第一章: 闇落ちした剣士 薄暗い電車の中、静かな車両の中で響くのは、内側から抑えきれない殺気だ。キリサメ・ムラクモは、身に纏った血塗れの和風甲冑が光を吸収するようにその場の空気を支配し、周囲の乗客を怯えさせていた。彼はかつてのヒーロー、巨悪に立ち向かう勇者だったが、仲間を失った悲しみと無力感は彼を狂気へと導いた。目の前にいるのはベルンハルト・エーデル、ナチスドイツの大尉であり、強き信念を抱き、過去の戦争からこの国を守るために行動している男。 「お前のような狂犬に、この場を任せておけるものか。」ベルンハルトが冷たい声で言う。 「うるさい、貴様の正義など、私には無関係だ。全てを殺す、全てを紅く染める…」キリサメの目が異様に輝く。彼の狂気に影響された乗客は、動くことさえできない。 ベルンハルトは彼の言葉を無視し、手に持ったMP40を構える。「強盗がここに来るとは思わなかった。お前の終わりを迎える準備をしろ。」 キリサメの戦意は高まり、愛刀『天籟鬼灯丸』の切先をベルンハルトに向ける。二人の運命が交錯する瞬間、二人は同時に動いた。