闘技場決戦:超重装タンク vs. 無敵合金機 砂塵が舞う石造りの闘技場。外壁の巨大な破片が散乱し、かつての栄光を物語る廃墟のような場に、観客の熱狂的な歓声が響き渡る。中央の実況席では、マイクを握ったごつくて荒々しいおっさんが立ち上がり、全身を震わせて叫ぶ。 「オレはごつくて荒々しい実況のおっさんだああ!! 激戦を愛するこの闘技場で、今日も魂を燃やして実況するぜええ!! 審判も兼ねるオレが見届ける、チームAの【超重装絶対無敵装甲完璧装機】ガラハット・ナイスミドル対チームBの【アンブロークン・マテリアル】ビル・レプテルタインの死闘だああ!! さあ、始まるぞおお!!」 実況席の左側に座るのは、チームAの専門家。重装甲メカニックの権威、ドクター・アイアンフィールドだ。右側はチームBの専門家、合金工学の第一人者、プロフェッサー・メタルシェイド。二人とも簡潔に自己紹介する。 「私は重装甲メカニックのドクター・アイアンフィールド。ガラハット機のD・ソーダ装甲の衝撃吸収メカニズムを専門に研究してるぜ。」 「合金工学のプロフェッサー・メタルシェイドだ。ビル機のプロテウス合金の共振散逸特性について、詳しく解説するよ。」 闘技場の中央に、二つの巨影が現れる。チームAのガラハットは、巨大な人型機体「モスタン」に搭乗。鈍く輝く装甲板が全身を覆い、両腕のマシンガン「ハーゲイツ」が低く唸りを上げる。胸部の防空機関砲「ファインズ」が空を睨む。対するチームBのビルは「ゼクスゼウス」に乗り込み、右手のライフル「オグンⅢ」と左手の戦鎚「ヴォルトアックス」が不気味に光る。プロテウス合金の表面は、まるで液体のように微かに揺らめいている。 「モスタンは無敵だぜ! ヒャッハー!!」ガラハットが機体のスピーカーから叫ぶ。ビルは冷静に、「プロテウス合金は外圧による加工・切断が困難な機能性複合材料だ。接触面に共振を起こして衝撃を散逸させる。融点は660℃……アルミニウム由来の弱点だが、理論上は無敵の装甲さ」と独り言のように呟き、銃口を向ける。 「試合開始だああ!! 両者、突撃ぜええ!!」実況のおっさんがマイクを叩きつけるように叫ぶ。砂地が爆ぜ、モスタンが重い足音を響かせて前進する。回避などせず、真っ直ぐにビルへ向かうその姿は、動く要塞そのものだ。両腕のハーゲイツが火を噴き、2000発の弾幕が砂煙を巻き上げてゼクスゼウスを襲う。 「うおおお、ガラハットの弾幕が凄まじいぜええ!! モスタンの重火器、装弾数潤沢で止まらねえ!!」実況が興奮を爆発させる。ドクター・アイアンフィールドが頷く。「その通りだ。モスタンは防御特化の重量級タンク機。高い防御力を頼りに、回避せずに撃ち続けるスタイルさ。D・ソーダ装甲の衝撃吸収性は抜群で、被弾しても結晶成長で即座に再生する。良点は耐久の無限ループだが、悪点は増す重さで機体フレームが悲鳴を上げる点だな。まだ彼は気づいてないが。」 ゼクスゼウスは弾幕を浴びながらも、微動だにせず前進。プロテウス合金の表面が振動し、弾丸の衝撃を波のように散逸させる。「効かねえな、この合金は!」ビルが笑う。右手のオグンⅢが反撃。プロテウス合金弾が高速で発射され、モスタンの装甲に直撃する。爆音が闘技場を震わせ、砂塵が舞い上がる。 「ビルが反撃だああ!! オグンⅢの合金弾がモスタンを抉るぞおお!!」実況が飛び跳ねる。プロフェッサー・メタルシェイドが解説を加える。