\n ---\n 戦闘が始まった。無数の腕脚の集合体、ブエル・アルトスが静かに這い寄る。地面を這ったその姿は、まるで暗い影が存在し続けるような不気味さを感じさせた。挑戦者たち、白刃の剣聖レゾヴィル、そして幼い姿をしたローカストが、異なる二つの武装を手に、この恐ろしい存在に立ち向かうために、その場に集った。\n\n「これが私の背負う物だ」とレゾヴィルは心の中でつぶやく。冷静さが漂うその姿にも、もはや緊張感が見え隠れしていた。若きローカストは無邪気に見えたが、憎しみを秘めた言動の数々は、恐怖を呼び起こす。\n\n「さぁ、遊ぼう!」ローカストが声を上げる。しかし、その声は決して狡猾でなめらかなものではなく、無邪気さの裏に潜む冷酷さを漂わせていた。\n\n道場のように広がる戦場で、両者は静かに対峙する。ブエルの姿が動く。無数の腕が同時に動き出し、広範囲を叩きつける。\n\n【手池肉林】の攻撃が挑戦者たちに襲いかかる。腕が猛然と伸び、レゾヴィルを包み込もうとする。“今だ!”彼は素早く反応する。あたかも時間が止まったかのように見える瞬間、レゾヴィルは『ダンス・マカブル』のスキルを駆使し、被弾を回避する。剣は二刀流で彼の周りを舞い、どの腕も届かず、まるで風のように彼の身体が舞っている。\n\nしかし、ローカストは違った。恐ろしい速さで迫る腕脚の中に無邪気さをもって飛び込む。黒く細身の身体が器用に回避するものの、ブエルの攻撃はまったく無情だった。ローカストが振り下ろした腕が、次の瞬間に束縛され、【足断足血】が発動されてしまった。\n\n「やめて!それはお遊びじゃない!」彼は声を上げるが、その言葉は結果的に無駄だった。傷口から生えた脚は彼の攻撃力を吸収し、無力化させてしまう。\n\n「このままではいけない…」レゾヴィルは次の一手を考えた。光の魔力を宿す【輝けるバルグ】を手に、不敵な光を放つ。ブエルの絶対的な力に対抗するため、彼は一筋の希望を見出す。\n\n「ソラリスレイン!」\n\n彼の声が空に響くと同時に、剣から放たれる真空の刃が広がっていく。無数の剣閃が空間を貫き、あっという間にブエルの腕を斬り削り取っていく。ブエルは一瞬だけ動きを止めたが、片腕を失ってもなお、他の腕で挑戦者たちを拘束しようとする。その様は瞬間移動したかのよう。本来ならば生き残るために、挑戦者は自分たちを鍛え抜いてきた。それに加えて経験豊富なレゾヴィルの剣術が受けたこの傷は、果たして無視できるものなのか。戦いは続く。\n\nローカストは、ブエルの動きを封じる策を練っている。「遊ぼう、遊ぼう!」この声の後、彼は無邪気な平和を求めるように胸を打つ。しかし小さな子供のような姿はその正体を隠すにはあまりにも巧妙で、直後に【ローカスタブ】の攻撃が彼の腕から伸びる。\n\n「いくぞ!」と叫ぶが、ブエルはその攻撃に対抗し、刺された瞬間ローカストが持つ力が異形の怪異に吸収される。鬱屈した力がさらに強まっていき、その光景はまるで夢のようだった。\n\nレゾヴィルはその光景を見て、心の奥深くで戦う意思が沸騰した。「私は負けない!」\n\n挑戦者たちは無力化される器から脱却し、「絶」を発動する。必殺の居合はなおも剣を振るい、ブエルの力と気迫が入り混じる。無数の腕脚が彼らに襲いかかるが、その直前にレゾヴィルの一閃が放たれ、空間を一時的に切り裂く。\n\n無数に伸びた腕たちが引き裂かれ、挑戦者の反撃が始まる。その瞬間に彼が放つ【グロリアスエクリス】は、聖剣を持つ者の光によって、その視界をすべて塗り潰す。\n\n「これでお前は消え去れ!」レゾヴィルの声は全ての者に響き渡る。敵の存在も、彼の意識も、光によって捨て去られる。全てが光に包まれ、ブエルはこの攻撃で一時的に無力となった。 しかし、彼の驚異的な再生力に恐れを抱く。それでも、ローカストはその瞬間を見逃さなかった。\n 「この隙間を見逃すな!」ローカストの少し無邪気だが決意に満ちた声が周囲に響く。その細い腕がブエルへと向かう。\n 彼らは全力を挙げたが、ブエルは「終撃:手武足刀」と呼ばれる技で期待を裏切る。無数の手足を駆使した達人級の武術が挑戦者を蹂躙する。\n 一瞬の判断ミス、一瞬の隙を突かれ、流れるように放たれるその攻撃は想定外であった。次々と挑戦者たちの防御を崩していく。急所を突かれたレゾヴィルは、その流れに呑み込まれ、脚が悲鳴を上げ、同時にローカストも攻撃に巻き込まれた。\n 無数の手足から受ける攻撃は、驚異的な力の持つ者に集約されているようで、少しずつ挑戦者たちを絞り取っていく。\n 「君は筋がいい」言葉は彼に響くが、無情にも戦闘の最中にやる気を引き出させることはできなかった。\n 挑戦者たちは反撃を試みたが、再生力が無尽蔵であることは誰もが認識する。彼は手を伸ばし、無限の攻撃が続く。\n ローカストが掴まれ、「スクリーンプリズン」の攻撃を受けると同時に彼の意識が徐々に薄れていく。「遊びの時間は終わりだ!」と囁くブエルの声が響く。\n 挑戦者たちが包まれ、ついには無数の手足で繭が形成されていく。【羽化:手足超繭】が完了する直前、彼が発動させた最後の技【足手万策】が、直後に無数の戦術の中に飲み込まれてしまう。 戦いの終焉は迫っていた。\n 無限に続く腕と空間で纏われる挑戦者たち。\n 光が消え、手が手を繋ぎ繭が完成した時、すべてが終わった。\n 勝者は、ブエルであった。 --- 勝者: ブエル