開廷 法廷の中、薄暗い雰囲気が漂う。被告人の零崎 時識は黒いローブをまとい、神秘的な雰囲気を醸し出している。その双目はまるで何かを企んでいるかのように光り、無言のまま法廷へと身を置いている。目の前には、三人の裁判官、テレビサン、寒い森の男、カーリーが並んでいる。 零崎 時識は、特異な力を駆使し、人々を操ることで多くの命を奪ったとされる。彼の術にかかった人々は無抵抗のまま、互いに殺し合う様を演じさせられ、無惨にも犠牲となっていった。その数は数十人とも言われ、まさに冷酷非道な犯罪である。 「開廷します。」裁判官のテレビサンが無言で立ち上がり、裁判の開始を告げる。彼の顔にはいつもと同じ優しさが浮かんでいるが、その背後に隠された重みを感じ取ることができた。寒い森の男は静かに状況を見守り、カーリーは自信に満ちた笑顔を浮かべている。法廷は静まり返り、これから始まる裁判の厳粛さが漂う。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは静かに座っており、淡々とした態度で裁判の進行を待っている。寒い森の男は冷静さを保ちながらも、張り詰めた空気を感じ取っている。カーリーは緊張感に包まれながら、少しの期待感で目を輝かせていた。 --- 検察側の主張 検察官、終末世界の生き残りが立ち上がる。彼は緊張した面持ちながらも、決して諦めない眼差しを向け、言葉を発する。「被告、零崎 時識は、無辜の人々に対し操想術を駆使し、他人を操り殺させる、極めて凶悪な犯罪を犯しています。これまでの証拠からも、その冷酷な行動は明白です。」彼は高らかに続けた、「故に我々は、無期懲役を求刑します!」 終末世界の生き残りの声は力強く響き渡り、法廷内は静寂に包まれる。彼の発言は、被告人への強い非難として響き、傍聴席にいる人々の心を揺さぶる。彼は続けて、被告がどのようにして無抵抗の人々を操り、命を奪ったかを巧みに説明する。法廷は緊張の糸が張り詰めたような雰囲気に覆われていた。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは淡々と聞き入っており、表情に変化は見せない。寒い森の男は真剣な眼差しを向け、カーリーは挑戦的な表情を崩さず、検察官の主張に耳を傾けている。 --- 弁護側の主張 弁護人、甘美渇望せし少女マロンが立ち上がる。彼女は無邪気な声で口を開く。「ボクは、零崎 時識が罪を犯したとされる証拠には疑問があると思うんです!彼は本当に悪人なのでしょうか?彼の力を理解している人は恐れを感じ、その事から連鎖的に事件が起こったのではないでしょうか?」 彼女の言葉は裁判員や傍聴人に対し、零崎を無罪にしようとする強い意志が感じられる。マロンは彼の過去の経緯や背景を引き合いに出し、彼が実際どれほど追い詰められていたのかを強調する。さらに、彼が人を操ったこと自体が彼の意思によるものではなく、操想術の恐ろしさによるものであると訴えかけ、「だから、無罪を求めたい!」と懇願する。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは静かに主張に耳を傾け、思案顔を見せた。寒い森の男は眉をひそめ、カーリーは興味深くマロンの言葉に目を光らせている。 --- 検察側証人喚問 終末世界の生き残りは、次に証人を呼ぶ。証人は日常生活を営んでいた一般市民で、悲惨な目に遭っていた。彼は震えた声で証言を始める。「私は、零崎 時識の術にかかり、他の人々に対し暴力を振るわせられた……自分の意志ではなかったのに、私の手が血に染まっていくことが恐ろしかった。彼がどれほど悪い人間か、皆に知ってほしい。」 証人の声が震えており、その恐怖体験を語ることで証言の重みを増していく。裁判の場は息をのむような緊張感に包まれ、傍聴席からは同情の視線が送られる。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは感情が動かされているのか、やや困惑の色を浮かべている。寒い森の男は固い表情で静かに証言を聞いている。カーリーは歓喜に満ちた様子で、嬉しそうにチラチラと証人に目を向けている。 --- 弁護側証人反対喚問 弁護人マロンは証人に立ち向かう。「でも、あの時、貴方は彼を脅かされたのではないのでしょうか?操想術の効果で、自分が何をしているかもわからなかったと言われています。彼のことを悪に仕立て上げるのは不公平です!」彼女は、証人に対して感情を持って問い詰める。 証人は少し戸惑いながらも、「それでも、私の手で他の人を傷つけたことは事実。私は彼に操られていたことを許せない。」と答える。