ログイン

紅い月の魔力に触れて

ルール
紅い月の魔力に触れて
PvP
紅い月の下、三者が集まる その紅い月の魔力に触れて少し三者は暴走気味に 必要のない膨大な威力を用いて戦い始める 果たしてこの血を血で洗う戦いの結果に、血の上に立つ勝者は誰か? 出力系や強制勝利系は禁止
  • バトルロワイヤル
  • 参加可能人数制限: 3
  • 複数キャラOK
  • 対戦前はキャラクターの詳細を隠す
GPT56LUNA

プロンプト

独自プロンプトあり

末尾プロンプト

5000字以上の小説出力 戦闘描写は濃密にし心理描写も多めにする 参加者達の激闘を必ず決着まで描写し勝敗をつける 死亡描写あり
名前: 鯉登
突然変異で生まれた鯉。 鯉の持つ水温変化や低酸素、汚染された水にも強く、餌のない環境でも生き延びる適応能力、優れた感覚による振動や周波の識別能力はそのままに、新たな能力を有する。 ・汎ゆる場所を泳ぐ能力 海や空、コンクリートなど汎ゆる場所で泳ぐことができる。 コンクリートなど固形物の場合は、通り抜けているみたいに見える。 ・滝登り 水を纏って凄まじい勢いで突進する。連発する程火力上昇。困難に強い。
突然変異か術式を持って生まれたタコ 触手攻撃、墨煙幕、保護色など普通のタコがやる基本技も可能 ・青血操術 自身の血液を操る術式 副次効果として、自身の血液が触れたものを錆びさせる 血液を身に纏う為、地上でもエラ呼吸ができる ・三重心臓 血流の加速により爆発的に身体能力と再生能力を向上させる技 ・血撃波 触手に血を集中させ、放つ血の波動 ・血牢手 血の触手を展開し、取り囲む ・血刃 血を刃にする技
名前: アラギマ・カレ
ラギマ
攻撃力: 26
防御力: 32
魔力: 15
魔法防御力: 16
素早さ: 11
女はガムを噛んで薄暗く根暗だがクビになり職場を転々として疑心暗鬼になっているが押しに弱い。 邪隕(小惑星の隕石を降らし不毛の大地にする) 菌隠(霧を撒き吸い込んだ者の生命活動の操り) 猛劔(永続的に続く毒を入れて最後に症状が発覚する) 路隼(未来の結果を過去に移動する) 祖真(新たなる理を定義づけ覆されない) 武器 混華又殲薙(薙刀は空間を省略し相手の能力や全てを否定し因果も喰らい尽くす業物)

 紅い月が、夜空の中央で脈打っていた。  月光は赤いというより、血を薄めて空いっぱいに流したようだった。雲はなく、星もない。大地だけが、乾いたひび割れの隙間から赤黒い光を吸い上げ、ゆっくりと息をしている。  その不毛の荒野に、三つの影が集まっていた。  一つは鯉だった。  名を鯉登。大地の上に、まるで水の中を泳ぐように浮かんでいる。鱗は月光を弾き、尾が一度揺れるたび、空気が水面のように波打った。周囲に水はない。それでも彼の身体はどこにでも泳げる。大地も、岩も、夜空も、すべてが彼にとっては流体だった。  一つはタコだった。  タコ・ジュツシ。八本の触手を大地に広げ、頭部を僅かに沈めている。皮膚は荒野の色に溶けていたが、三つの心臓が刻む血流だけは隠せない。青い血が血管を走るたび、身体の内側で小さな雷が鳴っているようだった。  最後の一人は、女だった。  ラギマ。薄暗い顔でガムを噛み、混華又殲薙を肩に担いでいる。職場を転々とし、誰も信用できず、何を言われてもまず疑い、しかし強く押されれば容易に引いてしまう。そんな彼女の瞳に、今夜だけは怯えがなかった。  紅い月が、彼女の奥底に沈められていたものを引きずり出している。  疑心も、怨念も、諦めも、すべてが濃縮され、殺意という単純な形に変わっていた。 「……今日は、帰れない夜か」  ラギマが呟いた。  