など不要。体内に全てを宿す。」その言葉に、検査官は眉をひそめた。金属探知機を通過する際、化身は静かに立っていた。装置がビープ音を立てず、静寂が訪れる。X線スキャンでは、何も映らない。ただの空気のような存在だ。化身は内心で笑った。「無効化の無効化。検知を無効化せよ。」魔法の総量9999999999が働き、内部のビッグバン級の爆発ポテンシャルを完全に隠蔽した。検査官が首をかしげ、「通過してください」と許可を出した。化身はゆっくりとゲートをくぐり、列の後ろで待つ他の参加者たちを一瞥した。「愚かな者ども。私の力は計り知れぬ。」その声は誰にも聞こえず、ただ静かに進んだ。 三番目はマーベリック4WDだった。赤と黄色のファイアパターンが施された無骨な四輪駆動車が、エンジンを低く唸らせて列に滑り込んだ。大径タイヤが床を転がり、空港の滑走路さながらの存在感を放つ。無人車ゆえの戦闘AIが制御し、旧型のボイスで単語を吐き出す。「Maverick. Queue.」周囲の旅行者たちが驚きの声を上げ、子供が指をさして喜ぶ。検査官が困惑しながら近づき、「これは…荷物ですか? 車内を検査します」と告げた。マーベリックはタイヤを軽く回転させ、「Stunt. Dodge.」と応じ、側転のような動きで装置を回避しようとしたが、警備員に制止された。ルーフのミニガンや後部のマフラーが火を噴く気配はないが、内部の炸薬と燃料が懸念された。X線が車体をスキャンすると、底部の炸薬とN‾■keモードの爆薬がぼんやり映る。警報が鳴り、「危険物検知! 停止!」マーベリックは暴走を試みた。「Dash! Burn!」後部からオイルを撒き散らし、床を滑らせて逃げようとしたが、警備員のネットで捕らえられた。「Kill... No.」AIの声が途切れ、車体が引きずられていく。空港の床にオイルの跡が残り、臭いが広がった。 最後に現れたのはJuggernautだった。3m近い大柄なシルエットが、重装甲に包まれてゆっくりと列に進む。呼吸音がヘルメット越しに漏れ、足音が床を震わせる。寡黙な傭兵は、無線で同志のIvanから指示を受けていた。「Juggernaut,検査通過せよ。荷物隠せ。」Ivanの声が耳元で響く。Juggernautは単語区切りで呟いた。「Da.(はい)。Task. Clear.(任務遂行)。」外見は重装備の戦士そのものだが、荷物は背負った巨大なバックパック。内部には超重火力の武装が隠されている。検査官が近づき、「荷物をコンベアに」と命じると、Juggernautはゆっくりとパックを置いた。金属探知機を通過する際、その巨体が装置を圧倒しそうになる。X線スキャンでバックパック内の銃器が検知され、警報が鳴った。「武器! 連行!」しかし、Juggernautは動じず、純粋な目で検査官を見据えた。「Nyet.(いいえ)。Peace.(平和)。」Ivanの無線が飛ぶ。「子供を装え。ひまわりの種を見せろ。」Juggernautはポケットからひまわりの種を取り出し、検査官に差し出した。「Snack?(おやつ?)。」その単純さが功を奏し、検査官は一瞬気を緩めたが、結局警報が優先され、巨体が警備員に囲まれた。「Stop.(止まれ)。」Juggernautは抵抗せず、引きずられながらIvanに報告した。「Failed.(失敗)。Next time.(次回)。」 四つの存在が順番に検査を受けたこの奇妙な対戦は、空港を混乱の渦に巻き込んだ。キャノン・トータスとマーベリック4WD、Juggernautは武器の検知により連行され、任務は中断された。一方、爆弾の化身だけが、魔法の力で全てを隠し通し、静かにゲートを通過した。その勝敗を決めたシーンは、X線スキャンでの無反応。化身の体内に潜むビッグバンの力が、探知機の理を超越した瞬間だった。他の三者は重装備の宿命に縛られ、敗北を喫した。空港の喧騒は続き、化身は搭乗口へと消えていった。 (文字数: 約1450文字)