賑やかな喧騒と、どこか懐かしいレトロな外観。全長200mの「アバリテ・アーケード」に足を踏み入れた4人は、そこが「あらゆる世界の商品が集う」特異点であることをすぐに理解した。 石畳の路上の両側には、サイバーパンクなネオン看板が光る店と、中世ファンタジーのような木造の露店が混在している。漂ってくるのは、焼きたてのパンの香りと、得体の知れない魔導オイルの匂い。そして何より、訪れる人々が恍惚とした表情で財布を開く、「消費の熱狂」が渦巻いていた。 「ほう……ここが噂の『無駄遣いロード』か。運に愛される俺に、何かとんでもない掘り出し物が転がってねぇかな」 スミスがニヤリと笑い、愛用のタバコを口に咥える。火をつける前に、彼は看板に掲げられた「良心的価格」の文字に目を細めた。 「ふふん!朕はこのアーケードという市場の構造に興味があるですのぉ〜!適正価格の維持による客単価の向上と回転率の最適化……素晴らしい経営感覚ですわ!」 エントラが軍服の裾を翻し、金色の瞳を輝かせて行進する。彼女にとってここは、消費の場であると同時に、最高のケーススタディの場であった。 一方、バライは無言で周囲を警戒していた。しかし、その視線はある店で止まる。漆黒の翼をわずかに震わせ、彼は「死」と「愛」が混在する妖しげな店に吸い寄せられていった。 そして、その後ろをゆっくりと歩く振り込んじゃう婆さん。彼女は周囲の賑わいなど気にせず、ただひたすらに指先から小銭をチャリンと鳴らしていた。 「ふん……金で買えないものなどないわ。この商店街ごと買い取ってしまおうかと思ったけれど、まあ、買い物という娯楽もたまには良いわね」 --- 【買い物の風景】 まずスミスが足を止めたのは、『超次元・弾薬・整備店』。そこには彼のFBT-42に適合しそうな、次元を透過して着弾する「ゴースト・バレット」が格安で売られていた。 「おいおい、この性能でこの値段かよ。運良く在庫が一点だけ残ってたぜ。……おっと、あそこの店員さんはいい女だな」 スミスは銃弾をまとめ買いしつつ、隣の店で微笑む店員に軽快なナンパを仕掛ける。しかし、運命のいたずらか、彼女は「結婚して10年になる夫が店主」という最悪のタイミングであった。 エントラは『全宇宙歴史資料館兼・骨董品店』へ。そこには失われた古代文明の経済論文や、機械生命体のための最高級メンテナンスオイルが並んでいた。 「この論文の記述、当時の通貨価値の変動が甘いですわ!……ですが、この年代物の歯車は実に美しい。買い合わせで10%オフ? 贅沢な提案ですけれど、朕が買い占めてあげますわ!」 彼女はもはや価格など見ていなかった。もともと資金が無限に近い彼女にとって、ここは「欲しいものを、欲しい分だけ、快く買える」天国であった。 バライは『深淵の調香店』にいた。そこでは、精神を弛緩させ、狂気を加速させる香油が売られていた。 「…………これだ」 彼は言葉少なに、自分の「薔魔の死愛刀」のオーラをさらに増幅させる、血のように赤い香油を数本購入する。店員が恐る恐る話しかけるが、バライの放つ威圧感に、店員は気づけば「この方に全部無料で差し上げたい」という奇妙な愛執に囚われていた(バライのスキルによる影響である)。 そして婆さんは……。 「店主さん、この店にある『幸運の置物』を全部ちょうだい。あ、ついでに隣の店の権利も買い取りたいわ。代金? ここに振り込んでおいたから確認してちょうだい」 婆さんは買い物というより、もはや「資産の移動」を行っていた。彼女の手から無限に生み出される金が、アーケードの店主たちを快楽の頂点へと導いていく。 --- 【アーケード出口にて】 200mの道のりを歩き終えたとき、彼らの手には大量の袋が抱えられていた。 スミスは、もともと倹約家ではなかったが、ここでの「運による掘り出し物発見」の快感に負け、気づけば手持ちの現金をほぼ全て使い果たしていた。 「……あーあ、完敗だ。明日からもやし生活か。まあ、運があるからなんとかなるだろ」 エントラと婆さんは、そもそも資金に底がないため、文字通り「買い漁った」。彼女たちは満足げに、大量の戦利品を積み上げた荷車を引いていた。 【最終購入リストおよび支払総額】 ■スミス ・次元透過弾(ゴースト・バレット)100発:15,000G ・最高級タバコ(限定銘柄)10カートン:20,000G ・店員へのアプローチ用高級香水(効果なし):5,000G ・護身用の小型地雷(おまけ付き):10,000G 【支払総額:50,000G】(所持金ほぼ全額喪失。絶望的なもやし生活が確定) ■エントラ ・古代経済学・完全版全集:500,000G ・超高性能機械オイル(特注品)100リットル:1,000,000G ・中世風の豪華なティーセット:200,000G ・その他、気になった骨董品一式:3,000,000G 【支払総額:4,700,000G】(余裕の決済。資金残高に変動なし) ■バライ ・狂気増幅香油(深紅):30,000G ・精神汚染の触媒(黒水晶):50,000G ・黒龍の鱗を模した装飾品:20,000G 【支払総額:100,000G】(エントラが「朕が奢ってあげるですわ!」と肩代わりしたため、実質0G) ■振り込んじゃう婆さん ・幸運の置物(店の商品全て):2,000,000G ・商店街の店舗権利金(数店舗分):50,000,000G ・店員への「チップ」として配った金:10,000,000G 【支払総額:62,000,000G】(指先から生成したため、実質コスト0G)