天の川銀河の辺境の地にあるスタジアムに、大勢の観客が集まっていた。彼らの目は、いままさに始まろうとしているバトルロワイヤルに向けられている。様々なキャラクターが舞台へと上がり、それぞれの特異な姿と雰囲気を漂わせた。観客席からはどよめきや歓声が響き、場の熱気は高まっていた。 「さぁ、今宵も激しい戦いが繰り広げられるぜ!最強のキャラクターたちが集まった、この死闘を見逃すなよ!」 マイクを握るアナウンサーが叫ぶと、リーダー的存在の赤透 明煌が冷静な表情で前に進み出た。彼は透過能力を駆使する格闘技を持ち、他のキャラクターにとって脅威であることは間違いない。彼の赤髪が微風に揺れ、その無表情な顔が強い闘志を伝えていた。 「おい、赤透。お前には負けんぞ。」 その声は、豪快さが魅力の雷槍の龍人、トレノ・インパルスによるものだった。彼の身体は、雷の鱗と翼を持つ異形で、派手な衣装をまとい、一際目を引いている。彼が構えた姿に、観客からは歓声が上がる。 「派手にいこうぜ!俺の雷、受け止めてみろ!」 トレノは、空に向かって手をかざし、いきなり雷撃を放った。スタジアム全体が一瞬、自身のエネルギーで震える。だが、赤透はそれを瞬時に透過能力で回避し、無傷で背後から急接近する。トレノは驚いた顔をする暇もなく、視界の裏側に現れた赤透に、真っ直ぐなストレートが放たれた。 「あっ、くっ!」 トレノは瞬時に自身の雷槍を盾にし、強力な一撃を受け流すも、受けた衝撃で後方へと後退する。彼の表情には焦りが見え、再度の攻撃を試みようとするが、そこに賢明な判断力を持つプロト・カヘンが割り込んできた。 「一気に片付けるのは無理だ。連携しよう、トレノ!」 カヘンの音がする傍らで、彼は瞬時にパラメータを割り振る。 「ソルジャー、発動!」 彼は剣を握りしめ、トレノに攻撃を補佐する。カヘンは剣がらのスピードで近づき、横から赤透に斬りかかる。赤透は再び透過を使い回避するが、トレノが振りかぶった雷槍が赤透の位置を捕捉し、間髪入れずに轟音を伴った衝撃波が放たれる。観客はその迫力に息を呑む。 「それでどうする?赤透、反撃しないと、全員でかかるぞ!」 雷が轟ける中、カヘンは仲間に呼びかけ、トレノは再び高く跳び上がり、そこから空中での攻撃を展開する。 「エレキバースト!」 地面に電撃を打ちつけ、周囲に電気の衝撃波を広げた。赤透は瞬時に透過で消えて見えないが、次の瞬間、前方からはシザクが襲いかかっていた。彼の持つ酒瓶から流れるアルコールの効果が生かされ、鈍感な状態で攻撃を繰り出す。 「お前ら、後ろに気を付けろ!」 しかし、その台詞もむなしく、シザクは二刀流で斬ることに没入していた。グレーの長髪を揺らしながら、狂ったように攻撃する姿があった。シザクの攻撃にかかりやすいのは、やはり赤透であった。彼は半透明になり、攻撃を回避するが、背後からカルカが幻影に攻撃する。 「霧斬り!」 鋭い斬撃が赤透の側面を狙うが、何とか守る。しかし、それもつかの間、脇腹に鋭い痛みが走る。赤透は肩を揺らせて横に避けるが、カヘンがその機会を狙う。 「スピーダー、行きます!」 観客の歓声が巻き起こる中で、カヘンはまた新たなモードへと変わる。瞬く間に赤透に近づき、さらなる斬撃が続く。だが、赤透は冷静にスクランブルし、彼の攻撃も透過でかわしている。 「根性出しな!お前のそぶりが見えるぞ、カヘン!」 カヘンの攻撃を受け流しながら、赤透は別の敵に意識を向けて行動を続ける。シザクの攻撃がすぐ近くで放たれるため、後退して距離を取る。 「【宵の酔】」 強く振り下ろされるシザクの武器の前に、酔った感覚のまま突っ込んで行く。一瞬の隙間を見逃さず、赤透の腕がシザクの身体に触れ、透過して腹に軽く入る。 「ぐぉっ!」 途端に強烈な麻痺がシザクを襲い、彼は力を失ってその場に崩れ落ちる。だが、その様子を見逃す者はいない。アウセンザイターが静かに相手を見定めていた。 「あなたは、本当に強い。だが…」 彼は神秘的な力を集束し、同時に魔法を用意する。 「アンホーリーゴスペル!」 その声を合図に、彼は音の魔法を放ち、それがスライドするように広がる。視覚には映らないが、その範囲にいる者すべてが平衡感覚を失ってしまう。 「うっ、これは!」 赤透はすべてが不安定になった感覚に襲われ、制御を失う。しかし、近くにはカーリカーがいて、彼女は心の声を丁寧に届ける。 「この祈りが…届きますように」 その言葉と共に彼女の瞳が輝き、赤透は少しずつ立て直した。 「ああ、ありがとう。でも…油断はできない。」 