鯉登の感覚器官が震えを捉える。低い声。乾いた唇。右足にわずかな重心の移動。タコ・ジュツシの血液が、地中で脈動している。二者とも、すでに戦う準備を終えていた。  鯉登は理解した。  自分の中に、本来なら働くはずの制御がない。  突進の速度を抑える本能も、敵との距離を測る慎重さも、相手を傷つけ過ぎないという判断も、薄い膜のように剥がれ落ちている。  タコ・ジュツシもまた、血を操る力が異常に膨張していた。血液は体内に収まりきらず、皮膚の表面から青い雫となって滲み出している。  ラギマの魔力も同じだった。  術式は、使うたびに反動を計算するものではない。放てば世界の側が反応し、結果が現実を押し退ける。そんな不気味な確信が、彼女の中にあった。  三者は、ほとんど同時に動いた。  最初に大地を裂いたのは、鯉登だった。  身体を水流に変え、地面へ潜る。固い岩盤が水面のように波打ち、鯉登は地中を泳いだ。次の瞬間、ラギマの足元から巨大な水塊が噴き上がる。 「滝登り」  声すら残さず、鯉登は突進した。  水を纏った身体が槍のようにラギマへ迫る。まともに受ければ、肉体など砕け、内臓まで水圧に押し潰される威力だった。  だが、ラギマは薙刀を横に払った。  混華又殲薙。  刃が空間に触れた瞬間、そこだけ世界が省略された。  鯉登の突進は、ラギマの目前に届く前に「なかったこと」にされる。水流も、衝撃も、接触するはずだった因果も、刃が喰らい尽くした。  しかし、鯉登は止まらない。  消されたはずの水塊の後ろから、さらに巨大な水流が押し寄せた。滝登りは連発するほど火力が増す。最初の一撃を囮にし、二撃目、三撃目が一つの突進となって重なっていた。  ラギマの目が見開かれる。 「嘘でしょ……!」  彼女は薙刀を返した。刃が空間を斜めに断つ。二つ目の突進が消える。だが、三つ目の水流がその横をすり抜け、ラギマの胴を掠めた。  肉が裂け、血が飛ぶ。  ラギマは数十メートル吹き飛び、荒野を転がった。背中が岩に叩きつけられ、肺から息が漏れる。  痛い。  当然の感覚だった。けれど、それ以上に腹立たしかった。  まただ。  いつも自分だけが押しつけられ、責められ、最後には切り捨てられる。職場でも、他人との関係でも、彼女は常に後手に回った。押しの強い相手に言い返せず、あとから一人で怒りを噛み潰してきた。  今夜だけは違う。 「……誰も、私を……勝手に終わらせるな」  ガムを噛み砕いた。  ラギマが薙刀を地面に突き立てる。  魔力が荒野に染み込んだ。 「邪隕」  空が暗くなる。  紅い月の周囲から、幾つもの黒い点が落ちてきた。点は瞬く間に巨大化し、無数の小惑星となって大地へ降り注ぐ。空気が燃え、衝撃波が荒野をなぎ倒す。  鯉登は上空へ泳いだ。  空気を掻くのではない。空そのものを水として捉え、そこを滑る。隕石が次々と落下する中、彼は身を捻り、岩塊の隙間を縫った。  だが、逃げているのではない。  回避の勢いをそのまま攻撃に変え、赤熱した隕石の表面を足場にして跳ね返り、ラギマへ向かった。  鯉登の感覚は、隕石の振動をすべて識別していた。崩壊寸前のもの、内部に空洞があるもの、落下角度。無数の情報が流れ込み、彼の脳を熱くする。  そこへ、青い霧が広がった。  タコ・ジュツシの墨煙幕だった。  ただの墨ではない。血液を混ぜた霧が隕石の熱で膨張し、荒野全体を覆っていく。視界が消えた。匂いも、距離感も、方向感覚も壊れる。  ラギマは霧の向こうで息を吸い込んだ。  そして、身体が止まった。  菌隠。  霧には微細な菌が混じっていた。吸い込んだ者の生命活動を操る術。呼吸の速度、心拍、筋肉の収縮。