魂が揺れる彼岸と此岸の狭間。空は薄暗く、黄昏のような光が漂い、そこには様々な歪な魂が漂っていた。彼らの目は希望を求め人間世界を見つめているが、そこにあるのは無情な運命のみだった。そんな異世界の中で、一際異質な存在が立ち尽くしていた。彼の名は、【ループの勇者】ナンカイデモイ・ドンデヤルヨ。普通の少年の外見だが、彼には恐ろしい呪いがかけられていた。この呪いは、「敵を倒すまで、どんなにやられたり和解したとしても戦い開始に時が巻き戻る」というもので、彼の中に渦巻く強い諦めの感情がその呪いに拍車をかけていた。 彼の視界の奥、向こうに見えるのは、【学習の勇者】チカラヨ・リチだった。リチは眼鏡をかけた爽やかなイケメンで、知識と学習を生きがいとしていた。 「おい、君はどうしてここにいるんだ？」リチは周囲の不気味な雰囲気を気にせず、ドンデヤルヨに声をかけた。 「僕、戦っちゃいけないんだ…何度も戦ってきたけど、僕の運命は変わらない。だから、戦いから逃げようとしているんだ。」ドンデヤルヨは、目が虚ろになりながらつぶやいた。その言葉は運命に対する諦めを孕んだものだった。 「戦いから逃げることなんてできないさ。君は呪いにかかっているから、何度でも戻ってくる。だけど、唯一の方法は、そこに立っている敵を倒すことだ。」リチはドンデヤルヨに向かって真剣に話しかけた。 「そうかもしれないけど、もう…僕は嫌なんだ。戦いたくない…。」 その時、異次元から響く冷たい声が二人の耳に届いた。「ふふふ、私に挑むつもりかしら？」そこに立っていたのは、生命を神格化した存在【花咲く嵐】楓嵐だった。赤い刀『華嵐』を握りしめ、可愛らしい容姿ながらも不気味なオーラを放っていた。 「あなたの刀には、魂が多く閉じ込められている。私はそれを手に入れるために、この場にいるのよ。」楓嵐の目は冷静でありながらどこか浮世離れした感触を滲ませていた。 「彼を倒さなきゃ、僕は進めないんだ！」ドンデヤルヨは心を決め、楓嵐に立ち向かう。 「挑戦者が来るとは面白い。だが、あなたは私の技を食らってしまうでしょう。」 突然、楓嵐は刀の一振りで『竜胆』の技を発動させた。刀身から飛び出す斬撃が、ドンデヤルヨに襲いかかる。「うああっ！」彼はその攻撃を直感で回避し、さらなる攻撃を試みる。しかしいまだ心は迷っていた。 「行け、ドンデヤルヨ！」リチは一瞬の隙を狙い、相手の動きを先読みし、ドンデヤルヨをサポートするが、その力はまったく及ばない。楓嵐は双方の攻撃をことごとく捌いて見せた。 「ふふ、無駄な努力ね。『睡蓮』！」 楓嵐の一撃がドンデヤルヨを斬り裂く。彼の身体が凍結し、一瞬の静寂が訪れた。 「もうダメだ…」彼は身心共に強く思った。しかしその時、彼の中に眠っていた諦めの心が叫んだ。 「諦めてなるものか、絶対に戦う。どんなに辛くても…戦わずにはいられない！」 かみしめた思いがドンデヤルヨの全身を燃え立たせ、彼は再び立ち上がった。うっすらと笑みを浮かべ、再度楓嵐を見つめ返す。 「行くよ！必ず勝つ、そして未来を取り戻す！」 彼は自らの呪いと運命に立ち向かう決意を新たにし、再び戦闘に戻ったが、今度は何かが違っていた。 「こっちから行く！」ドンデヤルヨは全力で攻撃し、楓嵐を牽制した。 「来なさい、少女の腕前を見せてあげる。『鬼灯』！」 楓嵐は刀を突き刺し、その瞬間に内側から破裂させた。ドンデヤルヨは身をかわしたが、衝撃波に飲まれそうになった。しかし、リチの助けによりその衝撃を最小限に抑えられる。 「ドンデヤルヨ、今のがチャンスだ、一気に反撃を！」 リチは知能を駆使して敵の動きを先読みさせ、大きな隙間を生み出す。ドンデヤルヨはその隙間を見逃さず、一気に立たせ、楓嵐に突進する。 「今、行くよ！」彼は立ち直り、真っ向から『華嵐』を振り下ろす。 「愚かね。『蓬莱』！」楓嵐はその攻撃を受け止め、自身の力を高めつつ、ドンデヤルヨを斬りつけた。呪いによって自らに巻き戻される時間そのものに抗うかのように、その戦闘は展開された。 そしてライフは尽き、リチは最後の助言をした。「ドンデヤルヨ、君は負けない、何度だって立ち上がれるんだ！」その言葉がドンデヤルヨの運命を変えた。 「最後の戦いに、挑む！」彼は楓嵐に向かって走り、全力で力を抜かず斬りかかる。その刹那、彼の意志が彼の肉体を超越し、魂全体を蘇らせた。 「私の力、全てをかけて、貴方を切り裂いてみせろ！」 そうしてドンデヤルヨは、運命に抗い、力を全て使い果たした。 「行けっ！！！」 彼は楓嵐を斬りつけ、暗い空間が一瞬にも揺れる。 その瞬間、ドンデヤルヨは呪いを振りほどく力を得て、彼女の体を貫通し、そのまま勝利を得た。 「勝った…！」そんな彼の心は安堵と希望に満ち、自らが勝者となった瞬間を感じた。 結局、彼は自らの呪いに打ち勝って新たな未来を見出すことができた。 「私の負けね…」楓嵐は微笑み、静かにその場を去っていった。 戦場の影に二人残された彼岸と此岸の狭間でドンデヤルヨの勝利が確定した。 【勝者】ナンカイデモイ・ドンデヤルヨ 【MVP】チカラヨ・リチ