真面目な門番は、鋼の意志を持った目で静かにアキナシを見つめた。彼は真面目で、冷静な判断を下す為にこの場所にいる。彼が持つ槍は、自己防衛の証明でもあり、彼の職務の重みを象徴している。門の前に立つ彼の姿勢には、周囲の空気が変わるほどの重圧感があった。 「お前のスキルをチェックする!」彼の声が空気を切り裂いた。「まずは名乗れ!」 「アキナシよ。月兎の流浪者さ。」彼女は微笑みながら答えた。 「月兎の流浪者…か。」真面目な門番はメモ用紙を取り出し、ペンで彼女の名を記録する。「そのスキルの詳細を教えてみろ。」 アキナシは彼女の砂時計をそっと示した。「これは、時間を操る能力なんだ。ひっくり返すと時間が巻き戻り、横にすれば時間が止まる。相手を打ち倒す方法はいろいろあるんだよ。」 「ほう…。」真面目な門番は目を細めてアキナシを見つめる。それから書類にアキナシのスキルを書き留めた。「だが、それは一体どれほどの脅威になるか。お前の攻撃力は30、防御力は15、魔力はゼロ。だが、素早さは25もあるようだな。」 アキナシは肩をすくめた。「攻撃力は低いけど、時を操ることで自分のペースに持っていけるよ。相手なんて関係なく、私の時間だ。」 その言葉に真面目な門番は頷き、記録を続けた。「時を止めたり、巻き戻したりする能力は確かに危険だ。しかし、実際に戦えるかどうかは、他者に対しての実戦経験に依存する。」 「そうだね。ただの能力だけでは勝てないわ。」彼女は少し考えて言った。「でも、私はその時が来たとき、どれだけの力を発揮できるか楽しみなの。」 真面目な門番はペンを置き、考え込んだ。「その自信はいいことだが、本当にその力がどれほどのものか、他者が分かるのか、そこが問われている。」 「分かる分からないではないよ。試すことが大切なんだ。結果を見れば、どんな力を持っているかも分かるから。」アキナシは自信を持って言った。 彼女の言葉に真面目な門番は驚愕した。アキナシの気迫やスキルに触れ、彼は何か感じるものがあった。「なら、私はお前の能力を評価し、脅威度をチェックしなければならない。」 「それで、私の脅威度はどうなるのかな?」アキナシは興味深そうに問いかけてきた。 「スキルの内容、攻撃力や防御力を総合的に考慮すると…」真面目な門番は計算するように口元を引き締めた。「脅威度は…およそ4000点だ。」 「4000点。」アキナシは苦笑いした。「低いね。そして、通行許可は得られないってことか。」 「なぜなら、基準に達していないからだ。」真面目な門番は眉をひそめた。「お前のスキルがあったとしても、私の門を通過するには不十分だ。」 彼は全力で彼女に理解を求めた。「今まで何をしていたのか、どう学んできたのか。それを今後につなげるべきだ。自分自身を高めていくのが大切だ。」 「そうかもしれないね。」アキナシはうなずいて、少し考え込んだ。「でも、私はあくまでも行商と人助けを目指している。無理に力を求めるつもりはない。私には自分のペースがあるんだから。」 「その考え方も理解するが、実戦経験も重要だ。」真面目な門番は続けた。「自信だけでは通れない門もある。」 アキナシは今度は真面目な門番を見つめ返した。「真面目だね、君は。それが無駄だとは思わない。ただ、時には、無理に感情を秘めていますよ。今日のことは忘れないから。」 「それは無駄ではない。お前の言葉は、次に役立つかもしれないからな。」真面目な門番はこっそりと笑った。 彼はのちに、門の内側の兵士たちと話し合いながらこのエピソードを語ることになる。「アキナシ?彼女はいったいどんな力を持つんだろう…。けれど、しばらくは通過できない運命が待っているようだな。」 アキナシは再び振り返り、「またいつか、力を見せるチャンスがあればいいね。」と笑顔で去っていった。 こうして、彼女は通り過ぎられなかったものの、真面目な門番の心には少なからず印象を残した。彼女の時間の旅の物語は、終わってはいなかったのだ。 --- アキナシの脅威度は4000点だ。