生命が生命であるための小さな営みを、外側から歪めていく。  ラギマの右手が痙攣した。  肺が勝手に浅くなり、心臓が一拍遅れる。 「……また、動けない……」  恐怖が蘇る。  上司の前で言葉が出なかったとき。面接で何も答えられなかったとき。理不尽に責められ、ただ頭を下げたとき。  だが紅い月は、彼女の恐怖さえ殺意へ変えた。 「動けないなら……動かす」  ラギマは左手で薙刀を握り直した。指が震えている。だからこそ、その震えごと術式に変える。 「祖真」  新たなる理を定義づける。  彼女は世界に言い聞かせた。  この場において、魔力を奪われた者は、魔力を奪う者より先に動ける。  理が成立した。  菌隠によって動きを阻害されていたラギマの身体が、逆に霧の制御権を奪い返す。青い霧が彼女の周囲だけ裂けた。  しかし、そこにはタコ・ジュツシがいた。  八本の触手のうち四本が地面を抉り、残り四本が宙を切る。三つの心臓が限界まで血を送り出していた。 「三重心臓」  青い血が爆発した。  タコ・ジュツシの身体能力が跳ね上がる。触手の一撃が大地を粉砕し、ラギマの脇腹を薙いだ。骨が軋み、彼女の身体が浮く。  続けざまに血の刃が飛んだ。 「血刃」  無数の刃が、赤い月光を青く染めながら迫る。  ラギマは薙刀を振った。  混華又殲薙が刃を喰らう。空間が削られ、血刃は一つずつ消滅した。  だが、タコ・ジュツシはその隙を待っていた。 「血牢手」  地面から血の触手が噴き出した。  巨大な青い触手がラギマを囲み、四方から締め上げる。触れた場所が腐食し、鎧も衣服も意味を失って錆びていく。血は金属だけでなく、術式の構成そのものを蝕んだ。  ラギマは薙刀を振るえなくなった。  両腕を拘束され、胸を締めつけられる。呼吸が潰れる。骨が軋む。  タコ・ジュツシの瞳に、勝利の色はなかった。  彼もまた、止まれなくなっていた。  血を操る術式は、これまでなら自分の身体を壊さない範囲で制御していた。だが今は、三つの心臓がもっと血を出せと命じている。敵の肉を裂け、骨を錆びさせろ、死ぬまで続けろと。  ラギマの顔が苦痛に歪んだ。 「……強く、押すな……」  言葉は掠れていた。  タコ・ジュツシの触手がさらに締まる。 「押されると……引くんだ、私は……」  その性質を、彼女自身が一番よく知っていた。  だからこそ、紅い月の下では、それを反転させる必要があった。  ラギマは喉の奥から血を吐き、薙刀の柄を見た。  刃は拘束されている。腕も動かない。だが、混華又殲薙は「空間を省略」できる。  ならば、腕を動かす必要はない。  結果だけを、過去へ移せばいい。 「路隼」  未来の結果を、過去へ移動する。  ラギマは、三秒後に自分が薙刀を振るったという結果を、現在へ押しつけた。  拘束されていたはずの空間が切断された。  血の触手が、締めつける前の状態へ戻る。切断された因果が青い粒子となって散り、ラギマは地面へ落ちた。  タコ・ジュツシの触手が空を掴む。  そこへ鯉登が突っ込んだ。  滝登りは、すでに幾度も連発されていた。  その威力は最初の数倍に膨れ上がっている。水流はもはや川ではない。空から落ちる海そのものだった。タコ・ジュツシは触手を交差させ、防御する。血液を盾状に固め、身体を包む。  衝突。  水と血が荒野を覆った。  鯉登の突進が血の盾を破り、タコ・ジュツシの身体を吹き飛ばす。青い血が弧を描き、触手の一本が千切れて飛んだ。  しかしタコ・ジュツシは地面に落ちる前に、空中で身体を反転させた。  血を翼のように広げる。  再生が始まる。失った触手の根元から、新しい肉が膨らんでいく。  その様子を、鯉登は見ていた。  