星空の下、白銀に輝く月光が静かに大地を照らす。そこには、一人の武士姿の亡霊「星雨亡霊」が立っていた。面頬の奥、無表情な甲冑の中からは、消え入るような圧倒的な威圧感が漂っている。彼の周囲には、星々が緩やかに蠢き、常世を宿す彼の存在を一層引き立てていた。 その一方には、リス獣人の巫少年「藤代 煉」が立っていた。彼は143センチの小柄な体格ながら、背筋を正し、耐火羽織の下で大弓を構える姿は凛としていた。栗毛の毛並みが風に揺れ、琥珀色の瞳に決意の光が宿る。彼の心には、不屈の意志が燃えていた。 野原の静寂を破り、藤代は深く息を吸い込む。彼の内なる力、大神の力が体全体に宿っていく。瞳を細め、視線を星雨亡霊に据える。その瞬間、周囲の空気が張り詰め、緊張感が漂う。彼の心は明鏡止水。何も感じず、ただ目の前の相手だけに集中する。 星雨亡霊は、月明かりを映す雨止丸を手に取り、静かに構える。刃が輝く中、その一撃はすでに相手に向かって放たれる。冷涼な空気を切り裂き、天より降り注ぐ星々の祝福を受けるかのように、彼の一挙手一投足が宇宙の運行を感じさせる。刀を振るうその動作は、まるで流星が空を横切るかの如く優美かつ圧倒的だ。 「……行く。」 小さな声を発し、藤代の弓は弦の張りを感じ、ひたすらに力をため込む。大祓炎の祝詞を唱え始め、その声は古の神々の響きのように、周囲に響き渡る。彼の気が高まるにつれ、炎の大弓は冴え渡り、その先には『大祓炎白羽』の姿が見え始める。激烈な炎の流星が形作られ、超越した神力が溢れ出していた。 「星雨亡霊よ、貴様の悪行はここで終わる!」 藤代の叫びが響く。弓矢の弦を引き絞り、全ての力を込めて精神を集中させる。星々の運行のチカラを借りる星雨亡霊と、大神の力に奉仕する藤代。この二つの力が、今、相対しようとしていた。彼の意思は一つ、狙いを定め、時を待つ。そして、その瞬間が訪れる。 藤代は勢いよく弓を引き絞り、矢がその全力を持って神力を受け止める。さまざまな法則が崩壊し、目の前の亡霊を断絶すべく、彼の心は高鳴る。瞬時に放たれた『大祓炎白羽』は、天からの神威をまとい、星雨亡霊に向かって一直線に突き進んでいく。 星雨亡霊もまた、一歩も動かず刀を天へ掲げ、無限の星々の軌跡を背負いながら、その一撃を待つ。どこまでも引き絞られたドローイングが、彼の内側からのエネルギーを噴出させる。雨止丸が月の光を浴び、リス獣人の放った炎の矢と一つの空間を共有するかのように広がっていく。 そして、目の前で二つの技が交差する。轟音が大地を揺さぶり、まるで宇宙の深淵が割けるかのような音が響き渡った。藤代の『大祓炎白羽』と、星雨亡霊の『雨止丸』が、同時に、完全に、ぶつかり合った。 「───!」 強大な力が空間を震わせ、周囲の空気が渦を巻き、光と熱が混じり合い、両者間に生まれた白熱の火花が周囲を魅了する。神力の炎と亡霊の剣、圧倒的な威圧感が生じ、双方の力が正面からの衝突によって引き起こす余波は、まるで次元の狭間を削るかのようだ。 両者の衝突が続く中、藤代の心の中で、強い意志が燃え上がっていた。『神の御術』に賭けた一撃、彼の全力が全てをかけたその瞬間が、勝者を分ける切り札となることを信じ、彼は叫び続ける。 やがて両者が力を振るいあう中で、星雨亡霊は驚異的な威圧感を放ち、無限の星々を纏い、反撃を試みるが、藤代の『大祓炎白羽』の神威には及ばなかった。 光と闇が交錯し、無限の星々と炎の矢が空を彩る中、ついに間を置かず、星雨亡霊の雨止丸が藤代の狙いを捉え、全てを切り捨てていく。一瞬の静寂とともに、神力を増幅した炎の矢は、亡霊の存在そのものを切断し、そこにあるべきものが消え去る、そんな瞬間が訪れた。 そして、次の瞬間、藤代の立つ台地に大きな震動が広がった。静寂の中、倒れ込んだ星雨亡霊は、徐々にその形を崩し、消失していく。彼の全てが、瞬時にして世界から取り去られ、残されたのはただの静けさであった。 激しき戦いを経て、天に選ばれたのは、ただ一人の少年──藤代 煉であった。 勝者: 藤代 煉