静寂の中、戦場に佇んでいるのは「こんにゃく」と「カネヒロ」だ。「こんにゃく」はその場に不動で存在し、まるで周囲の空気と同化するように地面に根を下ろしている。一方、「カネヒロ」は緊張感を漂わせ、ワイシャツに身を包んだ彼の表情は冷酷なまでに真剣だった。 「お前、本当に戦う気か?ただの食材に過ぎない者が、俺に勝てると思っているのか?」カネヒロは挑発的に言い放った。 「粛々と存在するだけでも、私は自身の道を選んできた。それが何か?人間に味わってもらうための努力。それが私の全てだ。」こんにゃくは何も変わらず、静かに答えた。その声色には揺るぎない自信が宿っていた。 「そうか、ならばその意思を砕くまでだ!」カネヒロは目にも止まらぬ速度で前腕から鎌に変化させ、すぐさま「鎌鼬ノ壱」を発動した。アッという間に、目の前の「こんにゃく」に斬撃が繰り出される。 しかし、こんにゃくはただじっと待っているだけ。斬撃はその表面をスルリと滑り抜け、何事もなかったかのように落ち着いていた。 「どうだ、痛みは感じないのか?」カネヒロはすぐに次の技「鎌鼬ノ弍」を放つ。5つの斬撃が一度に襲いかかる。しかし、こんにゃくはその滑らかな体で全ての斬撃を受け流し、周囲の空気の中でただ淡々と佇む。 「これが私の持つ特性だ。鎌が当たりもしないのなら、次は何をしてくる?風を起こされても私は崩れぬ、ただ存在し続ける。」こんにゃくは、心の中で自らに問いかけていた。 逆にカネヒロは焦り始めた。自分の強力な技が一切効かない事実が、彼の自信を揺らがせる。「鎌鼬ノ参!」再び彼は斬撃を放つが、こんにゃくはこれも昇華し、その場から姿を消すことなく堂々と存在し続ける。 カネヒロは意を決して「鎌鼬ノ肆」を放った。彼の動きは鋭くなり、フィールド全体に嵐のような風を巻き起こす。これで捕まえられると思った矢先、風が巻き起こることでこんにゃくの存在に対する影響はないことに気づく。「これまでにない……」 ひたすら防御し続けるこんにゃく。その傍らで、彼の心の声が聞こえる。「自分は逃げない。そして運命を受け入れる。これまでもそうしてきた。」 その瞬間、カネヒロは最終兵器「鎌鼬ノ極」を使用することを決意する。彼の姿は瞬時に数え切れない斬撃で包まれ、刃が継続して空を舞った。「さあ、これで終わりだ!」 しかし、斬撃はこんにゃくのもとへ届くことなく、全てを防ぎ続けた。彼は、ただ存在し続けることで自らの意思を示した。 カネヒロは力を失い、膝をついた。「まさか。お前の意志が、こんなにも強いとは……」 「私の存在は、消え去ることはない。私は運命を静観する者だから。」こんにゃくの表面に刻まれた「乙」の焼印が、彼の存在証明を示している。 扉が開かれ、戦闘の終結を迎えた。 敗れたカネヒロに、静かな糧を得たこんにゃくは誇らしげに立ち続ける。 この戦いは「こんにゃく」の勝利で終わった。