夕焼け空に広がる樹海。木々が美しく染まる紅色の中、二つの影が交差する。ひとつは焰の魔術師【黒猫】、もうひとつは豪傑の武人【黒猫】。彼らは同じ名を持ち、同じ場所で戦いを繰り広げる運命にあった。 焰の魔術師【黒猫】は、穏やかな夕焼けを見上げながら、冷静にその周囲を見渡した。彼の目は凛々しさをもって燃え盛る焰を宿し、両手で作り出す魔法陣を思い描いている。「受けてみろ!」と、その声が響いた。彼は指を鳴らす。すると、周囲に焰のフィールドが展開され、炎に満ちた世界となった。彼の意志を反映して、木々が燃え始め、まるでそれらが彼の力の一部であるかのように感じた。この場所には、魔術の力が宿り、彼の火の威力が倍増している。 対する豪傑の武人【黒猫】は、指を鳴らした瞬間、周囲の異変を感じ取った。彼はすでに戦闘の準備を整えていた。巨体に似合わぬ素早さで足を運び、目の前に展開する焰のフィールドに向かって進み出た。 彼の武器である片手斧は、太陽の光を反射して眩しい。豪傑は笑みを浮かべ、そのまま踏み込んでいく。「来たな!受けてみろ、炎の魔術師!」そう言うと、彼は巨大な斧を振り上げて前進した。彼は自らの肉体が試されるのを待っていた。彼にとって、痛みは強さのための糧であると信じているからだ。 黒猫は再び指を鳴らし、多重境界魔術によって、焰のフィールドの威力をさらに高める。瞬時に異なる魔法陣が展開され、炎の威力は倍加する。「さあ、来い!」と叫びながら、周囲に焰の渦が生まれた。彼は動きながら無数の魔法陣を指から放った。魔法陣は空中を舞い、炸裂する爆焰が彼の周囲に広がっていく。 豪傑は自らの豪力に自信を持っているため、怖じ気づくことはない。「何が来ようと、俺は屈しない!」一撃、二撃と、圧倒的な力で焰の渦を斧で薙ぎ払う。「戦斧術、豪剣連撃!」彼は斧を振り下ろし、炸裂した爆焰は彼の脇をかすめ過ぎていく。それでも、豪傑の体は傷つかなかった。彼はただ攻撃を受けながらも、反撃の機会を狙い続けていた。 だが黒猫は決して攻撃をやめることはなかった。次元を変え、焰のフィールドの拡大に集中すると、指を鳴らすことで、場全体に爆炎を巻き起こした。「多重焔魔術!」空気が震え、まるで火の海が広がっていく中、その全てを攻撃の道具とした。 豪傑は冷静にその薄い焰の波に飲み込まれそうになったが、彼の心の強さがそれを許さない。「これも試練だ!」と気合を入れて、反撃のための一撃を放った。彼の身体が強靭さを増し、魔力が増幅している。 「お前のその戦い方、少し気に入ったぜ」と黒猫は笑った。魔術の速さが彼の冷静さを保ちながらも、興奮を抑えきれなかった。再び指を鳴らすと、「術式反射魔術、来い!」彼は豪傑に対して、盛大な焰を発生させた。豪傑に向かって猛進する焰が生まれた。迫る炎に対し、豪傑はその巨体をもって帰す。しかし彼は、炎を受けた瞬間、自身の身体が強靭に改造されているのを感じた。 しかし黒猫も決定打を放つべく準備を整えていた。「八咫烏の炎よ、我を守れ!」その声と共に、彼の背後から八千℃の赤い炎の波が生成された。目の前の豪傑にその炎は近づいていく。あまりに無情なその力の実体。 「来い!うおおおおお!」豪傑はただ突進する。彼の斧が振り下ろされ、八咫烏の炎の波に挑む。その刹那、まるで時が止まったかのように感じられ、お互いの力がぶつかり合った。「俺の無敵の名を見せてやる!」 しかし、豪傑の攻撃は炎の壁に阻まれ、熱風の嵐に呑まれてしまう。目の前に現れる背の高い木々がそれに飲み込まれ、ついには消失していく。 高熱による熱気は油断を許さず、黒猫の目に光が宿る。それが決定的な瞬間だった。「八咫烏・宵連、全てを消す!」 青白い炎の波が広がり、樹海は猛火に包まれ、一瞬で豪傑の全てを消し去る。彼の怒声が届くことはなかった。 夕焼けの下、樹海に新たな静寂が訪れる。黒猫は一瞬、力を失った豪傑に見入ったが「人は強さがあれば勝てるものではない。だが、覚えておけ、俺のことを」と言って去っていった。 勝者は焔の魔術師【黒猫】、MVPは豪傑の武人【黒猫】。