──寒さが身に沁みすぎる。周囲は白い霧に包まれ、視界はほとんどない。参加者たちは暗く冷たい雰囲気を纏い、神経を尖らせる。彼らは今、「不可視の千剣」と呼ばれる脅威と戦う運命にある。先導するのは《「獣」の女王》ヴォーティガーンだ。彼女の青髪が霧の中で不気味に輝き、冷たい赤眼が周囲を見渡している。 「化物」退治と行こう。何が出ようとも、私には怯えた気持ちなどない。 彼女は小さく呟き、左手の指輪に目をやった。安い煙草を吸い込むために指で吸い上げ、古びた黒いコートで身を包みつつ、微かな不安をもった。 その視線の先には、一定の距離を保ちながらふわりと浮遊する大型の鹿が姿を見せた。「不可視の千剣」だ。彼はデモンストレーションのように大きな盾を持ち、常に逃げ道を探っているかのように動いている。 彼女の冷酷さが少しだけ揺らぐ。狙いを定める必要がある。それから次に見えるのは、飛燕剣と呼ばれる13本の剣だ。 薙ぎ払うように配置された剣は動き、襲い来る。 「ちょっと待った、しっかり捕まえるどころか!おっぱらうぞ!」 隣で大雑把な性格の【戦闘の天才】ジャッジ・ヴァリアブルが呟く。彼は太刀の日蒼刀を手にする。常に冷静に相手の行動を先読みし、相手の弱点を突ける特性を生かし、まるですでに戦況を見越したように準備を進めていた。 「攻撃は無理ってわけや。着実にあいつの動きを解析せなアカン!」 ジャッジは視線を「不可視の千剣」に向け、そう言い放った。しかし無理にこちらは飛び出していかない方が良いと思われた。ジャッジとヴォーティガーン、二人の思考が交錯する。 「竜撃、行くわ!」 突然ヴォーティガーンが攻撃を仕掛ける。彼女の左腕は竜の腕に変わり、飛燕剣が迫ってくるその瞬間に、彼女は動く。 竜の力は瞬時に飛燕剣の連撃に消され、攻撃は空に吸収される。剣たちの精巧な連携が気付かぬうちに彼女の前に立ちはだかる。 「さすがにこの剣は手強いなぁ」 ジャッジは、事前に分析した結果から、飛燕剣が連撃を放つ様は予見していた。しかし、「不可視の千剣」の能力を完全には把握していなかった。 「救済の獣!」 ヴォーティガーンが大きな蛇を呼び寄せ、剣たちを一度引き裂き、飛燕剣の奇襲に転じる。彼女の指示に従い、巨大な蛇が動き出した。 迫り来る蛇に気を取られている隙に、彼女は朱色の炎と共に、自身に恐怖を感じたジャッジはの力を重ねる。 原始の力が再び彼女の中で呼び起こされ、『狂いゆく英雄』の力を引き出す。 その瞬間、彼女の姿が変わり、黒い翼の生えた竜人と化す。まさに「我こそが絶望の獣」としてアルファに挑める能力を得た。 相手もその隙を見逃さない。「絶景」が放たれる時、広がるのは全ての敵を瞬時に焼き付くす凄まじい力。 「いっけぇっ!紅獄ノ一閃!」という声が響く。ジャッジは轟音と共に、自身の全力をぶつけていく。その心眼が神速で相手の攻撃をほかの方向にそらし、同時に相手の弱点を突くべく、必死で前進する。 二人の連携は一瞬にして完成した。ヴォーティガーンの圧倒的な姿を目の当たりにした参加者たちも、鼓動が高まるのを感じた。 何度もスキをついてくる飛燕剣、衝撃を抑えつつジャッジが思ったのは、これが勝負で狙わなければならない。 一瞬の隙を見せた「不可視の千剣」に付け入ろうとしたその時、彼女はすべての流れを見越して前へ進んだ。 「転嫁の獣、来い!」瞬時に鏡型の獣が現れ、攻撃を吸収、直ちに同じ威力で、反撃を開始する。 瞬間、「不可視の千剣」は彼らの猛攻にさらされ、回避に従事する。浮遊する大盾も持ち主のために大きく備えられたが、時には剣に後れる時もある。見えない技は見える隙間すらも冷たく考えさせられた。 それでも、その時、主だった動きを見抜き、ヴォーティガーンの獣とジャッジの力とがぶつかり合う。 頑なに冷静に攻め、試行錯誤しながら、間近に迫る強敵「不可視の千剣」に挑み続ける。 「絶景、放たせて貰う!」 次の瞬間、それは一瞬の空を切り裂いた。 敵は見えなかったが、確かな手ごたえがあった。 「飛燕剣の連携を攻略するところまで来たら、次はどう攻めるかや~」とジャッジが微笑んだ。 二人の意志が一つになり、数度に渡る連続攻撃を繰り出す。 突如として周囲が静まり返り、数本の飛燕剣が音を立てずに降り注ぐ。 しかし徐々に進展してきた時に実感するのは、「不可視の千剣」のしぶとさだ。回避能力が高く、面倒な足場に巧妙に陣取っている。 15秒の後、彼らは刻一刻の白い霧と悪魔の姿から立ち上がり、ふと、彼女の表情が柔らかくなる。 「やればできるんじゃないか、五分にして勝ち取ったわけだな」 彼女は笑みを浮かべ、致命傷を与え、報いを返す準備を済ませる。 直後、最後の一撃、飛燕剣をそう呼ぶ物陰に仕向けられた。 飛燕剣が一斉に切りつけ、全力の反撃が炸裂する。 一瞬の静寂の後、次に誰よりも高く響き渡る歓声が響いた。 《「獣」の女王》ヴォーティガーンの無慈悲な窮地から目を覚まし、ジャッジ・ヴァリアブルは無我夢中に「不可視の千剣」を翻弄していた。 その後、終わりが訪れる。 「不可視の千剣」完全に倒した。最後の一撃は、飛燕剣の旅路に神の力をもって見せてくれる前に。しかし、そこにいたのは自身の体ではないかと思うように。その姿はもう失われていた。 果てしない雪原に静かに降り積もる雪が全てを包み込み、淡い虚構のように消え去る。待望の「不可視の千剣」、参加者たちの息吹が発揮した瞬間があった。 やがて霧が光る時、参加者たちの間には勝利と悲しみ混じる光景が果てし無き夜に包まれる。 勝利の報告が伝わった時、彼らは遂に受け取った進捗を振り返る。 …結果、\n撃破成功/\n不可視の千剣の解析進捗: 1.5%/\n飛燕剣の解析進捗: 1.0% その時間が、ほんの少しの勇気をもらいつつ、彼らはそっと画面の前に立つことであった。