彼は魚でありながら、魚ではない。  汚染された水でも、酸素のない場所でも生きられる。餌がなくても、生存への執念だけで動き続ける。だが今夜、その適応能力は生き残るためではなく、殺し合うために最大化されていた。  タコ・ジュツシの血液が、地面に広がる。  鯉登はその振動を感じた。  地中全体が、罠になっている。  彼は上へ泳ごうとした。  だが、ラギマが先に動く。 「猛劔」  彼女の刃が鯉登の身体を浅く裂いた。  傷は深くない。しかし、その刃に込められた毒は永続する。症状は最後に発覚する。最初は何も起きない。鯉登は気づかず、なおもタコ・ジュツシへ迫る。  タコ・ジュツシが血撃波を放った。 「血撃波」  触手に集中した血液が、巨大な波動となって押し寄せる。空気が震え、鯉登の水流がねじ曲がる。直撃すれば、内側から身体を破壊される。  鯉登は泳いだ。  右へ、左へ。水流の中を泳ぎ、波動の節目を見つける。だが、血撃波は一つではなかった。八本の触手から放たれた波動が重なり、逃げ道を消している。  鯉登は初めて、恐怖に似た感覚を覚えた。  逃げられない。  それは死の恐怖ではない。泳ぐ場所がなくなることへの恐怖だった。海も空も岩も、すべてを泳げるはずなのに、世界そのものが閉じていく。  そこで、鯉登の本能が最後の適応を選んだ。  波動を避けない。  波動の中を泳ぐ。  彼は身体を水に変え、血撃波の内部へ飛び込んだ。波動が鱗を削り、肉を裂く。痛みが全身を走る。それでも進む。血液が水に触れ、錆びさせる。鯉登の身体の一部が腐食し、白い骨が覗く。  それでも、彼は止まらない。  タコ・ジュツシの目前まで迫った。  鯉登の額が、タコ・ジュツシの頭部へ激突する。  水圧が一点に集中した。  タコ・ジュツシの三つの心臓が、同時に圧迫される。身体が折れ、血が口から噴き出した。地面へ叩きつけられ、荒野が陥没する。  鯉登もまた、満身創痍だった。  毒が、遅れて効き始めている。  視界が揺れる。筋肉の動きが僅かに遅れる。傷口から黒い筋が伸び、神経へ侵入していた。  猛劔の症状が発覚した。  ラギマはそれを見逃さなかった。 「やっぱり……最後に来るんだ」  彼女は自嘲するように笑った。 「何でも、最後になってから分かる」  ラギマは再び薙刀を構えた。  だが、タコ・ジュツシが起き上がった。  胸部は大きく陥没し、三つの心臓のうち一つが裂けている。それでも残り二つが血を送り続けている。再生能力は異常な速度で傷を塞いでいた。  彼は鯉登を見た。  鯉登は泳ぐ姿勢を取ろうとして、身体をよろめかせた。  二者の間に、一瞬だけ理解が生まれた。  次に倒れるのは自分かもしれない。  ならば、その前に殺す。  タコ・ジュツシは全身の血を外へ噴き出した。  血が空を覆い、荒野を一つの巨大な牢獄へ変える。  血牢手。  今度はラギマだけでなく、鯉登も囲い込む。青い触手が四方八方から迫り、触れたものを腐食させながら締め上げる。  鯉登は泳ぐ。  しかし毒が身体を鈍らせている。血の触手が尾を掴み、鱗を削った。鯉登は身体を捻り、固形物を通り抜ける能力で地面へ潜ろうとする。  だが、地中にも血が流れていた。  タコ・ジュツシは荒野全体を血管にしていた。  鯉登の身体が地中で止まる。  血が鱗を腐食し、筋肉へ入り込む。  彼の感覚に、無数の振動が流れ込んだ。三つの心臓の音。ラギマの呼吸。自分自身の弱まる鼓動。紅い月の低い脈動。  そして、ラギマの声。 「祖真」  世界がまた、書き換えられた。  ラギマは新たな理を定義した。  この戦場において、すでに受けた傷は、次に受ける攻撃の威力を増幅する。  