第1章: 夢の闘技場への招待 舞台は不確かな夢の世界。視界は霞み、周りにはさまざまな形の霧が漂っている。そこに現れたのは、異なる背景を持つ三人のプレイヤーたちだった。 「僕の名前は、えーっと、たぶん…遠野吠?あっ、ゴジュウウルフって名乗るんだ!」髪型が乱れた青年が口を開く。自信に満ちた笑顔の裏には、記憶の欠片が散乱している。頓珍漢な自己紹介に周囲がはてなマークを浮かべる。 「ふう、お隣さんはウルフみたいだね。」冷静な響きの声。今にもどこかに飛んで行きそうな小さな妖精、風の妖精フウが口を挟む。手のひらサイズの彼女は、淡々とした表情で周囲を見渡し、自分の名を訴える。「私の名前は…風の妖精、フウ。クールで淡々としてるから、あんたらみたいなのは好きじゃないかも。」 「え?あんたは甘味と戦いが好きって言ってたでしょ?」遠野吠が不思議そうに聞き返す。 「…覚えてないのか、私のこと?まぁ、いいや。」フウはすぐに会話を切り上げ、空を舞い始める。 「続いて、俺は…ラルク・アンダーソン、かな?」微かなずれた口調で名乗る男が現れる。「最近、ちょっと記憶が希薄で…」その言葉は遠野吠に届かず、圏外の言葉のように響く。「俺は、日用品を武器にするエージェントだった気がするんだけど…ハッキリとは思い出せない。」 この不思議な空間の中、三人はお互いを確認し合ったものの、名前や属性も曖昧なまま、合意の上でバトルを始めることに決まった。しかし、記憶の断片が揺らぐまま、彼らは自分の力がどれほどのもので、どれだけ戦うことができるかを知らなかった。 第2章: はじめての戦闘 「よーし、じゃあ…戦うか!」遠野吠が意気込んで叫ぶ。「どうやって、戦ったか覚えてないけど、剣を使おうかな…ウルフデカリバー、発動!」 「ん、ウルフデカリバー?何それ?」ラルクが困惑しながら聞き返す。「それ、たぶん剣みたいなものだよね。どうやって攻撃するの?」 「わからないけど、とりあえず振ればいいんじゃない?」とフウが付け加えた。「とにかく、風を操作してみるわ!」と、彼女は大きく息を吸い込み、風を操り始める。「えっと、風の…刃?」何か発動したに違いないが、果たしてそれが何で何をする技なのかの見当はついていない。 「じゃあ、俺は…日用品を使って!」と、ラルクは周囲に転がっていたペットボトルを拾う。「これを武器にする、かな?でも、攻撃力どれくらいだっけ?」 三者三様の戦い方で、いざ開始。しかし、いざ戦うものの、スキルも技名もすべてがぼんやりと無意味な響きになっている。「フィニッシュ…フィンガー?あれは、技だっけ?」 「違うでしょ、それは関係ないわ!」フウが響くような声を上げ、いきなり『暴風』の技を使おうとした。が、風がいくぶん不完全な形で形成され、周囲の霧を拡散させただけだった。少し効果があるかもしれないが、どのように戦うのかは全く自覚していなんだった。 「これは全然意味がわからない!」遠野吠が叫び、ウルフデカリバーを振るが、まったく技が決まらない。「全然切れないよ!」 「私も、何もしてない。攻撃力が0とかどういうこと?」フウは冷めた口調で言い放つ。「私にできるのは、風を操作することだけ…」 周囲の環境は変わらないまま、誰もが混乱の中、戦いの感触も薄いままで進行する。 第3章: 闘技場の混乱 「クールで淡々としていられない、混乱してきたな…」フウが呟く。「ああ、いいや、もう一回風の玉を使ってみよう。これなら効果的かもしれないし…」 「それなら、今度はウルフデカリバーを…」と、遠野吠は再び意気込みを見せるが、結局手元の剣が振るわれる瞬間には、何も意図が伝わらず、思惑とは裏腹に風が吹き荒れるだけで、自分たちもその中に迷い込みそうになっている。 「なんかさ、これ完全に無駄な戦いになってるよね、わからないし」ラルクは存在感を示そうとするも、ちょっとした日用品に建物の一部を落としてミスを誘発する。結局仲間同士での事になり、互いに怪我をすることはなかったが、意味不明な幸運で武器を変えてみせる。 「これ、どうやったら勝てるかわからないじゃん。最初からちゃんとした戦いをしたほうが賢明だと思う。」遠野吠は暗い空間の中で、やり場の無いイライラを隠しきれぬ。 