①世界を滅ぼす日 雲一つない青空の下、リコッタ・グリーンベルトは、薬を打ったばかりの高揚感に包まれながら、遊び場となった廃工場の高台に立っていた。彼女の小柄な体からは、微かな笑みがこぼれ、ロリの姿にもかかわらず、全く別人のような闘志が随所に見えた。 「今日もいい天気だね、九美ちゃん! みんな、お薬は飲んだ?」 リコッタは、今は少しだけ大人になったかのような彼女の親友、狐坂九美を見つめた。九美は普段通りの優しい微笑みを浮かべるも、その金髪の耳には緊張感が漂っていた。 「はい、リコッタちゃん。お天気にぴったりな気分です。でも、みんなが揃うまで待ちましょうね。」 九美は、金色に輝く九本の尻尾をこまめに揺らし、彼女や仲間たちの捧げものでもある普段の穏やかさを保ちながら答えた。しかし、彼女の心の奥底には、これから行われる計画の大きさに対する恐れがあった。 その数十分後、仲間の集まりも盛況となり、廃工場はいつの間にか彼らの拠点化していた。彼らは軽快な会話を交しながらも、何がこれから起こるのかを無言で理解していた。 「それじゃ、始めるよ。みんな、準備はオッケー?」 「はい、リコッタちゃん。」背後から応えるのは、鋭い視線を持つ仲間たちだ。彼らは全員、ある暗い目的を持つ者たち。それは、彼女の薬の力を利用し、力を倍増させて、世界を滅ぼす決定的な力になるというものであった。 リコッタはそのまま「どーぴんぐ」のスキルを呼び起こし、自らの身体能力を高める。薬の効果が倍増するごとに、無邪気だった彼女の顔は、大きな自信に満ち満ちていた。 「行くよ! 皆、私のやることを信じて!」 彼女の言葉を皮切りに、周囲には炎が舞い上がり、彼女の持つ魔法と九美の圧倒的な妖力が周囲を飲み込み、その全てを熱させ、また滅ぼす準備が整った。 瞬間、全ては音もなく崩れ去った。弱い者たちの叫び声、無数の涙、怒りの感情すら経て、彼らの行動は確実に世界を滅ぼす力へとつながった。 ②終焉の後 灰色の空が広がり、かつての保証書だった常識はすっかり忘れ去られた。リコッタも九美も、仲間たちも、無邪気さの残骸と、世界を滅ぼす行動からは解放されていた。 彼女たちが持つ新たな世界観は、無数の破片が散らばる前の景色にあった。岬のような廃墟の中、リコッタは目を輝かせながら伸びやかな声で語りかけた。 「見て九美ちゃん! こんなに広い世界になったよ。私たちの力でこんなにしてしまったんだ!」 九美はというと、その愛しい仲間を見つめながら、苦しげな表情を浮かべていた。「でも、こんなことになるなんて、どうして…私たちが何をしたのかわからない…」 その言葉に、険しい顔をした仲間たちが互いに視線を交わした。彼らが選んだ道は、決して戻ることのできない選択であり、さらに深い闇を抱えていることも自覚していた。 リコッタは真剣な表情を見せ、「でも、ここから新しいスタートを切るんだ! 私たちの力があるから、これからの世界を作れるんだから!」 「でも、どうやって? 薬の力ももう…」 「それでも! 私たちはまだこれからだよ、九美ちゃん! 私たちには仲間がいるから! みんなで助け合って立ち上がれば、新たな道が見つかる!」 リコッタの言葉は、彼女の幼さを超えて、仲間たちに新たな希望をもたらしていた。彼女には、全てがまだ新しい未来なのだと、どれだけの薬の依存と痛みを背負おうとも、彼女は明るく振る舞った。 その言葉は、彼らを連帯させ、再生の道を探し出す原動力となった。 「それじゃ、まずはこの残骸から新しい家を作ろうよ!」 「リコッタちゃん、アイデアがすごいです!私も手伝います!」 九美は今までの自分を昇華し、仲間を信じる強さを少しずつ身に付け始めていた。彼等は、破壊の後を見つめながらも、無邪気な信念をもって前進し始めた。