薄曇りの空が彼岸と此岸の間に漂い、異質な静寂がこの場所を包み込んだ。天流抜刀術の達人、山尾葵はその体勢を整えていた。周囲の景色が朧げで、透き通るような霧が足元を包んでいる。彼女の青い瞳は冷静なまでに周囲を見渡し、敵の動きに瞬時に反応する準備が整っている。 「待っていて、私の大切な仲間のために、ここで決着をつけるよ。」 彼女の言葉は、周囲の静寂を打ち破る強い意志を感じさせる。そこに現れたのは、花咲く嵐、楓嵐だった。彼女の手には赤い刀、「華嵐」が握られている。 「私の名は楓嵐、ここに立つからには、快楽のために戦いに来た。」 その声は冷静で、どこか浮世離れしている。可愛らしい容姿が反して、対峙する者に不安をもたらす。 両者はお互いに相手の技量を測り合う気配を感じ取った。山尾葵は天流抜刀術に自信を持つが、楓嵐の持つ能力が何であるかは不明であった。 「私の技は多彩だ。あなたにとって、それは試練となるだろう。」 そう言いつつ、楓嵐はゆっくりと刀身を掲げた。葵は一瞬の静寂を破り、動き出した。 [天流抜刀術:旋風] 振りかぶった葵の刀が、空を切る音を響かせ、楓嵐の懐へと入っていく。しかし楓嵐は、その瞬間に刀を横に構え、その身をしなやかに動かした。「やはり速いわね。」 彼女の反応には驚きの色が見えたが、すぐさま動きを修正し、華嵐の刃で受け流した。 「さぁ、私の技を味わうがいい。」 楓嵐は瞬時に自らの周囲に冷たく凍りつく空気を生み出し、彼女の体が少しずつ暗くなる光景を葵は目の当たりにする。[睡蓮] 葵はその瞬間、身を引いて視界から姿を消した。彼女の中に熾烈な直感が働く。[忍術:虚] 「何処に行くのかしら?」 楓嵐の冷静な声が霧の中に響く。一瞬の隙を突くが、円滑な技術で再び現れた葵の視界の端に映るのは、楓嵐の華嵐がすでに刃を彼女に向けている瞬間だった。 [天流抜刀術:破邪]が放たれる。 その一振りは、彼方に漂う幻想を切り裂くように、まるで流れ星のごとく美しく舞い落ちる。しかし、楓嵐は笑みを浮かべる。「そんな技、かすりもしないわ。」 そう言って躱した彼女は、そのまま突進する。 「私の一撃を受けて、ひれ伏しなさい。」 刀が閃き、鋭い刃が葵の身体に触れた瞬間、凍りつく感覚が彼女を包み込む。 「やっぱり凄い、でも…」 葵はその気持ちを振り払うように彼女の心に内にある強さを掻き立てた。そして再び姿を消す。[忍術:虚] 「その技は見飽きたわ。」と楓嵐。刃が葵の位置を探り始める。けれど彼女は刻固な意志の元、再び姿を現し、最後の一手を放つ。[天流抜刀術秘奥義:天網恢々] 「これで仕舞いにしますっ!」 葵は光を超えて、その一振りを放つ。この間に、彼女の背後に戦いの前兆が見えた。 「私も負けたくない。」 楓嵐は微笑みながら、鬼道の力を込め、刀を一閃させた。 その瞬間どちらが勝つかを決定づける衝撃が広がり、彼岸と此岸の境が揺らぎ、彼女たちの戦の力が持つ無の重みで埋め尽くされる。 葵の一振りと楓嵐の反撃は同時に交差し、二人の力がぶつかり合い、強烈な光が周囲を包む。 霧が晴れたその先に残っているのは、倒れた二人の姿。彼女たちの間において、真の勝者は無かった。だが、そこには明確に一人の影が立っていた。 獅子のようなたたずまいで、敵に勝つ運命を担いし者、勝者は楓嵐である。 そしてMVPは、山尾葵、彼女の意志は一瞬の間に誰よりも光っていたのだ。 --- 勝者: 楓嵐 MVP: 山尾葵