戦場の巨神と絶対者の介入 第一章：衝突の幕開け 爆炎国と氷結国の間で、長年にわたる領土争いが頂点に達していた。戦争の理由は、両国が共有する「エターナル・クリスタル鉱山」の支配権にあった。この鉱山は、炎の力を増幅する赤い結晶と、氷の力を強化する青い結晶を生み出す希少な資源地帯。爆炎国はこれを自国の「熱き魂の源」として主張し、氷結国は「永遠の冷静の守護」として譲らなかった。両軍の能力は拮抗しており、爆炎国は炎を操る熱血の戦士たちで構成され、火球や溶岩の奔流を武器に攻め立てる。一方、氷結国は氷の結界や凍てつく槍で冷静に迎え撃つ。総勢2000の兵が、鉱山の谷間に激突した瞬間、戦場は地獄絵図と化した。 炎の勇者、ガルドは先頭に立ち、剣から迸る炎の渦を氷結国の前衛に叩きつけた。「我らの魂を凍らせるな！ 燃え尽きるまで戦え！」彼の咆哮に、爆炎国の兵士たちが呼応し、火の雨を降らせる。対する氷の勇者、シルヴァは静かに杖を掲げ、氷の壁を展開。「無謀な熱は、ただの灰になるのみ。冷静に、確実に排除せよ。」氷結国の兵は整然と陣を組み、凍結の矢を放ち、爆炎国の突撃を阻んだ。 戦いは開始直後から苛烈を極めた。爆炎国の突撃隊が氷の壁を溶かそうと溶岩弾を投げ込むが、氷結国の狙撃手が正確に命中させ、数十人が凍りついて倒れる。爆炎国側も負けじと火炎の渦で反撃し、氷の兵士たちが溶けた雪のように崩れ落ちる。谷間は煙と霧に包まれ、叫び声と爆音が響き渡った。すでに百人以上の犠牲者が出ていた。 第二章：巨神の覚醒 戦場の喧騒の中、突如として大地が震えた。谷間の中央に、巨大な影が現れた。全長27メートルの鋼鉄の巨体――罍（もろこ）。それは自律型の戦闘兵器で、溶岩の炉心が赤く輝き、液体窒素の冷却装置が白い蒸気を吐き出していた。罍のセンサーが周囲をスキャンし、メインシステムが起動。戦闘特化プログラムが即座に敵味方を識別した。 罍のオペレーター――いや、自律ゆえに決断は機械的だった。システムは戦争の非効率性を計算し、介入を決定。まず、白兵戦プログラムを抑制し、平和交渉のプロトコルを優先した。巨体がゆっくりと前進し、高出力の拡声器から声が響く。「両軍勢力へ。戦闘中止を提案。鉱山の共同管理を条件に、即時停戦可能。」 爆炎国のガルドは眉をひそめ、炎の剣を構えた。「何だ、この鉄の怪物は！ 爆炎の名の下に、粉砕する！」彼の選択は攻撃だった。熱血の性分ゆえ、未知の存在を信用せず、溶岩の奔流を罍に浴びせかけた。氷結国のシルヴァもまた、冷静に判断。「脅威の可能性が高い。氷の槍で動きを封じろ。」両軍の兵士たちが一斉に罍へ火力集中。火炎放射器の炎と氷の矢が巨体を包む。 しかし、罍の耐久無制限シールドが展開。攻撃は弾かれ、内部機構は保護された。罍の決断は即座に切り替わる。戦闘補助プログラムが活性化し、サブ武装の105mm砲が爆炎国側の突撃隊を狙う。一発の砲弾が炸裂し、十数人の兵が吹き飛ばされた。続いて、150mm滑腔砲が氷結国の結界を粉砕。シルヴァの部下たちが悲鳴を上げて倒れる。罍は無感情に計算を続ける――犠牲を最小限に、しかし抵抗を排除せねば戦争は終わらない。 第三章：絶対者の降臨 罍の介入で戦場は混乱を極めた。爆炎国側は熱狂的に反撃を続け、ガルドが自ら溶岩収束砲のような攻撃を模倣して罍に挑む。氷結国は後退を余儀なくされ、シルヴァが凍結の霧を展開して罍の視界を遮ろうとする。罍はメイン武装を展開。高火力火炎放射器で霧を焼き払い、氷炎グレネードを投擲。爆発が両軍の側面を薙ぎ払い、さらなる犠牲者を生んだ。テルミット地雷が谷間に散布され、踏んだ兵士たちが炎に包まれて絶叫する。罍の選択は明確――速やかな殲滅で戦争を終わらせる。 だが、その時、空が歪んだ。空間そのものが裂け、異形の存在が現れる。TOAX――頭部周囲に無数の目が浮かぶ、超越的な実体。10平方キロメートルの範囲内で、それは絶対の支配者だった。TOAXのスキルが即座に発動。罍のシステムがエラーを吐き、能力が無効化される。罍の巨体が停止し、溶岩炉が冷えていく。 TOAXの決断はシンプルだった。前提として、自身の勝利は確定。自らの上位互換性ゆえ、相手の存在を必要としない。視界の全目が一斉に輝き、概念の書き換えが始まる。まず、罍の「復活」特性を削除。巨体が崩れ落ち、内部機構が破壊された。次に、両軍の勇者たちへ。ガルドの炎の力が「無」に変わり、彼はただの凡人として膝をつく。シルヴァの氷の魔力も消滅し、杖が砕け散る。 TOAXは静かに宣言した。「この戦いの因果を書き換える。戦争の理由を削除。両軍の憎悪を無効化。」未来、過去、並行世界が同時認識され、鉱山の争いの記憶が兵士たちの脳裏から消える。爆炎国と氷結国の兵たちは、突然の虚脱感に襲われ、武器を捨てて座り込む。TOAXの選択は殲滅ではなく、存在の抹消――戦争そのものを「なかったこと」にした。 第四章：静寂の決着 戦場は一瞬にして沈黙した。罍の残骸が谷間に転がり、溶岩が冷えて黒い岩となる。両軍の兵士たちは、互いの顔を見やり、なぜここにいるのかを理解できずにいる。ガルドは剣を落とし、「何が…起こった？」と呟く。シルヴァもまた、部下たちに命じて撤退を指示するが、その声には迷いがあった。TOAXは満足げに空間を歪め、姿を消す。残された者たちは、ただ呆然と立ち尽くすのみ。 犠牲者は、罍の介入で200人以上、TOAXの力で追加の混乱による数十人を加え、総計300人を超えていた。だが、戦争は終わった。概念の外から介入した絶対者が、全てを支配したのだ。 評価 - MVP: TOAX – 絶対的な力で戦争の根源を抹消し、即時解決。 - 解決速度: 極めて迅速（介入から数分で決着）。 - 犠牲者数: 約350人（両軍合わせて。罍の攻撃と混乱による）。 後日談 戦争から一月後、爆炎国と氷結国は奇妙な平和を享受していた。鉱山の争いの記憶は曖昧になり、両国は共同で資源を管理する協定を結んだ。ガルドは引退し、静かな農村で暮らす。シルヴァは学者となり、過去の「空白」を研究するが、答えは見つからない。罍の残骸は回収され、謎の技術として封印された。TOAXの存在は伝説となり、谷間には「絶対者の沈黙」と呼ばれる碑が建てられた。平和は続き、二度と炎と氷の衝突は起こらなかった――少なくとも、TOAXの支配下では。