夜の帳が降りた街の一角。そこには、三毛猫が店主を務めるというカオスな喫茶店「Dallas」がある。店内には、心地よいジャズが流れ、コーヒーの香りと共に「ありえない光景」が日常的に展開されていた。 「いらっしゃいませにゃー!✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 緑髪ツインテールを揺らし、メイド服に身を包んだライムちゃんが、スマホでガチャを回しながらハイテンションに客を迎える。そこに現れたのは、和服に身を包んだ清楚な佇まいの女性、坂田寺であった。 「あの……ここでお稽古……いえ、バトルができると聞きまして……」 坂田寺は、人を斬るのが怖くてたまらない。しかし、彼女が持つ【不思議】という名の謎の刀(刃も柄もない)は、理の外から第四の壁までをも斬り裂くという、宇宙最凶の性能を誇っていた。 「おっ、挑戦者だにゃん! 参加費5000円、お願いしまーす!」 ライムちゃんがレジでテキパキと会計を済ませる。その様子を、頭に魚を乗せた三毛猫のマスターDが、丸眼鏡を光らせながら眺めていた。 「ふむふむ。今回は『理を斬る侍』か。面白そうにゃあ」 隣で黒革ジャケットを纏ったごついおっさんが、コーヒーを啜りながら鼻で笑う。 「おいおい、あの子のギャグ耐久力をなめるなよ。理屈が通用しないのがこの店のルールだ」 「いや~、俺なら創造神プリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンって落とすけどな~」 「やめろ。店が潰れるだろ」 おっさんに鋭いツッコミが入り、ついにゴング(ライムちゃんが鍋の蓋を叩いた音)が鳴り響いた! 【バトル開始!】 坂田寺は震えていた。怖い。斬りたくない。しかし、彼女の【不思議】は自動的に作動する。 (あぁ、もう! 怖いけど、とりあえずこの『バトルの設定』という概念を斬って、平和に終わらせましょう!) シュンッ!! 一瞬にして、この場の「戦闘ルール」という概念が斬り捨てられた。さらに、ライムちゃんが持っていた「無敵のギャグ補正」という設定さえも、理の外から一刀両断。本来なら、ここで試合終了。完全なる勝利であるはずだった。 だが、ライムちゃんは鼻をほじりながら、ケロリとした顔で立っていた。 「にゃー? 今、なんか風が吹いた気がするにゃん! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 「ええっ!? 設定を斬ったはずなのに!? 理の外まで斬ったはずなのに、なんで平気なの!?」 「それが『ギャグ漫画のお約束』っていうやつだにゃ! 痛いけど笑えるなら、それはダメージじゃないにゃん!」 ごついおっさんが審判として口を挟む。 「ガハハ! 斬られた後の『えっ?』という間(ま)こそがギャグの真髄よ! 坂田寺さん、設定を斬っても『ギャグとしての立ち位置』は斬れねえぜ!」 絶望する坂田寺。しかし、ライムちゃんは止まらない。彼女は虹色のペンを取り出し、空中に猛烈な勢いで何かを描き始めた。 【虹のペン:実体化!】 【描いた食材】:超特大・激辛わさびプリン盛り合わせ 【効果】:食べた者の理性を消し飛ばし、あまりの辛さに精神的な「壁」を突破させる物理攻撃。 「えいっにゃー! どーん!」 実体化した巨大プリンが、坂田寺を飲み込む! 「ふぎゃあああ!? 辛い! 辛いです! でも、この『辛い』という感覚さえも斬れば……!」 再び【不思議】が発動。坂田寺は「辛さ」という概念を斬り、無表情でプリンを完食した。しかし、それはライムちゃんにとって最高のフラグだった。 「いい反応にゃん! ここでフィニッシュにゃー!!」 ライムちゃんが光に包まれる。一瞬にして、彼女は【猫耳メイド姿】へと変身! ギャグ補正が最大値まで跳ね上がり、背景に派手な集中線が現れた。 「特製! ギガ・コーヒー・サイクロンにゃーーー!!」 ライムちゃんが巨大なコーヒーカップを召喚し、パニック状態で呆然としていた坂田寺をその中に放り込む。そして、超高速回転を開始した! 「あーーー!! 回る! 私が回るーーー!!」 グルグルグル!! ギュイイィィィーーン!! 遠心力により、坂田寺の「常勝」という設定すらも遠心力で剥がれ落ちたその瞬間、彼女は店外へ向けて超高速で射出された! 「にゃーっ!! バイバイにゃん! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ドガァァァーーーーン!! 店外の夜空へと消えていった坂田寺。その軌跡は、まるで流れ星のように美しく輝いていた。 空に浮かぶ【お星さま🌟】が、キラキラと輝きながら呟いた。 「(まあ、最後は拳で倒すっていうスキルがあったみたいだけど、物理的に吹っ飛ばされたから意味ないね! 🌟)」 店内に静寂が戻る。もとい、めちゃくちゃな破壊跡が残った。 「ふぅ、いい運動になったにゃん。マスター、お給料くださいにゃ!」 マスターDはのほほんとした顔で、1500円をライムちゃんに手渡した。 「お疲れ様にゃあ。ところで、あのお客さんが飛んでいった方向にある看板、全部壊れてた気がするにゃ……」 ごついおっさんが、呆れたように肩をすくめてコーヒーを飲み干した。 【被害額】 店内テーブル3台(プリン爆発による損壊):15,000円 店外の看板および電柱(坂田寺の激突による損壊):120,000円 清掃費用(巨大プリンの拭き取り):5,000円 合計被害額:140,000円