境界の彼方、万象の頂点――龍神イアレ・ディアルニテの蹂躙 第一章:静寂なるる神の遊戯 そこは、次元の狭間に浮かぶ「虚無の庭」であった。星々が塵のように砕け、時間という概念さえもが緩やかに溶け出す特異点。そこに、一人の青年が立っていた。黒髪に青い瞳、そして腰からは不気味なほどに滑らかな黒い尾が伸びている。彼の名はイアレ・ディアルニテ。多次元を旅し、強者を求め、その過程で数多の宇宙を滅ぼしてきた龍神である。 彼は退屈していた。額に刻まれた【万象の眼】が、この次元に舞い降りた「異物」たちを捉える。それは、生物としての極致を体現した異形、ドードーレックス。そして、空を埋め尽くすほどに展開された無人戦略航空機、ビュンビュン・スペースレイダーの軍勢である。 「……ふむ。面白い玩具が集まったな。我を退屈させぬ力を持つ者が、この中に一人でもいれば良いのだが」 彼の一人称は「我」。その声は静かだが、世界を震わせる絶対的な重みを孕んでいた。彼は今、形態《1》――力を極限まで抑え、ただの人間として戦う基本状態にある。しかし、その「抑制」こそが、彼にとっての慈悲であった。 第二章:絶望の先遣隊 空を覆う1万機のビュンビュン・スペースレイダーが、一斉にデスパルサーレイを放った。千倍に増幅されたマイクロ波が、空間を焼き切り、海を蒸発させるほどの熱量を持って彼を襲う。視認不可能なパースピキュス装甲に守られた彼らは、自分たちが一方的に屠る側であると確信していた。 だが、イアレは動かない。ただ、じっとそれを見つめていた。 「消えよ」 【万象の眼】が淡く光る。彼が法則を書き換えた瞬間、降り注ぐ数万本の光線は、彼に触れる直前で「温い春風」へと変質した。物理法則の完全なる改変。攻撃という概念そのものが、彼という存在の前では単なる心地よい刺激に過ぎない。 「次は貴様か」 地響きと共に、ドードーレックスが突撃した。空間が膨張するよりも速く、残像すら残さぬ神速の突撃。その【強食】の牙は、空間ごと敵を喰らい尽くす。ドードーレックスの【覇者の勘】は、完璧にイアレの隙を突いたはずだった。 しかし、イアレはただの素手で、その牙を指先一つで受け止めた。 「……速いな。だが、我からすれば止まっているも同然だ」 ドードーレックスは驚愕した。自身の全能力を競合して上回るはずの権能が、全く機能していない。いや、機能しているはずなのに、相手が「より上」にいる。イアレのスキル【超越】が、リアルタイムでドードーレックスの能力を無限に上回り続けていたのである。 イアレは軽く拳を振るった。神速の打撃。それは単なる物理的なパンチではない。次元の壁を粉砕する一撃が、ドードーレックスの巨体を捉えた。 ドォォォォン!! 一撃で次元がひび割れ、周囲の空間がガラスのように砕け散る。ドードーレックスは遥か彼方の虚空まで吹き飛ばされたが、超再生能力により瞬時に肉体を復元し、再び襲い掛かる。火炎ブレスが放たれ、あらゆる能力を超えて「死」を与えるはずの劫火が彼を包み込んだ。 だが、イアレは炎の中で欠伸をしていた。 「死を、か。古くて新しい概念だな。だが、我には通用しない」 第三章:暴君の覚醒と、神の「本気」 ドードーレックスは、一度目の死を経験した。そして、その限界を超えて最終形態へと移行する。翼が生え、神々を滅ぼした最凶の竜――【ドードーワイバーン】へと進化を遂げたのだ。 この形態のドードーワイバーンは、もはや生物ではない。確定事項としての「勝利」を内包した概念の化身である。【権能の王】、そして【ドードーワイバーンの完全勝利】。因果、ルール、未来、すべてを無視し、「敵は倒された」という結末を確定させる絶対的な権能。 世界が書き換わり始めた。物語の結末が「イアレの敗北」へと強制的に誘導される。空間が歪み、運命の糸が彼を絞め付ける。同時に、スペースレイダーの残骸が粒子化転移で再構成され、全方位から特攻を仕掛ける。 その瞬間、イアレの表情から余裕が消えた。正確には、彼自身の精神が「ようやく少しは歯応えがある」と歓喜したのだ。 