序盤 赤くて眩しい部屋の中、紅は静かに佇んでいた。紅い着物と袴が、血のような光を浴びて妖しく輝く。彼の右目は空洞で、左腕も失われているが、その表情は冷静そのもの。戦いの気配を感じ取り、わずかに唇の端が上がる。戦闘を楽しむ者として、この異様な空間に心惹かれる何かがあった。一方、部屋の隅から不気味な羽音が響き、被検体003号が現れた。梟の姿をしたそれは、木陰めいた影からゆっくりと舞い降りる。ホーホーホーと穏やかな鳴き声が部屋に響くが、その周囲には見えない霧のようなものが広がり始めていた。被検体003号は敵意なく、ただ本能的に獲物を待つように紅を見つめ、咳き込みながら小さな血の滴を落とす。 突然、部屋の中央から蠢く音がした。『染まった脚』が姿を現す。無数の赤い脚が絡み合い、まるで生き物の塊のように脈打つ。紅はその異形の存在を一瞥し、血を操る力を呼び起こす。失われた左腕の位置から、紅い液体が滲み出し、瞬時に鋭い刀の形を成す。「ふむ、面白い」と紅は呟き、高速で動いて脚の群れに斬りかかる。刀が空を切り、脚の一つを切り裂くが、傷口はすぐに再生し、代わりに二体の『逸れた脚』が飛び出してきた。普通の蹴りを繰り出すそれらは、紅の素早い身のこなしを追うが、簡単には捉えられない。 被検体003号は傍観者として屋根のような突起に止まり、ホーホーホーと鳴き続ける。その声は穏やかだが、紅の肌に微かな違和感が走る。体調の異変か? いや、今は戦いに集中する時だ。『逸れた脚』の一体が紅に蹴りを放ち、彼の防御の薄い体をかすめる。痛みは軽いが、血が飛び散り、紅はそれを即座に吸収して刀を強化する。部屋の赤い光が、戦いの幕開けを照らし出す。