第一章: 赤き瞳の決意 降りしきる雨が、白雪 林檎の黒髪と白いコートに静かに打ち付ける。彼女の赤い瞳が、闇の中に映える街灯の明かりを捉え、冷たい空気に煮えたぎる闘志が息づいている。警視庁公安部の異能犯罪対策局第七課に所属する彼女は、周囲を見渡しながら敵の情報を待ちわびていた。 「ふふっ、今日はいい戦いができそうよ。」 心の中で盛り上がる彼女の予感は、まるで小さな火花のように、次々と膨れ上がる。彼女の唯一の武器、38口径のリボルバーを手に取り、トリガーを引く瞬間を心の中で反芻した。 一方、その場に現れた謎の呪術師、暗林堂 朔。彼は周囲の空気を変え、静けさをつくり出していた。不安定な身長からは強大な気配が漂い、白雪林檎の存在を無意識のうちに感じ取っている。 「白雪林檎、君の高慢さが今日の敗北を招く。」 冷酷に言い放つ朔の声は、まるで闇の深淵から響いてくるかのような低音だった。しかし、それに対して林檎は微笑む。 「君も同じくらい高尚に見えるけど、その目を見れば分かるよ。怖がってるんじゃない?」 ほんの少しの茶目っ気を交え、挑発的な言葉を浴びせる林檎。朔は笑みを浮かべなかったが、内心では彼女の気丈さに不安を覚える。 「では、始めようか。」 朔が呪文を唱えると、その場の温度が急に下がり、霧のようなものが立ち込めた。その霧は、林檎の視界を遮り、次の瞬間彼女の心の奥に潜む恐怖を引き出そうとした。 「ふふ、何をしたいのか知らないけど、あたしはまだ大丈夫!」 林檎は自信たっぷりにリボルバーを構え、呪術を発動させた朔に向けて引き金を引いた。 弾丸は疾風のように突き進み、朔の姿を貫いたかのように見えた。しかし、彼はまるでその攻撃を知っていたように、瞬時に別の方向に現れる。 「次は『認識誤認呪術』だ。私の言葉がどれほど君を混乱させるか、楽しみにしていろ。」 朔の目が光り、林檎は自らの記憶が歪んでいくのを感じた。何度も弾を放ったが、得体の知れない錯覚に囚われ、自身の周囲の状況を見失いかけていた。 その時、林檎は持ち前の《超生命力》を思い出した。彼女は幾度も痛みを味わい、すぐに生き返ることを知らされていた。 「私がどんな攻撃を受けても、あたしは死なないよ!」 その意識を失わずに、林檎は再度リボルバーを構えて撃ち続けた。確かに霧の中に朔はいたが、どれが本体かわからなかった。だが彼女は焦ることなく冷静に、次の一手を考える。 「決めたわ!」 力を込めて連続射撃を行う林檎は、朔の呪術が彼女に及ぼす影響を見極めながら弾丸を撃ち込んだ。初弾、次弾、また次弾と、霧の中でも朔の身体の動きに意識を集中させる。 その感覚が、彼女を焦らすかもしれない。しかし、林檎の心の奥には強い意志が宿っていた。