空は薄暗い雲に覆われ、不穏な静寂が支配するアリーナ。観客たちの視線が集まる中、審判を務めるのは、頭に魚を載せた猫、マスターDだ。彼の目に映る光景は、今から始まる壮絶な戦闘の舞台であり、そこに立つ二人の戦士がいた。 一方は、幻想的な成体アレス。彼女の背には美しいクリスタルの翼が広がり、頭には大きなヘイローが輝いている。もう一方は、無表情の男性カケラ。彼は冷酷な視線を向け、銃剣を手にしている。クールな彼の姿が、観客に緊張感を与える。 「準備はいいか?」 アレスは無邪気な口調でカケラに問いかけるが、彼女の表情は無表情のままだ。カケラはただ静かに頷く。試合の開始を告げるため、マスターDが一声を上げた。 「戦いの始まりだ! それぞれの力を見せつけろ!」 アレスの背後でクリスタルの翼がさやかに輝き、彼女は自身の能力を発揮する準備をする。一方、カケラは冷静さを保ち、戦闘の流れを見極めようとしていた。 「私の力は、あなたの力を再現できる。負けないよ!」 アレスは楽しそうに叫んだ。 彼女の言葉にカケラは無言で、眼前の敵の動きを見逃さない。彼は急に前方に飛び込み、銃剣を構えてアレスに向かって撃ち放つ。 「天穿て!」 銃口から放たれた弾丸が、空気を切り裂く音を立ててアレスへ吸い込まれる。彼女は咄嗟にクリスタルの翼を羽ばたかせ、距離をとる。弾は彼女をかすめていった。 「ううっ…!でも、こんなの全然効かない!」 アレスは攻撃をかわしながら叫んだ。 その瞬間、彼女はその一撃の魔力を吸収し、【イデム・リプロダクション】を発動する。 「これが、あなたの力?」 彼女の瞳が赤く輝き、カケラの能力を再現できる準備が整った。 「ただの一撃だ。無駄に力を使わせるな!」 冷酷な声が響き、カケラは再度攻撃の姿勢を見せた。アレスの背後に回り込むように素早く動き、急所を狙う。「地崩し!」と叫ぶ。自信満々な目を向けた瞬間、アレスは直感で反応し、精密に形成されたクリスタルの剣【アルカナム・ヴァイス】を引き抜く。 「アルカナム・ヴァイス!」 彼女の叫びがこだますると、剣がカケラの一撃を受け止め、激しい音を立てて弾かれた。弾く力が二人の距離を一気に開かせる。 「赤い瞳、よく覚えておく…あんたの能力が、無駄に終わらないように。」 カケラはむしろ冷静になり、装備を再調整。一方、アレスは彼女の自由な笑顔が消え、無邪気さが冷たくなり、戦闘への決意を見せ始めた。 「私も戦う準備ができたよ!」 アレスの背後のクリスタルがさらに輝き、彼女の力を引き出す。言葉の後、彼女は振り返り、先程のカケラの攻撃を模倣し一斉に放つ。 「天穿て!」 弾丸がカケラに向かって真っ直ぐ飛ぶ。彼は一瞬、驚きの表情を浮かべながらも冷や汗をかき、銃剣を持って弾を迎え撃つ。 「終わりだ、アレス。」 カケラはすばやく動き、銃剣の冷徹な刃を向けた。 「放たれた弾丸が、私の力となる!」 アレスは強く言い放ち、弾が近づくほど彼女の魔力を喚起して行く。彼女の周りにクリスタルが集まり、そのエネルギーが彼女を包み込む。 「行くよ!ジャーミネーション!!」 彼女の声と共に、全ての”理”が操作され、咆哮とともに巨大な刃が出現した。瞬時にカケラに向かって飛びかかる。 「なにっ!?」 カケラはその巨刃の攻撃を見て、焦りを感じた。そのまま防御するも、彼の運命は決まった。 「最後の一撃だ!レッツゴー!!」 アレスの声が響く中、巨刃がカケラを穿つ。 「くっ…」 声にならぬ叫び声がアリーナに響き、カケラは地面に倒れる。彼の動きが止まり、無表情のまま静かに息を引き取った。 「勝者、”叶う希望は成体となる…”アレス!」 ダースDは戦闘の終了を告げる。観客たちの歓声が鳴り響く中、アレスは静かに微笑み、視線を空に向ける。その背後には美しい翅が広がっていた。 彼女はない戦闘に満足を感じ、世界を見つめ続けた。