薄暗い闘技場に、痛みと闘志が交錯する。闘技場の主人、負傷者は、何度も死にかけては立ち上がってきた。そのシルエットは、まるで不滅の炎のように揺らめいていた。彼の手には、古びた剣が握られ、それは時折神々しい光を放ち、不気味な輝きを持っていた。負傷者の心の中には、勝利への執念が渦巻いている。 一方、その対戦相手、68歳の中谷今葉は、白いコートを身にまとい、優しさを湛えた瞳で負傷者を見据えていた。彼の存在感は、まるで優しい風のようでありながら、しっかりとした決意に満ちている。今葉は、過去の悲しみを背負い、心の強さを武器に変えることで、すでに戦闘の心構えを整えていた。彼の真の特殊能力は、攻撃の意思を持つ相手の動きを止める力。負傷者が全力でぶつかっていこうとも、彼を止める力がある。 「行くぞ、覚悟しろ!」負傷者は剣を高く掲げ、力強く一歩前へ踏み出す。彼の身に刻まれた負傷は、彼の魂を揺さぶり、意志を炸裂させる。頭は痛く、身体は重いが、それでも彼は憎しみや痛みを忘れ、ただ目の前の敵に対して戦うことしか考えられない。剣を強く握り直し、全身から溢れ出るエネルギーが炎のように彼を包む。 中谷今葉は、一瞬のうちにその動きを予測した。彼はいかに強力な技を持っているとしても、攻撃の意思を抱けば、彼の動きは止まってしまう。今葉は負傷者の動きを見つめ、その剣がどこへ飛ぶかを計算し、冷静に対処しようと構えを整えた。二人の意志が交錯している瞬間、時間がゆっくりと流れていくのを感じる。 負傷者が突進し、古びた剣が空中を切り裂く。その刃は、光を反射しながら刃の先が今葉に向かって直進していく。しかし、今葉はその瞬間、彼の目が鋭く光るのを感じた。彼は反射的に身を引き、その場から回避することで、負傷者の一撃を難なくかわした。 「まだだ、まだ終わらせない!」負傷者は再び立ち上がる。負傷が彼の身体を蝕んでいるが、逆にそれは彼の回避や防御技術を向上させ、力強くなっていた。彼は恐れることなくスピードを変え、今葉の周囲を動き回る。負傷者の動きは今葉にとって新たな挑戦であり、予測が困難であった。 負傷する度に増していく鋭気は、彼にさらなる力を与える。彼は知恵と銃火式で攻撃を仕掛け、剣を何度も振り下ろす。 しかし、今葉の特殊能力のおかげで、どんなに破壊力ある一撃でも彼の能力によって一瞬で止められてしまう。彼には攻撃の意志を持っている相手の動きを止める力があるからだ。このような攻防が数回繰り返されるたび、負傷者の精神は高まり、彼の中で燃える炎は増唇しながらも、決して消えることはなかった。 「こんな状態じゃ…終わらせられない!」負傷者が憎しみをこめて叫んだ。 今葉はその叫びに反応し、彼の心の中に変化があるのを感じ取った。「いいかい、負傷者。勝つためには、時には攻撃を止めなければならないこともある…」彼は優しく語りかけるが、負傷者はそんな言葉を無視し、ただ接近する。 「俺の一撃は必ずあんたを仕留める!」 剣を踏みしめ、彼の全身が光り輝く。負傷することによって増していく力が、まるで波のように今葉に押し寄せ、最後の一撃を放とうとする。 その瞬間、負傷者はこの一撃で勝利を果たす決意に満ちた。脱力した身を整え、全力で突進し、目の前の相手を狙う。今葉はその動きに反応し、またもや彼の特殊能力を発動させようとする。 だが、負傷者の心は痛みを記憶として刻まれていた。彼の意志の力はそれに勝ってしまった。突進と同時に、彼は一瞬の判断でその衝撃を感じ、自らの体でその力を受け止める。思い返せば、かつての多くの戦いも思い出しながら。 しかし、古びた剣が今葉に刺さり、互いに絶望的な状況に陥った。激闘の果て、負傷者は自身の命を賭け、最後の力を振り絞り、致命的一撃を上げた。中谷今葉の身体が崩れ落ち、その優しさの象徴であるコートが地面に広がった。 負傷者はその勝利を感じながらも、彼の中にあった痛みが軽減することはなかった。それはこの闘技場で何度も繰り返された死闘の一つであった。負傷者は今なお未来を目指し、再び剣を振り起こしていく。 彼の名は、負傷者。彼は決して折れない意志を持って、闘技場の主人として、また新たな戦いの準備を進めていくであろう。