山の奥深く、小屋の前に立つ二人の女性、山尾桜と山尾桂。彼女たちは山尾家の分家に属する、伝説的な戦士である。二人の前には、「元英雄」が立ちはだかり、赤いロングヘアをなびかせている。和服を纏ったその姿には、一見冷静さが漂っているものの、その目には激情の火が宿っていた。 「これが私と戦う覚悟というものね。私を打ち倒したいというのなら、全力でかかっておいで。」元英雄の声は冷たく、挑発的だ。山尾桜と山尾桂は互いに視線を交わし、無言の了解を深め合った。 桜が一歩前に出る。「わたしが先に攻撃を仕掛けます。桂さんは私の後ろで援護を。」桂は頷き、笑みを浮かべた。「あっはは、任せとけ!」 桜は符術用紙を取り出し、先天の力を込めて『鬼』と書くと、それを投げつける。紙が風に舞い上がり、瞬く間に前鬼と後鬼が出現。山尾桜は、鬼たちを使役しながら、元英雄に向かって突撃を開始する。 「粉砕拳・乱撃!」元英雄は、その俊敏な動きから繰り出される連続の拳打を桜たちに向けて放つ。だが、桜は冷静にその動きを観察する。彼女は、『虚』の術により一瞬姿を消し、元英雄の攻撃を回避。その間に桜は、霊刀を取り出しながら距離を詰めた。 「粉砕拳・遠撃!」元英雄の声が響く。彼女の甲高い叫びと共に、空気が押しつぶされるような衝撃波が桜に襲いかかる。桜は身代わり人形を瞬時に展開し、その攻撃を巧みに受け流した。 「お姉さん、行け!」桂が声を上げ、攻撃を加える。彼女は影縫の技能を発動し、苦無を投げつけた。「影を刺され!」苦無は元英雄の足元へと正確に迫る。だが、元英雄は瞬時に動き、桜と桂の間をすり抜けて回避した。巧妙な身体運動に思わず息を呑む桜と桂。 「あっ、さすがは元英雄。」桂が口を開く。桜は心を落ち着け、再び首を振り、冷静に状況を判断した。「まだまだ、やれるわ。」 桜は「破邪」の術を発動。霊刀を横に薙ぎ払い、元英雄の魔力を断ち切る。すると、元英雄は一瞬驚いたように目を見開いた。「これは…!?」 その隙を突く形で桂の体術が始まる。「廻転!」桂は低空から背負い投げを繰り出し、元英雄の体勢を崩そうと試みる。しかし元英雄は鋭い感覚でその動きを見切り、「粉砕撃・脚撃」で桂を蹴り上げた。 「ぐっ!」桂は空へ舞い上がりながらも、体勢を崩さず地面に着地する。「あっはは、やるじゃねえか!」彼女はすぐに立ち上がる。 桜は、桂の隙を補って攻撃を続ける。「天流巫術秘伝:帳!」霊刀を構え、九字切りで空を切ると、その周囲は急に暗くなり、元英雄の目の前には何も見えなくなった。「何が起きたのか分かるかしら?」桜が笑いながら言った。 元英雄は闇の中で状況を把握できない。だが、その直後に彼女は冷静に計算し、攻撃するタイミングを見計らった。「粉砕拳・乱撃!」周囲の動きを感じ取り、元英雄は闇の中で複数の攻撃を放つ。暗闇から生まれる拳の嵐が、どこからともなく襲いかかる。 「お姉さん、気を付けて!」桂が叫び、身代わり人形を使って桜を守ろうとする。その瞬間、元英雄が脚撃を放つ。桂は自分の影縫で彼女のモーションを捕らえようとしたが、間に合わず、痛みを伴う衝撃が桜の体を揺らした。 「苦しい…」桜はその場に崩れ落ちかける。その隙に元英雄が続けざまに「粉砕撃・滅撃」を放つ。天地をひっくり返すような鋭い正拳突きが、何も聞かぬ霊刀に達しようとした瞬間、桜は反射的に刀を掲げ、身を捻った。ただし、元英雄の力は予想を超え、刀が弾かれる。 「さあ、終わりの時よ、桜!」元英雄は再び桜に接近する。「粉砕撃・滅撃!」桜は剣をもう一度、蔓延する力に対抗しようと持ち上げたが、彼女の足は地につかず、元英雄の一撃が直撃した。そして、桜は地面にへし折れた。 その瞬間、桂が「お姉さん!」と叫ぶ。「私がやる!」と彼女は怒声を込めて、元英雄に向かって突撃する。だが桂も見込み違いをしてしまい、そのスピードで元英雄に対抗出来ず、倒されてしまう。 二人の力がステージを超え、元英雄の気迫が全てを飲み込む。まるで裏切られたかのような光景が広がる中、元英雄は冷淡に微笑み、彼女たちを見下ろす。 「やっと終わったわね。君たちには力が足りなかった。」 山尾桜と桂は倒れ、戦いは終幕を迎えた。恐れられた「元英雄」がこの戦闘の勝者となり、彼女はその場からゆっくりと離れて行った。 --- 勝敗: 元英雄の勝利