世界を滅ぼす日 薄暗い空が世界を覆い、哲学者らの長い議論も無駄だったことを示すかのように、最後の一日が訪れた。数世代にわたる人類の活動が引き起こした悲劇的な結末が、二人の狂気のヴィランによって引き金を引かれようとしていた。 「やっとこの日が来たか。」オキシジェネラルは、340キロ以上の鋼鉄のような身体を持つ彼の数メートル先の空中に浮遊しながら、つぶやいた。彼の目は冷酷で、数世代にわたる人々の恐怖と絶望を感じ取っていた。「この世界には、弱い者には支配されるべきではないという法則が必要だ。」それが彼の野望だった。 その側には、冒(ヒトガタ)という名の妖が彼の計画を支え、温和な笑みを浮かべていた。しかし、彼の澄んだ目の奥には、光の狂気が潜んでいた。「さぁて…浄化を始めようか。」それは彼の独特な興奮の兆しだった。人間には理解しがたい人間模様と掟を持つ彼にとって、生命殲滅はただの遊びだった。 オキシジェネラルは、彼の得意技、【酸欠】を発動させた。周囲の酸素が急速に失われ、周囲の生物は一斉に絶望的な表情を浮かべ、苦しむ。その瞬間、セメントの建物も、高層ビルも激しく崩れ落ちていった。まさに、「崩壊の美」とでも言うべき景色が広がった。 冒は、光を屈折させ、視覚に捉えられることなく周囲の人々に近づく。「八咫烏」を発動し、三本の光線が同時に放たれた。それは瞬時に非理性的な破壊をもたらし、人々は光に魅入られ、狂気と恐怖に呑み込まれていった。 だが、オキシジェネラルは意気軒昂だった。「この日こそが、新しい世界を創造するための第一歩だ。」と高らかに宣言する。 終焉の後 全てが沈黙し、静かに崩壊した世界が残った。壮絶な破壊の轟音はすっかり消え去り、不毛の地と化した世界には、生物の姿は見えなかった。樹々、おそらく地球上のすべての命は、彼らの手によって殲滅されたのだ。 二人は、その残骸の上に立ち、互いの存在を確かめ合うかのように目を合わせた。オキシジェネラルは満足そうに言った。「これでようやく、新しい世界を築ける。」 冒は同意の笑みを浮かべ、「光明の中、我々だけの理想の世界が広がるだろう。」彼の声は温かな期待感に満ちていた。 しかし、オキシジェネラルはふと考え込む。「だが、これで人類は完全に消え去った。彼らの代わりに何を創るつもりだ?」 「それは我々の自由だ。人類の存在は消えたが、新しい存在が生まれればいい。」冒は答えた。彼の目には、背後から差し込む光の輪郭が映し出されるかのように、勝利の色が見えた。 「我々の価値観は明確だ、弱者は無用だと感じれば消え去る運命にあった。」オキシジェネラルの声が地平線に響く。「私たちが立ち上がることで、誰もが自分の力で生き残れる世界に変わるのだ。」 「それが新しい理想だ。今は何も求めるものはない。」冒は静かに頷き、彼らが作り上げる未来を見越すように視線を向ける。「私たちが始めたこの道を、他の存在が進んでいくことを期待しよう。」 そこで静けさが戻り、ただ二人の姿が不毛で空虚な荒野に佇む。この静けさが、新たな歴史の始まりを告げるように、彼らの心に残る。彼らの作り上げた、懸命に生き抜くという全く新しい世界が。 こうして、彼らは残酷な運命を受け入れ、自らの手で新たな物語を紡ぐ旅に出るのだった。