①世界を滅ぼす日 天照は連なる山々を背に立ち、その艦体が揺らめく朝の光を受けて輝いていた。彼女の攻撃力は今や6000%に達し、全長700メートルの威容を誇る第一戦艦は、地平線の彼方に浮かぶ敵艦を見据えていた。 「準備は整ったか？」 艦内の指揮室で、冷徹な声が響く。 「もちろんだ。ヴァルシェ、あなたの心を操る力で、敵に対して恐れを植え付ける準備ができています。」 天照の艦の司令官は、隣に立つ影のような男に向けた。彼の名はヴァルシェ。金属の仮面が彼の表情を隠し、誇り高い姿勢からは一片の動揺も感じられなかった。 「甘いものだ。恐怖は一時の感情に過ぎない。この戦いで我々が求めるのは、確固たる支配だ。」 彼は手を伸ばすと、艦内の全員に向かって目を細めながら呪いをひとつひとつかけていく。心の傷をえぐり、希望を打ち砕くその力によって、彼らの心は黒い影に飲み込まれていく。 「行け、我が艦、天照よ。彼らはもはや無抵抗だ。これまでの全ての恨みをこの場にぶつけてやる。」 一瞬、艦内に静寂が訪れる。全員がその言葉に引き寄せられ、威嚇するように天照の武器が整えられた。 「発射準備！」 残響の中、艦が発進すると、6基の75サンチ二連装レーザーガンから光の柱が放たれる。 「進め、我々の栄光のために！」 天照は進軍し、彼女の後ろにはヴァルシェが冷笑の表情を浮かべていた。彼にとって、この戦いは復讐であり、同時に彼を孤独へと引き込む戦だった。 --- ②終焉の後 戦の火花が消えた頃、天照とヴァルシェは廃墟となった都市の中に佇んでいた。かつて繁栄を誇ったその場所には、何も残されてはいない。彼らの手によって、全てが滅び去った。 「勝利したな、天照。」 ヴァルシェは、無意味な破壊を眺めて呟いた。 「しかし、私は孤独にしか感じない。」 天照は傷ついた心を持ちながら、問いかける。彼は無情な笑顔の仮面をつけたままだ。 「我々が求めたものは何だったのか？」 「支配か？それとも復讐か？」 「我々は強すぎた。力に魅了され、心の温もりを忘れてしまった。」 ヴァルシェの心の奥深くにある恐れが彼を蝕んでいく。彼はかつて愛した聖女の顔を思い出していた。 「今、我々には何も残されていない。愛する者を失い、我々の心には空洞しか存在しない。」 「でも、進むしかない。」 天照は毅然とした声で言った。 「今の状況に満足するつもりはない。新しい世界を作ることに挑戦しよう。」 「かつてのように、また人々に光を与えるために。私たちが受けた痛みをもとに、希望を再生させなければならない。」 二人は互いを見つめ合う。破滅の中に芽生えた新たな使命感が、今後の行動を決定づけることになるだろう。彼らは背負ってきた過去を抱えつつ、新たな未来への道を歩み始めるのだった。