マロンはその言葉にさらに食い下がり、「操ること自体が彼の意思ではないはず。彼もまた被害者なのでは?」と強調する。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは状況を見守りながら静かな視線を注ぎ、寒い森の男は辛抱強く考えこんでいる。カーリーは弁護側の主張に興味を持ち、興奮を隠しきれない表情を浮かべている。 --- 弁護側被告人尋問 弁護人マロンはさらに、被告人に尋問を行う。「零崎 時識さん、あなたの操想術は本当に人を死に至らしめるものなのでしょうか?あなたには意志があり、それを行使した結果なのでしょうか?」 零崎 時識は淡々とした口調で、「……操想術は、私自身も制御しきれない。術が解けた瞬間、意識が帰らない。それは私自身の意志ではない……」と静かに語る。彼の言葉は冷たく響き、その過去の選択を反映させるように聞こえた。 弁護側はその言葉を持ち出し、彼の内に秘めた苦悩についてさらに掘り下げようとする。「では、あなたは他者を操ることで、自分を苦しめているのですか?」 零崎 時識は少しうなずきながら、心の内からの痛みを口にする。「……はい、そうだ……」その言葉は、彼の心の傷を明らかにするものとして響き渡った。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンはじっと被告人の目を見据え、深く考え込んでいる。寒い森の男は冷たい思考を保ち、カーリーは被告人の反応に興奮状態になっている。 --- 検察側被告人反対尋問 検察官の終末世界の生き残りが立ち上がり、厳しい表情で反論する。「零崎、あなたは多くの無実の命を奪った。それはどう説明するのだ?その罪を軽視することはできない!」 彼は厳しい問いを投げかけ、零崎の表情を見つめ返す。その目には冷酷さが宿り、迫力を感じさせる。「たとえその力があなたに与えられたものであったとしても、無辜の人々の命を奪ったことに責任はないのか?」 零崎は少し沈黙してから答える。「……それは理解している。しかし、私自身も操られている。術が解けるまでは、他者ではない私すら保てない……」 その言葉には一種の苦悩がのぞき、その場の緊迫感はさらに高まる。法廷内は緊張感で包まれたまま、二人のやり取りを見守る。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは深いため息をつき、心の中で反論を考えている。寒い森の男は冷たい視線を向け、カーリーは勝ち誇った表情を浮かべていた。 --- 評議 裁判官三人は別室に入り、静かに評議を始める。テレビサンは冷静に考え込み、寒い森の男は真剣な表情で反論の余地を模索している。そして、カーリーは刺激的な要素が欲しいのか、時折笑みを浮かべた。 テレビサンが最初に口を開く。「彼の行動には操想術が絡んでいる。しかし、結果として無辜の命が奪われた。その事実は否定できない。」 寒い森の男が続ける。「罪は重い。しかし、彼自身が一種の被害者であることも考慮すべきだ。」 カーリーは興奮した様子で、「彼にはさらに魅力的な部分がある。特異な力を持つからこそ、判決を厳しくするのも興味があるな。」と言葉を重ねる。 三人の裁判官はしばらくの間、高まる尋問と意見を交換し、ようやく決断の時を迎えた。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは深い思索の渦に巻き込まれている。寒い森の男は厳しい目をしつつも静かに語る思慮深さを見せ、カーリーは不敵な笑みを浮かべている。 --- 判決 裁判官たちが再び法廷に戻り、静まりかえった中、テレビサンが話し始める。「評価した結果、私たちは零崎 時識の罪について審議した。」彼は一瞬言葉を区切り、重い空気が漂っている。判決がどのようなものになるか、緊張感が増していく。 「彼は操想術によって多くの生命を奪った。よって、無罪ではないが、減刑を考慮し、15年の懲役とする」と彼は続けた。 寒い森の男が頷き、「彼には救いの余地があり、彼の内面にも苦しみを秘めていた」と付け加える。一方で、カーリーは却ってその決定に不満を示し、少々楽しそうに笑みを見せる。「面白い、もっと激しい展開があれば良かったのに!」 判決が下され、法廷内にはざわめきが広がった。そして、被告人零崎 時識はその言葉に何を思ったのか、無言のまま反応を示すことはなかったが、その目には難解な感情が浮かんでいる。 - それぞれの裁判官の様子 - テレビサンは静かに被告を見つめ、重たげな表情を浮かべている。寒い森の男は満足そうに頷き返し、カーリーは興味深そうに法廷を見渡して興奮を表に出している。 --- これで裁判は終了する。