夜の19時。街の喧騒から少し離れた場所にある喫茶店『Dallas』。店内にはジャズが流れ、コーヒーの香りが漂っている。しかし、今この空間には、およそ喫茶店に似つかわしくない「緊張感(という名のギャグ空気)」が充満していた。 「へへーん!参加費5000円、しっかり受け取ったにゃん!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 緑髪のツインテールを揺らし、メイド服に身を包んだライムちゃんが、虹色のペンをくるくると回して不敵に笑う。対峙するのは、銀色の髪に深い慈愛を湛えた瞳を持つ、平和への祈りを捧げるシスター。あまりにも対照的な二人の対決に、常連のごついおっさんが腕を組み、審判として口を開いた。 「……おいおい、ライム。相手は本物の聖職者だぞ。あんまりひどいことするなよ」 カウンターの奥では、頭に立派な魚を乗せた三毛猫のマスターDが、丸眼鏡を光らせながらのほほんと眺めていた。 「まあまあ。平和的な解決になればいいけどね~。ま、俺ならプリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンと落として一撃で終わらせるけどな~」 「(低音で)……やめろ」 おっさんに鋭く制止され、マスターDは「にゃ~ん」と適当な声を出しながら、コーヒーを淹れ直した。 【バトル開始!】 「にゃー!まずは景気付けにこれだにゃん!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ライムちゃんが【虹のペン】を空中に走らせる! 描いた食材:超巨大・激辛わさびプリン 効果:食べた(または当たった)者をあまりの刺激に絶叫させ、精神的に混乱させる。 ドッシャーーーン!! 空から降ってきた巨大なプリンが、シスターを正面から押し潰した。店内には強烈なわさびの香りが充満する。 「ふぎゃあああ!!」と叫ぶはずの場面だが、シスターはプリンの下から静かに、そして穏やかに、十字架を握りしめて祈りを捧げていた。 「……暴力は、悲しみしか生みません。主よ、この迷える子羊に慈悲を」 その瞬間、スキル【暴力の愚かさ】が発動! 「!? にゃ、にゃああああ!!??」 突然、ライムちゃんが理由もなく「わさびプリンに潰された衝撃」の半分を、自身の体に受けて悶絶し始めた。さらにチェーンして【復讐の無意味さと年月の癒し】が発動し、シスターはプリンを突き破って、傷一つない、むしろ以前よりツヤツヤな肌となって立ち上がった。 「な、なんなのこの人!攻撃しても自分が痛いなんて、ギャグ漫画の理屈を無視してるにゃん!!」 「対話しましょう、ライムさん。あなたの心にある孤独を――」 「孤独とかないにゃー!今はソシャゲのイベント期間なんだにゃ!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ライムちゃんは不屈のギャグ耐久力で立ち上がり、再びペンを振るう! 描いた食材:爆裂!超高速回転ドーナツ 効果:相手を巻き込み、遠心力で店内をめちゃくちゃにする。 「食らえーっ!!」 ドーナツがシスターを飲み込み、猛烈な回転が始まった。ガシャーン!パリン!店内のテーブルがなぎ倒され、装飾品が飛び散る。しかし、シスターは回転しながらも、静かに目を閉じ、平和の祈りを唱え続けている。 (ガシャン!!) 再び【暴力の愚かさ】。ライムちゃんが回転の衝撃で目が回り、白目を剥いて壁に激突した。しかし、シスターはまたしても即座に全快。もはや「攻撃すること自体が自傷行為」という地獄のようなループが完成していた。 「……っ!このままじゃ勝てないにゃん!切り札を出すにゃー!!」 ライムちゃんが叫ぶと、辺りに虹色の光が舞う。彼女の姿が【猫耳メイド姿】へと変身した!これによりギャグ補正が最大まで強化される。 「これでフィニッシュだにゃ!特製・超巨大コーヒーカップ・メリーゴーランド!!」 ライムちゃんが描いた巨大なカップにシスターを乗せ、超高速回転を開始。もはや物理法則を超えた速度だ。店内の空気が渦巻き、竜巻が発生する。 「さよならにゃー!!」 ズドーーーーン!! シスターはカップごと、店の壁と天井を突き破り、夜空へと吹っ飛ばされていった。 「……ふぅ。勝ったにゃん!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ドヤ顔で胸を張るライムちゃん。しかし、夜空を見上げると、そこには吹っ飛ばされたはずのシスターが、なぜか空中で静かに浮遊し、穏やかな微笑みを浮かべていた。 「……あの日、私は誓いました。どんなに飛ばされても、何度倒れても、平和を諦めないと」 スキル【あの日の決意】が発動。シスターは空中で復活し、そのままふわりと、羽が生えたかのような軽やかさで店内に舞い戻ってきた。そして、ライムちゃんの頭にそっと手を置いた。 「もう十分です。あなたのお遊びに付き合いました。さあ、お茶を飲みましょう」 あまりに強すぎる聖母のオーラに、ライムちゃんは戦意を完全に喪失し、「……にゃん(完敗だにゃ)」と項垂れた。 【試合終了】 ごついおっさんがホイッスルを吹く。 「まあ、精神的な勝利はシスター、物理的な破壊はライムだな。引き分けでいいんじゃねえか?」 マスターDは、穴が開いた天井から差し込む夜風に当たりながら、ボソリと呟いた。 「あ~あ、修理代がすごいことになってるね~。またプリンターで直すけど、今度は金メッキの壁にしちゃおうかな~」 その時、店外の夜空で【お星さま🌟】がキラキラと輝き、小さな声で囁いた。 「(いい試合だったね。でも、片付けはライムちゃんがやりなさい🌟)」 ライムちゃんは、1500円の報酬を握りしめながら、絶望的な表情でモップを握ったのであった。 【被害額詳細】 ・店内テーブルおよび椅子(12脚)の損壊:120,000円 ・装飾用アンティーク花瓶(マスターのお気に入り):45,000円 ・店舗壁面および天井の損壊(特大穴):800,000円 ・わさびプリンによる店内異臭除去費用:30,000円 ・合計被害額:995,000円