高度1万mの空中。地上の音が無に消え、ただ風の唸りと飛行機のエンジン音だけが響き渡る。この中で、対戦が始まろうとしていた。対戦するのは、暴走した作業用ロボット、水鉄砲で冷静に攻撃する奴、存在の勇者、そして炭素を操るカーボンくんだ。彼らはそれぞれ異なる武器と能力を持ちながら、同じ偶然の場に集まってしまった。 まず、暴走ロボットが事態に反応した。「意義を理解できぬ。倒すべき対象はここにいる。」と、油圧ジャッキをギシギシと音を立てて動かしながら、周囲の仲間を労働者として見なしたようだ。しかし、ロボット三原則が彼を縛り、実際には攻撃することはできなかった。 「やれやれ、自分の意識に抗うなんて、大変そうですね。」無感情な声で水鉄砲の男が冷静に水鉄砲の準備を整えた。彼の水鉄砲が機能し、引き金を引くと水流が暴走ロボットに向かって飛んだ。水流がヒットし、ロボットはたまらずバランスを崩しかける。しかしその瞬間、存在の勇者が泳ぐように後方に逃げていく。 「僕を見失ったな。存在しない僕が、ここに居てはいけないはずなんだけど。」彼は風を切り、周囲の空間を支配する。その存在感は微弱だが、近づく者にとってはまるで何も存在しないように感じさせる。 カーボンくんは、無言でその場にいる炭素を操り、周囲の構造物を揺るがせる。彼は、「炭素トラップ、発動!」と意気込んで言いながら、炭素の塊を飛ばし、周囲の物体を引き寄せる。 「やっぱり、僕の水で撃ちぬいてあげるよ!」水鉄砲で暴走ロボットに再び攻撃し、冷静なその目がロボットの動きを見逃さない。たちまちロボットは水圧に耐えきれず、足元のバランスを崩し、揺れに飲まれそうになっていた。 ふと、飛行機が強烈に揺れた。気を抜いていた者たちは、歓喜の表情を一瞬失った。強風が飛行機を揺らし、彼らの動きも乱される。水鉄砲の男も「これはまずい…」と思った瞬間、暴走ロボットが一層バランスを崩し、脱落寸前に! 「だ、だめだ、落ちる前に…!」その時、存在の勇者が彼の根源的な矛盾を活かし、目に見えない力ですり抜けるように暴走ロボットから距離を取った。 「ロボットよ、君が何を成そうと、存在することすら難しい。」無気味な声が響く。その瞬間、さらなる風圧が全員を襲い、シートベルトを締める間もなく、暴走ロボットがついに飛行機の外へ投げ出されてしまう。 カーボンくんは呆然とその光景を見ていた。「何という事だ、最初の失敗が…!」 しかし、残るのはカーボンくんと水鉄砲の男、さらに存在の勇者。水鉄砲の男が、すかさず狙いを定め「次は君だ、覚悟しろ!」と水流を動かして攻撃しにかかる。しかし、その瞬間周囲の空間がぶれ、存在の勇者の影響で全てが消失し、攻撃は無に帰してしまう。 「何だこれは…?」水鉄砲の男が驚愕する。彼の冷静さが崩れ、風圧に飲まれそうになる。 「運命は無に帰する。僕もここで尽きる時が来るのか。」その言葉が重く響く中、飛行機がまた揺れ、皆のバランスが崩れようとした。 「大空の覇者…それは、僕かもしれない…!」存在の勇者は確信し、自らの存在の無さを精一杯利用した。 そして、最後に残ったのは、水鉄砲の男と存在の勇者だけとなった。水鉄砲の男も、力尽きながら「僕は、何も感じない…」という言葉が空に消えていく。 それを聞き、存在の勇者はただ一人、その場に立ちつくす。彼は、存在しないことで勝利を収めた。 こうして、空中の戦闘も終わりを迎えた。 大金を背負う騒乱的な場が収束し、空を舞った勇者が浮かび上がる。 「僕が最も高く飛ぶ存在だ。名付けよう…『大空の覇者』。」