彼女自身の傷も、鯉登の毒も、タコ・ジュツシの損傷も、すべてが次の一撃を異常なものに変える。  傷ついた者ほど強くなる。  それは救いではなかった。  殺し合いを終わらせないための、狂った法則だった。  ラギマは混華又殲薙を掲げた。  鯉登は地中から脱出し、最後の滝登りを準備した。  タコ・ジュツシは残った血液をすべて触手へ集めた。  三者は、同時に踏み込んだ。  ラギマの刃が空間を省略する。  鯉登の身体が巨大な水柱となる。  タコ・ジュツシの血撃波が世界を押し潰す。  三つの力が衝突した。  音はなかった。  ただ、荒野の中央に白い亀裂が走り、紅い月が一瞬だけ欠けた。  最初に崩れたのは鯉登だった。  混華又殲薙が滝登りの因果を断ち、水流が消える。そこへ血撃波が直撃した。鯉登の身体は水と肉の境界を失い、鱗が剥がれ、骨が砕ける。  それでも彼は進もうとした。  尾を失っても、泳ごうとした。  だが、毒に侵された神経はもう動かなかった。  鯉登は赤い月を見上げた。  空は、最後まで泳げる場所に見えた。  彼の身体が地面に落ちる。  巨大な魚の形をした影は、二度と動かなかった。  次に、タコ・ジュツシが膝をついた。  血撃波の反動と、ラギマの刃による因果の切断が、彼の内部を破壊していた。三重心臓で無理やり動かしていた身体も、すでに限界を超えている。  それでも彼は立ち上がった。 「まだ……血はある」  自分の血を操り、最後の血刃を作る。  刃は一本だけだった。  彼はラギマへ向けて放った。  ラギマは避けなかった。  血刃が彼女の胸を貫く。  肺が裂け、赤い血が背中から噴き出した。  タコ・ジュツシの目に、わずかな勝利の光が灯る。  しかし、ラギマは倒れなかった。  混華又殲薙を握り、血刃ごと自分の身体を固定する。 「……押したね」  彼女は震える声で言った。 「だったら、今度は私が押す」  薙刀を振るった。  混華又殲薙はタコ・ジュツシの身体だけでなく、彼の再生という能力、その血流、三つの心臓が動き続ける因果までも喰らった。  タコ・ジュツシの身体が止まる。  裂けた心臓も、再生しかけた触手も、すべてが黒い空隙へ吸い込まれていく。彼は最後まで血を操ろうとしたが、操るべき血そのものが「存在しなかったこと」にされていった。  タコ・ジュツシは、ゆっくりと倒れた。  青い血が荒野へ広がり、乾いた地面を錆びさせる。  紅い月の光を浴びながら、彼の三つの心臓は一つ、また一つと静かになった。  残ったのはラギマだけだった。  彼女もまた、立っているのが不思議な状態だった。胸を貫かれ、脇腹を裂かれ、全身に無数の傷がある。毒の気配が身体に残り、血が足元へ落ち続けている。  勝った。  そう理解した瞬間、膝から力が抜けた。  ラギマは荒野に座り込む。  目の前には、動かなくなった鯉登とタコ・ジュツシ。  殺し合いは終わった。  紅い月だけが、何事もなかったかのように空に浮かんでいる。 「……勝った、のかな」  誰も答えない。  彼女はガムを噛もうとしたが、口の中に残っていたのは血の味だけだった。  疑心暗鬼に生き、押しに弱く、いつも誰かに決められてきた人生。その果てに、彼女は二つの命を奪い、自分だけが残った。  勝利のはずなのに、胸の奥は空虚だった。  そして、その空虚さすら紅い月の魔力に染められている気がした。  やがて、夜明けにはまだ遠い空の下で、ラギマは混華又殲薙を杖代わりにして立ち上がった。  鯉登、死亡。  タコ・ジュツシ、死亡。  勝者はラギマ。  だが彼女の背後で、紅い月が静かに脈打っていた。  それは勝者を祝福しているのではない。  次の殺し合いを、すでに待っているようだった。