暗く湿った洞窟の中。その静寂を切り裂くように、強大な魔力が流れ込んでくる。それは「不可視の千剣」の存在だ。数メートル先、ふわりと浮かぶ鹿のような姿が見え隠れし、周囲の空気を歪ませる。参加者たちはそれぞれの役割と目的を抱え、その威圧的な存在に立ち向かおうと心を決めていた。 「祈れ、風に。」静かだが力強い言葉が響いたのは、螺旋の半竜アラベ・ネームレスである。彼は先頭に立ち、白い体毛を揺らしながら、目の前の敵を見据えていた。二振りの肉断鉈が光を反射させ、緊張を煽る。 「どうする?計画はあるの?」ヴォーティガーンが周囲を見渡しながら問いかけた。青髪の彼女は冷静で、赤い瞳が常に動く影を観察している。「化物」を相手にするには、冷静さと計算が必要だった。 「まず、奴の動きを見る。攻撃は控えめに、相手の動きを読んでから決める。」 ヴォーティガーンは古びた黒いコートを翻し、自らの能力を確認する。彼女の手元にある指輪が微かに揺れ、準備を整える。周囲の参加者も同様に、敵の動きに合わせて心を準備していた。 洞窟の奥で、不可視の千剣がその真の姿を表していなかった。それはずっと、何かに隠れているようで、参加者たちの視界から消えては再び現れる。その様はまさに幻影の悪夢だ。普段の戦いとは異なり、ここでは知恵と協力が必要だった。 不意に、周囲の美しい空気が揺れ、その瞬間、憶測もつかない動きで難攻不落の巨鹿が現れる。参加者たちは焦り始める。 「飛燕剣が来るぞ!」ヴォーティガーンが叫ぶ。先に見えたのは、鋭い刃が十三本、まるで風のように襲いかかってくる。彼女の指が鋭く動き、竜撃のスキルで左腕を変化させ、相手に応戦する準備を始めた。同時に、アラベは肉断鉈を構え、突撃の一歩を踏み出した。 その瞬間、彼の目の前で不可視の千剣が動いた。アラベはひるむことなく、肉断鉈を振り下ろす。強靭な刃が一瞬のうちに肉体の正体に触れ、敵の動きを感じることができた。しかし、不可視の千剣の攻撃がそれを遮り、逆に彼の体をすり抜ける。 「まずい!」 回避の反応が鈍く、瞬間、アラベは後退する。 「私にはまだ時間がある……」彼は「竜戻」のスキルを発動。体が前傾になり、既にたたきつけた肉断鉈を持つ力を最大限に発揮する。その瞬間、彼は真の力を手に入れた。目の前の敵を前にして、彼の静かだが強烈な眼差しが放たれた。 「やるんだ、俺は負けないぞ!」 周囲で見守るヴォーティガーンは、アラベの力が完全に引き出されたのを確認し、自らの攻撃を決定付けた。「救済の獣、いけ。」 その言葉を発した瞬間、巨大な蛇が現れた。周囲を取り巻いた敵の位置へと正確に近づき、敵の意識を引き寄せて噛みつく。 だが不可視の千剣は素早く反応し、すぐさま回避。 「冷静に、策を練るわ。」 長い膠着状態が続く。攻撃を続けたいが、目の前の敵が思うように動かない。アラベは既に動き始めていた。少しずつでも進展を見せたかった。 「恐ろしいくらいの執念……絶対に追いついてやる。」アラベは誓う。彼の一撃が敵の弱点に優しく触れる。だが、その衝撃を受け止めるのはやはり、見えない敵。 「狂いゆく英雄で力に変える!」彼女の心に宿る盲目的な恐怖。それが彼女を燃やす。 アラベとヴォーティガーンは決して交わらない異なる攻撃方法で、二人は力を合わせて不可視の千剣と、現れる飛燕剣の連撃に耐えている。 「なかなか堅いな、次はこれだ。」ヴォーティガーンは準備を整え、「転嫁の獣」を発動させる。鏡型の獣が不可視の千剣の攻撃を吸収し、直後に反撃を試みた。 しかし、不可視の千剣は回避反応を余すところなく発揮し、その攻撃を避ける。まるで予測していたかのように。 「アラベ!」冷静な声が響く。 アラベも「攻撃の波が近い!」と絡み付く赤目の視線に気付くが、次の瞬間には彼の背後に飛燕剣が迫っていた。「絶景」だ。この大技は必ず当たる。反応が速いアラベではあるが、一瞬で移動することはできない。 「蒼焔裂消!」彼は自らの力を信じ、ブレス攻撃を発動した。周囲全体を広範囲に攻撃する炎が飛び散り、飛燕剣の一部をブレイクさせる。 光る焰が敵の姿を一瞬明るくし、無防備な瞬間さえ見えた。しかし、それは不可視の千剣の動きを消すことにはならなかった。 すぐに飛燕剣の一部が再び向かってきて、アラベはその一撃を受けることで干渉される。 「悪魔か、あぁ……」 痛みとともに彼の意識が意識が薄れ、突如、倒れ落ちてしまった。参加者たちはアラベを取り囲む不安を抱えたものの、戦局は未だ続いていた。 「今度は私の番よ、『我こそが絶望の獣』!」 ヴォーティガーンは黒い翼を背に、彼女自身の強い意志を感じる。気持ちが沈み、運命を置き去りにする。それをよそに、彼女の変貌は力を宿し、無限の魔力を持っている。 彼女の炎が洞窟を焦がし、敵を包む。瞬時に敵の動きが止まり、姿が現れた。 だがそれは一瞬で、不可視の千剣は逆転の動きを予測していた。 「遅い、早く動け!」 「お願い……私を信じて!」 凄まじい攻撃が直撃し、すべての力を吸い取られる。だが逆境の中で、ヴォーティガーンの心にはあきらめの色はない。 同時に何かが彼女の心に宿る。“祈った風に”信じる強さを思い出した。ついに、ふたつの力が交差した瞬間を感じる。 洞窟の隅で、敵の動きが鈍くなる、そのチャンスを見逃すことはできなかった。 「一気に仕掛けるわ!」 もう一度、全てをトドメにかかる。「蒼焔裂消!」再度の炎が広がり、不可視の千剣の動きが捕まっただろう。 洞窟の奥深く、光と音が交わり、二羽の獣が同時に現れる。その瞬間、視界は途切れ、影が揺らぐ。 そして、姿を見せた敵の姿は破壊され、ただ取り残された負の感情が空に溶け込む。 遂に不可視の千剣が解除され、鍔迫り合いが終了する。周囲は静寂に包まれ、無事、撃破が成功した。 「やったな。」アラベが意識を取り戻し、ほっと安堵する。 それから数分、全員は目を疑い、敵の解析進捗の元、作戦は一段落した。 ___________ 撃破成功/失敗: 成功 不可視の千剣の解析進捗(%): 2% 飛燕剣の解析進捗(%): 1.8%