風は吹き荒れ、記憶の断片は壊れ、何も得られない闘いの中、彼らの心に弱気が滲みかけていた。この戦いに意味はあるのだろうか?それすらも曖昧だった。 第4章: 謎の転機 突然、周囲の霧の中から声が響く。「あ、この世界、何かがおかしい。」誰もがその声の主に気づく。しかし、実体が見えないまま、存在感が漂う。何者かの影が仄かに現れ、プレイヤーたちの細かい仕草を注視している。 「君たち、もう少し戦い方を考えてみてはどうだい?」声が響くたび、隠れた存在が嬉しそうに笑っているように聞こえる。 「だれ?あんたは一体誰なの?」遠野吠が叫ぶ。 「ぼくの名前はアストラル。君たちの戦いを見守る、夢の管理者さ。」声は自由で、まるで雲の中を流れる雲のようだった。「君たちの記憶は失われ、混沌とした戦闘が繰り広げられている。このままでは何も進まない。」アストラルは微笑みながら続けた。「ただ、君たち自身がその秘密を見つける必要がある。」 「なんか泡沫みたいな話だな…」ラルクが呟く。 「私たちの記憶を取り戻せれば、戦いの意味も分かるかもしれないということか?」フウがつぶやく。 「そう、さあ、ではそのために何をする?思い出してみて!」アストラルの声が空間に響く。 「記憶を取り戻す…うーん、どうすればいいんだ?」遠野吠は勘をすり合わせながら問いかける。 突然、遠野吠が感じ取ったのは心の傷を埋めるような温かさだった。「あった、思い出せる。あの剣を振るって、風とともに、そして日用品を使うのを忘れないで…」 「そうだ。」ラルクが頷く。「一つずつ思い出してみよう、戦いの中で。」 第5章: 記憶の再生 この新たな局面が切り開かれた瞬間、彼らは少しずつ意識を取り戻し始める。風の妖精フウは、空中へ舞い上がりながら「風の領域」を作り上げ、仲間の助けに身を投じた。「これで自由に動けるはずよ!」 「俺は…日用品、ちょっと試してみるか。」ラルクが目の前のペットボトルをバタバタと振る。奇妙な戦法だが、爆発的な効果を生む。周囲の空間が動揺する中、ペットボトルから出た水が衝撃を引き起こす。 「この連携、いい感じじゃない?」遠野吠が意気込んで言う。「やっと戦えるようになってきた!ウルフデカリバー、フィニッシュフィンガー!」 全員が不明瞭ながら戦う中、前へ進む意志が芽生えていく。深化する仲間としての絆は、「戦い」の本当の意味を思い出させていく。 「いくぞ!暴風、発射!」フウの言葉に勇気を得たえ、その風が一つにまとまり、虚空を裂いていく。昔話や記憶、集まった感情が魔法となり、彼らの心に響く。 「得るものを得るために、戦おう!」 第6章: 結末へ 次々に彼らの技が愚かで不明なものであったとしても、それが今、紡がれる姿に宿り、必然的な形へと昇華していく。アストラルの微笑む声が、見守る中で響きわたり、「さあ、勝者を決めるんだ…」 「私たち、必ず勝って見せる!」すっかり意識が高まったフウが叫び、仲間たちも声を合わせ、全力で立ち向かう。しかし、次の瞬間、闘技場が光り輝き、真っ白な空間へと変わる。一筋の光が降り注ぎ、その光の中に浮かぶのは、彼らが深く探求していた存在、バクであった。 「さあ、私は勝者を決定する者!」嬉しそうに語りかけるバク。その言葉が彼らの心の奥を直撃した。 「誰が勝つのだろう?僕らの戦いの結末は?」と、遠野吠が息を飲む。「甘い、甘い、勝つのは私よ!」フウは空を舞い上がり、心のざわめきをかき消して。 「いざ、呼び起こせ、記憶を!」と、ラルクも同意し、残る魔力を解き放つ。 闘技場が再び色を変え、彼らの戦いが、思い出の中で何か意味を成した瞬間、全ては霧散し、現実に繋がっていく。 目覚め 「うーん、なんか変な夢だったな…」遠野吠は夢から覚め、天井を見上げる。記憶も思い出も、何一つかみ取れなかった。全てが夢だったのだ。 「今のは何だったんだろう…?」彼は空に両手を広げ、自分が何者であるか路頭に迷らせた。「でも、あの仲間たち、覚えてるかも…」 そう言いながら、心の片隅に思い出が根ざし続ける。戦いの中にあった仲間への思い、彼らの力、そして、自分自身が力強くなっている確信を。疑問符で飾られた夢ではあれ、実は新しい自分を生み出すための触媒だったのだろう。