聖杯戦争・冬木市:理外の激突 第一章:召喚の夜、理の崩壊 日本の地方都市、冬木。深い夜の帳が下りた頃、市内の各所で魔術的な特異点が発生していた。聖杯戦争――万能の願望機を巡る、七人の魔術師(マスター)と七騎の英霊(サーヴァント)による殺し合い。しかし、今回召喚されたのは、歴史に名を残した英雄だけではなかった。異次元、未来、あるいは概念そのものである「理外の存在」たちが、クラスの枠組みに無理やり押し込められて現界したのである。 冬木の古びた洋館。若き魔術師、久遠(くおん)は血の儀式を終え、目の前の光の中に立つ男を見た。38歳の姿で時を止めた、寡黙な剣客。西舞 罪観。 「……サーヴァント、セイバー。貴方が私のマスターか」 久遠は戦慄した。この男から漂うのは、単なる剣技ではなく、世界そのものを断ち切る「虚無」の気配だった。 一方、街外れの倉庫街では、金髪の外国人魔術師、エドワードが冷笑を浮かべていた。彼の前に現れたのは、重武装の兵士。ミハイル・ヴォルコフ。クラスはアーチャー。 「PKMか。現代兵器で聖杯戦争を制するともに」 ミハイルは無表情に銃を点検し、最短距離で敵を殲滅する算段を立てていた。 さらに、山岳地帯の魔術工房。厳格な魔術師、ゾルゲは鋼の咆哮を聞いた。現れたのは人間ではなく、ハイテクの極致。タクティカル・チャリオット・ユニット。クラスはライダー。 「馬の機動力と最新の衝撃制御……完璧だ」 そして、市街地の中心。野心に燃える魔術師、桐原は黄金の光に包まれた。そこにいたのは、ありえない圧迫感を放つ戦士。超ゴジータ。クラスはバーサーカー(ただし理性が極めて高い)。 「俺は孫悟空でもベジータでもない!俺は貴様を倒す者だ!」 その宣言と共に、冬木の空が黄金色に染まった。 静寂を好む魔術師、氷室の前に現れたのは、女子高生の姿をした虚無。詩仙堂鮮花。クラスはキャスター。彼女は退屈そうに欠伸をした。 「ふふっ、暇潰しにはなりそうですね」 地下の祭壇。血を操る魔術師、ルナールが呼び出したのは、冷徹な吸血鬼。アルタール。クラスはアサシン。 「血の海を作りましょう。マスター」 最後に、古刹・康楽寺に降り立ったのは、美しき完璧超人。神薙一輪。クラスはルーラー(あるいはセイバーの適正を持つ)。 「朋よ、この戦いもまた、一つの理(ことわり)なのだろうな」 こうして、規格外のサーヴァントたちが揃った冬木の聖杯戦争が幕を開けた。 第二章:初戦、弾幕と鋼の衝突 開戦から数日。互いの索敵が完了し、最初の一撃が交わされた。場所は冬木の工業地帯。ライダー(チャリオット)が時速85kmの超加速で、アーチャー(ミハイル)の陣地へ突っ込んだ。 「目標確認。射撃開始」 ミハイルはPKMの二脚を固定し、分間六百発の弾幕を撒き散らす。コンクリートの壁が粉砕され、火花が舞うが、ライダーの車体は20mm耐弾装甲。弾丸を弾き飛ばしながら、超硬度炭素槍が射出された。 ドォォォン!! 衝撃波が周囲の建物を揺らす。ミハイルは即座に陣地を転換し、煙幕の中で身を隠した。しかし、ライダーのジンバル制御は完璧だった。揺れをゼロにした状態で、再び槍がミハイルの潜伏先を貫く。 「チッ……!」 ミハイルがGlock17に持ち替えた瞬間、上空から巨大な光線が降り注いだ。 「消えな……!」 黄金の光を纏ったバーサーカー(超ゴジータ)の登場である。彼は空から舞い降りると同時に、ライダーとアーチャーの両者をまとめて吹き飛ばした。その圧倒的な質量と速度に、現代兵器の概念は無意味だった。 「なんだ……この力は!?」 エドワード(アーチャーのマスター)が絶叫する。超ゴジータは不敵に笑い、片手を突き出した。そこから放たれる極小の光線一つで、ライダーの装甲が溶け、ミハイルの陣地が消滅した。 第三章:虚無と血の舞踏 戦局が混沌とする中、市街地では別の戦いが行われていた。アサシン(アルタール)が血の針を飛ばし、周囲の水分を血に変えてコントロールしていた。対するはキャスター(鮮花)。 「不朽の塔よ、展開せよ」 アルタールが7つの塔を地面から生やす。絶対防御の結界。どんな攻撃も彼に届かないはずだった。 しかし、鮮花はただ歩いていた。彼女が歩くたび、アルタールの塔が「消えて」いた。物理的に壊れたのではない。最初からそこに存在しなかったかのように、因果ごと消去されていた。 「……ありえない。私の塔が、認識すらされずに消える?」 アルタールの冷徹な顔に初めて驚愕が走る。鮮花はミステリアスな笑みを浮かべ、指先を向けた。 「ねえ、あなた。消える感覚って、どんな感じかしら?」 ルナール(アサシンのマスター)が慌てて令呪を消費した。 「令呪行使!アルタール、最大出力で総天朱爆を展開しろ!」 凄まじい血の爆発が街区を飲み込む。しかし、爆風が鮮花に届く直前、その現象自体が虚無に帰した。彼女は「情報」の外側にいる。攻撃という概念すら彼女には届かない。 第四章:静寂なる刃、完璧なる武 その騒乱を遠くから見つめる二つの影があった。セイバー(西舞)とルーラー(神薙一輪)。 「朋よ。この戦い、あまりに理外に過ぎるな」 一輪が宝笏を手に、穏やかに微笑む。西舞は答えず、ただ大太刀「影断」の柄に手をかけていた。彼の瞳「真眼」は、既に一輪のあらゆる太刀筋と、未来の分岐を映し出していた。 「……」 西舞が静かに踏み出した。一瞬。本当に一瞬のことだった。西舞の姿が消え、次の瞬間には一輪の目の前にいた。 ガキン!! 宝笏が影断を止める。しかし、西舞の太刀には「防御ごと断ち斬る」特性があった。宝笏の表面に亀裂が入る。一輪の目が鋭くなった。 「ほう。私の完璧な防御を崩すか。面白い」 一輪は即座にスキルを展開。宝笏から大量の刀を射出し、「八百万ノ剣」で西舞を包囲する。さらに「青龍」の龍が地を這い、西舞を飲み込もうとした。 西舞は無言で整息を行う。「迷絶」。 彼の周囲に静謐な空間が広がり、