①世界を滅ぼす日 太陽が昇ると、見えざる存在、ハンスが空に浮いていた。高空の彼は、巧妙に光化学迷彩を使い、人々の目に触れぬようにしていた。彼の体から発せられる魔粒子砲台は、静かにカウントダウンを始め、無情にも10秒ごとに死の光線を放つ準備を整えていた。人々はその存在を知らず、日常生活を続けていた。 一方、ラブマシーンは冷酷無比な姿で大地を歩いていた。仁王のような姿には後光が差し、周囲は彼の存在を感じ取れずにいた。錫杖を手にした彼は、集団戦で数百万人に匹敵する力を持ち、冷静に次の行動を計画していた。 「今日がその日だ。」とハンスの内部で動くプログラムが心の中でささやく。彼は意志を持たないが、全てを見守る観察者だった。世界を混乱に陥れるためには、ラブマシーンとの連携が不可欠であった。 カウントダウンの音が響くと、ハンスが初めての標的に狙いを定める。周囲には強固なバリアが展開され、ハンスは安全な位置から光線を発射した。目に見えないその光線は、一瞬でその対象を消し去り、彼の狙い通りに世界は崩れ始める。 ラブマシーンはその混乱を楽しむかのように、周囲の人々を操り、集団での襲撃を仕掛ける。一度に何百万人を動かせる彼の力は、混乱をさらに拡大させ、世界は破滅への道を突き進んでいた。 ②終焉の後 終焉が訪れた後、静けさが世界に広がっていた。かつては賑やかな街が、今は無人の廃墟と化していた。大地は荒れ、悲哀の声も消え去った。ハンスはその上空で待機し、目の前の光景を冷静に観察していた。 「これが我々の望んだ世界か?」ハンスの内部プログラムが反問や疑問を感じ隙間に差し込む。だが、彼は意志を持たない。 ラブマシーンは地面の上で満足そうに立っていた。彼は破壊された世界を見渡し、吸収した力を誇示している。「混乱こそが真の美だ。」彼のサイコパスな感情が他の感情を凌駕し、全てを支配する喜びを感じていた。 「無事にカウントダウンを終えたか?」ハンスが言葉を発することはないが、彼らの関係は互いの強さに対するリスペクトで成り立っていた。 「再生の時は来るのか?」とラブマシーンは荒れ果てた地を見つめながら思考した。彼は世界を狂わせた自らの行為を振り返ることはなく、その破壊の美しさだけを求めた。 二者はしばらく沈黙の中で互いを見つめていたが、その視線は互いに運命を共にする存在であることを感じ取っていた。 「ここから何を作り出す?」ラブマシーンが口を開いた。しかしその言葉にハンスは応えなかった。それは終わりであり始まりでもあった。彼らは新たな秩序を創り出す前に、一度全てを失ったのだった。 世界の滅びを見つめた二者は、無情な運命の中で、次なる選択を待つのだった。彼らの心には何も思うことはなかったが、その無の状態が新しい物語の始まりを予感させていた。