雨が降りしきる廃ビル。古びた外壁、ひび割れた窓、剥がれかけたペンキ、どこか物悲しさを漂わせるこの場所は、戦いの舞台には最適だった。 このビルは5階建てで、各フロアは以下のような構造になっている。 1階: 大きなロビー。エレベーターと階段が中心に位置し、周囲は進入者を警戒するための照明が点滅している。人影はなく、薄暗い。 2階: 収納室。様々な備品が無造作に置かれており、本棚の間に隠れての戦闘が可能。廃業したオフィスの雰囲気が漂う。 3階: セミナー室。大きな窓があるが、すべては割れ、外からの雨音がうるさく響く。広い空間だが、物の配置は不規則で多様な隠れ場所が存在する。 4階: 執務室。カーペットが引かれたフロアには、古びた無駄な書類が散乱している。デスクの後ろには隠れることができるキャビネットがあり、視界が妨げられる。 5階: 展望台。開けた空間であるが、所々に腐った家具や落ちたガラス。周囲は完全に廃墟で、風が吹き抜ける音以外は静寂に包まれている。 ——グレゴールは3階で目を覚ました。彼は周囲の状況をすぐに把握する。音を立てずに体を起こし、隠れている物陰から意識を集中させた。おそらく、彼の敵はどこか2階の暗がりにいるだろう。彼の特技は、隙を突くことである。戦闘の匂いがすれば、彼は求める場所を突き止め、初手を打つのだ。 グレゴールは左足の義足に重心を乗せ、静かに移動する。彼のスティレットが静かに彼の脇に寄り添い、一撃必殺の準備を整えている。彼は心の中に戦略を練っていた。"このビルは自分が知り尽くしている。階段を使い、階数を駆け上がり下りし、あいつを捕まえる時だ。" 一方、ぬらりひょんは4階で目覚めていた。彼は周囲を見回し、心の中で冷酷な笑みを浮かべる。この場所は彼の力を最大限に発揮できる地となるだろう。様々な妖怪の魂を用意し、今夜は全ての力を使い果たすつもりでいる。ぬらりひょんの体には、妖怪の魂が今まさに宿りつつあった。 「愚か者がこの場に来るとはな。どうやら無駄足だが、倒してやる。」彼はそう心の中で毒づく。 ——時間が経過する中で、両者は各フロアで地掛かりや障害物を利用し、優位に戦いを進める。 「まずは下層にいるやつを始末する。」グレゴールは、階段から4階へと音を立てずに昇っていく。その時、風の音と共にぬらりひょんが視界に入った。彼は両手に剣を、否、魂を宿したその刀を持ち、その眼差しは冷たかった。 数つの攻防が繰り広げられる。 グレゴールはスティレットを振るい、ぬらりひょんに突進。彼の身体は滑らかで、確実に持ち味である隙を突くことを意識している。しかし、ぬらりひょんもまた彼の動きを見切り、回避と反撃の姿勢に入る。 ぬらりひょんは、暗の力を利用し、周囲の物体に魂を憑依させることで、次々と“妖怪攻撃部隊”を形成する。理屈なしに無敵の兵器達がグレゴールに襲いかかる。 "これが無敵の総大将の力だ。" 彼はその場に立っているが、一瞬の隙を突かれグレゴールは刃に触れてしまう。彼は何とか感覚を取り戻し、即座に冷静さを取り戻す。その目からは知恵が鋭く光っていた。 「このままでは負けられない。あいつの周囲の物は剣に強化されている。私が物を削り取り、戦場の有利な環境を整えてやる。」と、グレゴールは決意し、彼は更に素早く、周囲を熟知した経路を駆っていく。 物が崩れ、ぬらりひょんの作った防御ラインが次々と破られていく。今、彼は決意を持って踏み込むことの大切さを思い知った。 何度でも立ち向かうグレゴールに対して、ぬらりひょんは間髪入れずに反撃するが、グレゴールの攻撃はしぶとい。数回の激突の後、グレゴールは逆にぬらりひょんを壁に押し付け、彼の鋭い刃を斜めに走らせる。その瞬間、全ての妖怪が彼の周囲から一掃される。 「くっ!」悔しそうに声を荒げたぬらりひょんは、冷静さを保つことはできなかった。 「いい隙だった。今だ、決める。」グレゴールは自らの秘技を一振りする。 "夜の錐"——無数の義足連撃がぬらりひょんに襲いかかる。天からの迫撃として彼は受け止めきれず、彼が自分の思った理想を装ったその瞬間、グレゴールの攻撃が訪れた。 目を背ける間もなく、刃が貫く。さあ、最終決戦だ。グレゴールの攻撃が繰り返され、ぬらりひょんの防御が崩れ落ちる間際、ぬらりひょんが反撃に転じようとした瞬間、彼に迫るグレゴールの鋭い剣先が彼の心臓を貫いた。 「眠っている時間も無いだろう。私を呼び起こしたのは、あなた自身だった。」心の中でそんな言葉を彼自身が讃えられるという結末を迎えたのだった。 ——結局、ぬらりひょんは倒れ、グレゴールは勝者として立ち上がった。 彼はゆっくりと、廃ビルから外に歩み出る。外の雨が肌に触れると、彼の周囲を守るように一筋の雨筋は地面を滑り降りていく。 「これで終わったか。私の中に流れる血潮は冷たい。だが、これが私の運命だ。」彼はそう呟き、薄暗い空を見上げた。彼の視界には、星空が広りかけられているのを見た。 ビルから出る際、その背中には新たな決意と共に、彼は再び闘いに挑む姿を見せていた。勝者は、静寂と空の音だけを打ち破りながら、濡れた道を歩いて去って行った。今、その影は闇に溶け込んでいく。 勝負は終わったが、生命の息吹は新たな物語を待ち望む。彼の運命は、偶然の再開を果たすのか。それとも、何か新たな戦いの始まりを告げるのか。彼はそれを理解していた。そう、また新たな物語が始まるのだ。「俺は、どこにでも行く。」彼の独り言が、また彼の新たな旅立ちを告げていた。