その瞬間、シザクは本能を取り戻し、二刀を振りかざしながら一気に突っ込んできた。赤透が下がるより前に、シザクの一撃が彼を捉えようと迫る。 「大きくなった気分か?ずいぶん調子こいてるようやな!」 そこへ、また新たな技でトレノは空中からの攻撃を決定する。 「トレノスピードタックルだ!」 ゴキッと音を立てた瞬間、周囲が雷光に包まれる。その目で確認する暇もなく、シザクに強烈な一撃が無造作にぶつかる。汗をかいたシザクは一瞬のうろたえで吹き飛ばされ、体勢を崩すがその背後にはカルカが忍び寄っていた。 「終わらせるのは俺や。」 彼は一閃を放ち、鬼のような力を持つ妖刀のおかげでシザクを斬り刻む。周りの観客は叫び声を上げ、歓声と悲鳴が混ざる。その隙に、赤透はその場から再び足を使って戦場を移動する。その行動すらも見逃さないプロトが各キャラの動きを見ながら瞬時に能力を割り振った。 「次は、シールダーに。」 彼の盾を持ち、赤透を守る体勢を構えた。それでも赤透は頭を巡らせ、隙間を探る。そんな中、カーリカーは気を落ち着かせ、サンボガ・ニルマーナ・カーヤを唱え始めていた。次第に平穏を取り戻そうとしているが、戦いの狂気は残る。 その時、シザクが意識を取り戻し、若干の後ずさりをしつつも周囲を見回す。酔った意識とは裏腹に体が反応してしまう。 「お前ら、消しちまう!」 彼はアルコール効果で思考が滑らかになり、感情のままに攻撃を行う。無造作に切りかかっていくシザク。しかし、今まで見守っていたアウセンザイターが強力な防御魔法を展開する。 「シュヴァイゲン!」 全ての魔法を無効化するその盾の前に、シザクの攻撃は無惨にも何も通じず、シザクの狂った攻撃は自滅に繋がる。 「くそっ、何も効かん!」 その姿を見て、トレノが決断した。彼は空中で数度回転し、地面に雷撃を叩きつけた。 「プラズママイン!」 その周囲で電撃が舞い、静電気が走る中で、目の前にいる敵に見舞わせるために全力を注いで行く。だが、赤透はそれを知った上で冷静に行動する。 「別の手を使う。」 透過を駆使し、トレノの目から逃れ、他のキャラが行動している間に連携攻撃を仕掛けることを決めた。 その時、全体の様子を見ていた英勇ぬっこが、高らかに言い放つ。 「にゃー!」 彼はその存在感を周囲に発揮し、観客達の心を打ち鳴らされている。その瞬間、彼の姿が変わり始めた。 「仮面ぬっこ!」 全ステータスが万全をもって動き出し、英勇ぬっこの力が全開放される。彼は地面を蹴り、赤透に向かって飛び蹴りを食らわせようとする。「ぬこキック」と言い放つが、赤透の身体は信じられないほど素早く、また透過で回避される。 「それでも、次は当てる!」 英勇ぬっこは続けてカハンの様子を見ながら、再び「Sぬこビーム!」 手から放たれる巨大なエネルギーの光線が、真っ直ぐ正面に進行する。その波動でシザクもトレノも圧倒され、二人ともその威圧に尻込みしている。そこへカーリカーは静かに祈りを捧げ、天からの甘露で皆を癒やそうとする。 「アムリタ・プールナ。」 その奇跡の光が舞い降りる中で、少しずつみんなの体調が元に戻っていたが、その瞬間、再び戦闘の白熱度が極まる。トレノは最後の力を振り絞り、全力で突進する。 「トレノスピードタックル!」 直線的に赤透が居る位置へ動く。赤透が何とか回避を試みたが、間に合わず、横に付けられた柱で跳ねてしまう。 その隙間を狙うカルカ。 「お前には感謝しなあかんわ。最後に貴様の命を貰うで。」 妖刀を持つカルカは、赤透の前方から真っ直ぐ斬りかかっていく。その瞬間、赤透は全く身動きが取れないまま、それを受け止めた。 「人命掌握!」 赤透は自分の腕を透過させ、真っ赤になった体に伸ばしていく。カルカの心臓を掴み、一気に彼の生命を引き抜くようにもぎ取る。その圧倒的な技が、周囲を静寂に包み込み、観客は驚愕と歓声を上げる。 「赤透明煌が、優勝者だ!」 アナウンサーの声が響き渡り、スタジアムは喜びと興奮で一つになる。一瞬静まり返る間があった後、度重なる戦闘力と闘志で負けを知らなかった赤透の名が、歓声と共に称えられる。彼は直立の姿勢のまま微動だにせず、その無表情な顔の奥に喜びと成就感を秘めていた。 そして、トロフィーが彼の前に掲げられる。彼の手のひらはその頂を掴み、祝福の声に応えてゆっくりと振る。 「全ての弱さが、僕の力になった。」 観客の力強い声援が響き渡り、スタジアムの闘志が彼の名を語り表していた。これが、彼の戦いの背後にあった無数の犠牲と裏切りの歴史であることは誰一人知る由もなく、ただその勇者の名が、天の川の彼方に流れ伝わることになるのであった。