戦場は暗く、薄い霧に覆われた壮大な廃墟の中、ボスボルス曰く《前人未到》が立っていた。彼の視線は不敵であり、能力の発動を待ち構えている。彼の刀、血痕が付着したその刃は、緊張の中で存在感を放っていた。彼の心の中で温かい血が沸きあがり、戦う準備を整えていた。特に彼が発動できる技《業の斬撃》は、彼に与えられた死の契約の象徴であった。 反対側には、帽子から靴まで全身黒で統一された【表裏一体の懲戒者】ジャッジスが立っていた。彼の目の奥には自己嫌悪が渦巻き、皮肉な笑みが浮かんだ。「なんで俺がこんな奴と戦わなければならないんだ?」と心の中で呟く。彼の持つ武器—拳銃、ナイフ、そして口内に隠された爆弾—は彼の手によって恐ろしい武器と化していた。 ジャッジスは冷たい息を吐き出し、両手を前に構えた。《他罰主義》の影が彼を包み込み、触れる者に自分の痛みを押し付ける準備ができていた。他の者には到底理解できないかもしれないが、彼の内心は複雑であり、自分が引き起こす死の瞬間を見慣れたことによる嫌悪が渦巻いていた。 その時、戦場に乱入したのが【全てを喰らい尽くす暴食】グラヴァだった。彼は覚醒したばかりであり、その膨大な力が全面に押し出されていた。彼の目は野生的で、欲に満ち溢れ、背丈以上の体を揺らしながら優勢を保っていた。普段は話しもできないはずの彼が、今は無限の力を秘めたものとなり、どこか冷酷で危険な雰囲気を醸し出していた。 「そんなに力を持っても、俺に勝てるわけがない?」と、ジャッジスが挑発する。しかしグラヴァはただ無言のまま、暴食の意志を宿す目で二人を見渡す。彼の力は、彼が遭遇したすべての攻撃を吸収し、逆境になればなるほど増幅されていく。 ボルスは冷酷な笑みで刀を振りかざした。《天眼穿ち》の能力が発動する。ボルスの目にはグラヴァとジャッジスの動きが映し出され、その瞬間感じる刃の疾風のような斬撃。急所に必ず当たるその能力は、彼の自信の象徴であった。 ジャッジスはボルスの上からの斬撃を受け止めようと拳銃とナイフを使い、必死の対応を見せるが、ボルスの技はまったくもって逃れられないものだった。ボルスの刀がそれに向かって飛来した瞬間、《業の斬撃》で血の痕が付着した刃が突き刺さる。一撃で彼の防御は崩れ落ち、ジャッジスは地面に叩きつけられる。 その時、彼は直感的に感じたのは、ボルスの刀の後ろに迫る影。グラヴァがボルスの攻撃をすべて吸収し、自身の体内にその力を取り込もうとしていたのだ。ジャッジスはボルスを打破するチャンスを狙うが、心のどこかに憂鬱な影を持つ彼は躊躇ってしまった。その隙を突いて、グラヴァが動き出す。 「【我ガ権能】!」グラヴァの声が空に響き渡る。彼の前に現れる光の渦の中で、ボルスの攻撃が無意味に消し去られた。会場は緊迫感に包まれ、まるで全てを包み込むかのような圧力が二人にのしかかる。 「何だって?」ジャッジスは眉をひそめた。自分が今目にしている現実が信じられなかったのである。ボルスは刀を振り、再度《業の斬撃》を放つも、グラヴァの前ではそれはただの光に過ぎなかった。ジャッジスを守るように立ちはだかるグラヴァの無限の力に、ボルスは動揺する。 しかし、ボルスは怯まずに戦う。彼は《全知全権》を発動し、すべての情報を得てグラヴァの隙を見抜こうとしたが、彼の動きは異次元的であった。グラヴァは体を揺らしながら暴食のスキルを使い、一段階進化していく。急激に強くなる彼にはボルスの能力がまったく通用しなくなっていた。 「たかが殺し屋のレベルでは、俺に敵わない。」グラヴァの声が低音で響く。彼の力は、過去に喰らった数々の攻撃により無限を超越した。だが、ボルスは決して諦めない。 「《奥義:前人未到の千本刀》!全てを叩き潰す!」 彼の目が鋭く光り出し、刀がまるで生きているかのようにボルスの周囲を舞う。絶え間なく浴びせかけられる斬撃は、ジャッジスの周囲にも飛び散る。しかし、グラヴァはそれを一切無視し、喰らうために突き進む。彼の存在はボルスの能力を等しく無効化する。 ジャッジスは身を固くし、弱々しく囁く。「何故、俺はこんな奴らと戦っているんだ…?」自分を否定する一方で、彼は最初の一歩を踏み出さなければならなかった。 それに気づいたジャッジスは行動を起こす。彼はボルスに接触し、《他罰主義》を発動させる。ボルスが放つ斬撃の痛みが彼に反響し、ボルスは一瞬の隙を突かれる。だが運命は彼に微笑まなかった。しっかりとした防御を持つグラヴァ、《我ガ権能》がそれを受け止め、全力で吸収しながら彼自身の力と化していく。 一瞬の苛立ちが二人の心をわしづかみにした。しかし、ボルスの《奥義:前人未到の千本刀》は終わることなく続いていた。凄まじい連続斬撃が、グラヴァの全身を切り刻むが、その攻撃は消えていく。 最後の瞬間、グラヴァが力を放出し、無限を完全に超越した【暴食ノ最果テ】を発動させる。すべての攻撃を実質無に帰す力の前に、ボルスの攻撃はただの無駄に過ぎなかった。 ボルスは絶望の中で最後の一撃を放ったが、彼の刀はグラヴァの力の前に無意味なものとなった。 そして、最後にジャッジスとボルス二人の意識が薄れていく中、戦場はグラヴァによって全てが消え去ってしまった。 グラヴァの勝利が決定的であった。彼の膨大な力は、全てを無に返した。