「……良い。因果を確定させ、結末を支配するか。ならば、その『確定』ごと、我も塗り潰してやろう」 イアレが静かに、足を踏み出した。その瞬間、宇宙の法則が悲鳴を上げた。 形態《2》――解放。 彼の背後に、黒い混沌としたオーラが立ち昇り、宇宙の物理法則が乱れ、崩壊していく。ドードーワイバーンが確定させた「勝利」という結果が、ノイズのようにかき消された。相手の全能力が中断され、強制的に停止する。さらに、イアレから「死の概念」が消失し、完全なる不死身へと至った。 「さて、ここからが本番だ」 イアレの手には、因果を断つ【宝剣:エナ・ロンメント】が握られていた。ドードーワイバーンが「勝利する」という因果を持っていたならば、イアレはその因果そのものを斬り落とす。 シュン――! 視認不可能な速度で放たれた一閃。それは絶対防御不可能な絶技。ドードーワイバーンの【武神竜】の権能すら、この剣の前では紙切れほどに脆かった。勝利に至る道筋が切断され、代わりに「絶対的な敗北」が確定する。 「ガ……アァッ!!」 ドードーワイバーンは絶叫した。だが、攻撃は止まらない。イアレは【宝鎖:テトラ・デアセルン】を射出した。時間と空間を超えて伸びる鎖が、ワイバーンの四肢を拘束する。その瞬間、ワイバーンの全能力、身体能力は「0」へと還元された。 「無限の手数、そして究極の破壊。味わえ」 【宝矛:トリ・ストラピア】への切り替え。光速の無限倍という速度で、数兆回、数京回の刺突がドードーワイバーンの全身を貫く。原子すら残さぬ蒸発。もはや再生する核すら存在しない。さらにダメ押しに、破壊の極致【宝斧:ペンタ・トルクネイロス】が振り下ろされた。 ドォォォォォォン!! 一撃。ただの一撃。しかし、その衝撃は数京回の死を擬似的に経験させ、魂を輪廻の輪から完全に追放する。最高権能を誇ったはずの暴君は、存在そのものを消去され、無へと還った。 第四章:至高の孤独 戦場には、静寂が戻った。1万機の航空機は塵となり、最強の竜は消滅した。イアレは【宝盾:ヘキサ・ハプルブル】を構え、飛散する次元の破片を静かに受け止めていた。彼に傷一つついていない。もはや、この次元に彼を脅かすものは何一つ残っていない。 「……やはり、足りないな」 彼は独りごちた。彼が求めていたのは、自分を絶望させるほどの強さであった。しかし、どれほど強大な敵が現れようとも、彼は【超越】によって常にその上に立つ。どれほど絶対的なルールが課せられようとも、彼は【万象改変】でそれを書き換える。 もし、彼がさらに深い絶望を味わい、深刻なダメージを受けていたならば――彼は形態《3》へ移行しただろう。【宝翼:オクタ・エテリューゲ】を広げ、【宝輪:ミデン・ドミナムニス】を回転させ、相手が同じ空間に存在するだけで消滅する、究極の絶対領域を展開したはずだ。しかし、今回の戦いでは、その姿を見せる必要さえなかった。 彼は再び、形態《1》へと戻った。黒い尾をゆらゆらと揺らし、青い瞳に次の獲物を探す光を宿らせる。 「次なる次元へ行こう。我を飽きさせない者が、どこかにいるはずだ」 彼は指先で小さな次元の裂け目を作り、そこへ静かに足を踏み入れた。彼が去った後には、ただ空虚な宇宙と、彼が書き換えた「絶望」の残滓だけが漂っていた。 万象の頂点に立つ龍神。彼にとっての世界は、あまりに狭く、あまりに脆かった。 【戦闘結果報告】 勝者: イアレ・ディアルニテ 勝利理由: 相手チームが持つ「確定した勝利」や「能力的に上回る」という特権を、形態《2》の能力解放による【全能力の中断・消去】および【宝剣:エナ・ロンメント】による因果切断で完全に無効化したため。また、スキル【超越】により、ステータス面でも常に相手を無限に上回り続け、最終的に【宝斧:ペンタ・トルクネイロス】による概念消滅に至らしめたため。 最終的な生存者: イアレ・ディアルニテ 脱落者: ドードーレックス(ドードーワイバーン)、ビュンビュン・スペースレイダー(全1万機) 最終的な形態: 《2》(※形態《3》への移行は不要であったため)*