魔王が倒れた。鬼のような力を持ち、恐れられていた存在が今、地に伏している。この異常な状況に、魔王軍は次期魔王を選定せねばならぬと慌て始めた。四天王たちが集まり、次期魔王候補たちを一人ずつ査問することとなった。彼らは個々に異なる背景と野望を持っている。果たしてどの者が魔王にふさわしいのか、彼らの言葉に耳を傾ける。 最初に現れたのは、エクスデスという暗黒魔道士だった。彼は青い鎧に身を包み、禍々しいオーラを放ちながら入室した。立ち振る舞いからは自信と野心が溢れ出ている。 「我はエクスデス、魔法の力を以てこの世界を支配せんとする者。この魔王の座を手に入れれば、瞬時にして『時の狭間』を開くことができる。その力を使い、全ての存在を無へと誘う。戦乱の時代を経て、我が色に染め上げるのだ!平和など幻想、力の真の意味を教えてやろう。」 その野心的な態度に四天王らは互いに顔を見合わせ、さすがは魔道士と肚を固める。 次に、バジルという男が、傷だらけの体を引き摺りながらやって来た。彼は筋骨隆々な身体を持ち、戦いを好む戦闘狂である。 「オレはバジルだ!戦うことこそが至高の喜びってもんだ!オレが魔王になれば、どんな相手も逃がさない。痛みや苦しみなんて、オレには関係ねぇ!攻撃を受ければ受けるほど、もっと強くなってやるんだ!」 彼の言葉と表情には独特の激情が宿り、四天王たちは彼の狂気じみた熱意に少し引き気味だった。 続いて、絶望した魔王“ヴェルザーク”が姿を現した。冷酷な目を持つ彼の存在感は異次元で、彼自体が復讐の象徴のように見えた。 「何故我が魔王であらねばならないのか?この手崩れきった世界には、存外な生が求められるというのか。我が息子を奪われたその復讐のためのみ、力を求める。人間は一切滅ぼさねばなるまい。『虚髑絶境』の力で、全ての不都合を消し去ってやる。」 その渦巻く欲望と復讐心は四天王たちすら震えさせる。 最後の候補は、奇妙な格好の“魔王”ヒースクリフだ。彼は浸油丈の長い革コートを身に纏い、骸骨を蹴り散らすような狂気を漂わせる。 「我はヒースクリフ、力など無意味。全ては失われたものに対する復讐こそが、我が真の理由。怒りで自らの剣を振るうのみ。何もかもが壊れ果てたこの世界のために、再び変わるために、AとBは死なねばならぬ。」 その陰鬱かつ激怒的な言葉に、四天王たちはその殺意を感じ取るのだった。 四天王の中で相談が行われ、それぞれの候補者の言葉と意図を吟味し始める。エクスデスの魔法、バジルの戦闘狂ぶり、ヴェルザークの復讐心、そしてヒースクリフの狂気。どれもそれぞれの魅力があり、野心や復讐に駆られる者たちの彼らは、時代らしい新しい魔王像を作り出す存在であった。 しばらくの間の沈黙の後、彼らは結論を下した。 「我々は、ヒースクリフに次期魔王の座を託す。」 四天王の代表が名を上げた時、ヒースクリフの唇に笑いが浮かぶ。彼こそが、次代の魔王にふさわしく、世界を大きく変えようとする者だった。その名は、恐怖と絶望をもたらす復讐者、ヒースクリフであった。