夕焼けに染まる樹海の中、赤く燃える太陽が水平線に沈もうとしていた。その美しい光景とは裏腹に、世界は戦いの渦に巻き込まれようとしていた。そこで待ち受けていたのは、無気力な容姿をしながらもその実力は圧倒的な存在、夜鳴き鴉・夜烏だった。彼の目には淡々とした冷めた視線が宿り、すでに敵への興味を一切示さない。それでも恐れられる力を持っている。 「まさか、こんな所でお前らに会うとはな。暇つぶしの相手ができたな、心してかかってこい。」夜烏は口を開いた。毒舌な物言いながらも、その態度にはまったくやる気が感じられない。 そんな彼に対抗すべく、やって来たのが兎獣人のバレット・ラビィと熊猫獣人のパルラ・パンディアだった。バレットの目は戦闘に向けた真剣そのもので、かつての狙撃手としての冷静さが滲んでいた。彼は双銃を構え、パルラが薙刀を両手にしっかりと握りしめている。彼女の目には、一種の闘志が宿っていた。 「よろしくお願いします!」と元気な声を上げるパルラ。まだ14歳とは思えないほどのやる気に溢れる姿勢が、バレットの心を少しだけ和ませた。 「お前の元気さが逆に心配になるな。余計な動きをするなよ、分かってるな?」バレットは注意する。だが、彼の目にはどこか期待も交じっていた。 戦闘が開始された。 バレットは一瞬で動く。彼の敏捷さは並外れており、相手の攻撃を巧みに避けながら射撃を開始する。彼の技【ガン=カタ】が発動し、跳撃の動きで体を反転させつつ、連続して引き金を引いた。音速で飛ぶ弾丸が夜烏に向かって放たれる。 「うっわ、朝のラジオ体操か? こんな突っ込み方、初めて見たぜ。さすがにせめてもうちょい神秘的に動けよ。」夜烏は冷笑。 その冷たい笑いが彼の心には響き、バレットはさらなるボルテージを上昇させた。心臓の鼓動が高まり、無意識のうちに能力が発動する。「教えてやる。お前の力の前には、無限の壁なんてない。」 「バレット先輩、行きますね!」パルラが薙刀を振り下ろし、一気に間合いを詰める。 「《イー》!」 力強く斬り込み、夜烏に向かう。一撃目が放たれた。 しかし、夜烏は【夜翼】を展開し、空中へと舞い上がる。彼の背中から生えた巨大な翼が、太陽の光を遮り、その姿を不気味に変えていく。 「ふーん、やはり猿真似か。頃合いさえ間違えなければ、こいつはとっても簡単だぞ。」夜烏は得意げに言葉を放つ。 バレットはその言葉にイラつくが、同時にその挑発に乗せられることなく冷静を保ち続ける。「やらせはしない、絶対に。」 続けて、パルラは攻撃を続ける。「《アル》!」大きな振りかぶりからの薙ぎ。彼女はその度に、威力を倍増し続ける。 夜烏は動きにくい空中で、バレットが彼女の形を見極めて射撃のタイミングを図る。そして、憧れの眼差しを持つ彼女に声をかける。「まさか、意地の悪い相手に今まで教えた技を使おうとしていたのか? 基礎すら成り立たんぞ、そいつには!」と。 だが、パルラの精神にはもう何も入らない!彼女は「《サン》!」と力強く叫び、激しい薙刀の舞を披露する。それでも夜烏は計算された動きで避ける。 「おいおい、こりゃ修行しなおす必要がありそうだな。」夜烏は冷やかすが、それに負けじとバレットは射撃に入る。【煙幕】を使って視界を遮る。そしてその隙に、狙撃という方法で夜烏の足元を狙い撃つ。 「……逃げ隠れ、つまらない。」 「それでも、当たるわけにはいかないからな。」バレットは声を上げる。 夜烏はその言葉に不敵に笑い、再び《八咫烏》を使用する。赤い炎の波が近づく。だが、バレットとパルラはそれを巧みに避け、体を入れ替えつつ戦う。 「《スー》!」パルラが最後の一撃を放つと、空間が断絶するような切断音がした。 だが、夜烏は「塵も残らんからな。」と呟きながら【八咫烏・宵連】を発動! 夜空が一瞬で青白い炎に包まれ、樹海の木々が焼かれ、二人の姿もそこには見えなくなる。 「負けるわけにはいかない、負けるわけにはいかないんだ!」と叫ぶバレット。 彼はその時、ボルテージが頂点に達する。その瞬間、彼の心は無限の力で満たされ、彼のエネルギーが弾丸に変わっていく。 「Rabbit bullet!」 力強い声と共に、黒い彗星の様な弾丸が夜烏の方向へ飛んでいく。 夜烏はそれを見て、淡々とした音で言った。「ああ、もう終わりか。ご苦労様、私が本気を出す必要があっただけだ。」 弾丸が彼に命中し、夜烏は一瞬の隙を見せる。だが、「俺はここじゃ終わらない。」と炎を放出し、周囲が一瞬変わる。 そして、その一瞬の時間は、パルラとバレットの全ての努力を無に帰していく。 戦場に立つ者の目には、敵の反逆が見えた。しかしそれを打破する力は、波のように彼らにむかって襲いかかる。 その後、炎は静まり、樹海の一角が焼けた。 夜烏は驚くような冷静さで二人を見つめていた。 夜烏の反乱の前に、巧妙な立ち回りも苦境の分析によるものも、全てが霞んでしまう。 最後の一手で勝負に出たバレットとパルラだったが、彼らの戦いは夜烏には及ばなかった。 「勝者は俺、決定だろ。」夜烏の言葉が落ち、樹海は静まりかえった。 しかし、戦えたことへの誇りと、無駄ではなかったという思いは、心の奥に根付いていた。 MVP: バレット・ラビィ