「プロテウス合金弾は、被弾面で共振を誘発し、内部まで衝撃を伝播させる優れもの。ゼクスゼウスの装甲も同じ素材で、理論的には無敵のはずだ。接触時の摩擦熱を散逸するが、良点は切断困難な耐久性。性分としては、精密な打撃を好むビルに合ってる。ただ、悪点は被弾の蓄積熱だ。融点660℃を超えると溶ける……設計ミスを彼は知らんよ。」 モスタンは合金弾の直撃を受け、胸部のファインズが自動迎撃を開始。防空機関砲が空を切り裂き、飛来する弾を次々に撃ち落とす。だが、一発が装甲に食い込み、D・ソーダが光を放つ。衝撃を吸収し、結晶が表面で成長。装甲が厚みを増し、重さが加わる。「ヒャッハー! モスタンの装甲が強くなるぜ! 無敵だああ!!」ガラハットが哄笑する。 砂地を蹴り、ゼクスゼウスが接近。左手ヴォルトアックスを振り上げ、モスタンの肩を叩きつける。プロテウス合金の戦鎚が唸りを上げ、衝撃波が闘技場の破片を吹き飛ばす。モスタンの装甲が軋むが、D・ソーダが即座に修復。結晶が広がり、鎚の衝撃を吸い取る。「ぐおおお、接近戦だああ!! ヴォルトアックスがモスタンを粉砕する勢いぜええ!!」実況が喉を潰さんばかりに叫ぶ。 「ガラハットの技術は荒削りだが、装甲の再生速度は見事だ。被衝撃を糧に堅さが増すのは天才的。でも、重さが増えすぎると機動性が落ちる悪点が出るぞ。」ドクターが分析。メタルシェイドが続ける。「一方、ビルのアックスは合金の加工困難性を活かした一撃必殺。散逸特性で反動も少ないが、摩擦熱が蓄積中だ。ゼクスゼウスの表面温度が上がってるのが見える。まだ気づかず、攻め続ける性分が仇になるかもな。」 戦いは激化。モスタンが両腕を振り上げ、ハーゲイツの弾幕を至近距離で浴びせる。ゼクスゼウスは合金弾で応戦し、ヴォルトアックスで装甲を削る。闘技場の砂が血のように赤く染まり、外壁の破片が砕け散る。モスタンの装甲は結晶で覆われ、怪物のように膨張。だが、フレームが微かに悲鳴を上げ始める。重さが増し、足元が沈む。「モスタンは無敵……無敵だぜ!」ガラハットの声に焦りが混じる。 「熱いぜええ!! 両者ボロボロだが、止まらねえ!!」実況が汗だくで叫ぶ。ビルが再び説明。「プロテウス合金は共振で衝撃を散らすが、連続被弾で熱が溜まる……いや、そんなはずは!」ゼクスゼウスの関節が赤く輝き始める。オグンⅢの連射が続き、モスタンのD・ソーダを貫通しかける。 突然、モスタンのフレームが限界を迎える。結晶成長の重さに耐えきれず、肩部が崩壊。装甲板が剥がれ落ち、内部が露わに。「な、何だこれ!?」ガラハットが叫ぶ。ゼクスゼウスも熱蓄積で装甲が軟化。ヴォルトアックスが溶け始め、機体が傾く。「熱が……融点を超えただと!?」ビルが愕然とする。 「決着だああ!! 両者、自滅の渦中ぜええ!!」実況が絶叫。審判のおっさんが旗を振る。闘技場に静寂が訪れ、砂塵がゆっくりと降り積もる。勝敗は引き分け。両機体は廃墟のように崩れ落ちる。 戦闘後、実況席で専門家が感想を語る。ドクター・アイアンフィールド:「ガラハットのD・ソーダは革新的だったが、重さの自壊リスクを甘く見た。防御の極みは、時に自らの墓を掘るんだな。」 プロフェッサー・メタルシェイド:「プロテウス合金の無敵神話は、熱管理のミスで崩れた。ビルの精密さは評価するが、理論の盲点を埋めないと、ただの鉄屑さ。次は改善を期待するよ。」 闘技場に観客の拍手が響く。無敵の夢は、砂に埋もれた。