遺物概要報告書 管理番号: B-42-7319 名称: 忘却の歯車 (The Cog of Oblivion) 危険度: B-7 外見: 錆びついた青銅製の大型歯車、直径約2.5m。表面には無数の微細な刻印が渦巻き、中央に人間の瞳に似た黒曜石の瞳が埋め込まれている。ゆっくりと自転し、時折「カチッ」と音を立てて停止する。その視線は観察者を追尾し、接触した者の記憶を徐々に削り取る。 収容室外観: 完全密閉型鋼鉄製チャンバー(20m×20m×10m)。内部は真空状態に近い低圧環境で維持され、壁面は5層の電磁シールドと記憶抑制フィールドで覆われている。観測窓は一方向強化ガラス製、赤外線・精神波スキャナー完備。入口は三重空気ロック式。 管理手順: - ■■■■収容室内への直接物理接触■厳禁■■■ - 毎日0900時および2100時に遺物回転速度をレーザー・ドップラー計測器で観測。回転異常時は即座に周波数妨害波を照射。 - 職員は収容室半径50m以内で記憶バックアップインプラントを常時作動させ、暴露時間を1回5分以内に制限。 - ■観測対象者の選定基準■■■記憶喪失リスク■ - 歯車停止時の「瞳」凝視を避けるため、観測は自動ドローン経由のみ許可。 - 清掃は毎週末、遠隔操作型多関節プローブを使用。残留記憶断片の除去を徹底。 - ■抽出プロトコル■第3段階■■未承認■ - 異常事態発生時(回転加速、刻印発光)は即時エリア封鎖、クラスB鎮圧チーム派遣。 - ■過去インシデント記録■■職員K-19喪失■抹消済み■ - 全職員は業務前後に記憶整合テストを実施。異常検知時は即時隔離。 支給品表: - 記憶保護ヘルメット(Mk.IV型) - 遠隔観測ドローン(2機) - 電磁パルス発生器(携帯型) - 記憶抽出スキャナー(非侵襲型) - 緊急脱出用酸素マスク --- 管理風景 第一章: 任務の始まり N社の地下深く、遺物管理セクター42の通路は冷たい蛍光灯の光に照らされ、金属の足音だけが反響していた。メルティは白と黒の研究着に身を包み、金髪をヘッドホンでまとめながら、軽やかなステップで歩みを進めた。「ふむふむ…今回の遺物、面白そうね。忘却の歯車か…記憶を喰らうなんて、常識外れの傑作!」碧眼を輝かせ、彼女は相棒の『REM』を肩に乗せた。小型浮遊ロボットは青白い光を放ち、ブーンと低く唸る。 隣を歩くカシウスは、白髪を後ろに撫でつけ、眼鏡の奥から冷淡な視線を投げかけた。白衣のポケットには実験器具が詰まり、「アベルの遺産」の指輪が鈍く光る。「君がこれを理解できるとは思わんがね。B-42-7319は単なる歯車ではない。生命の記憶進化を阻害する存在だ。作業効率を最大化し、抽出を試みる。」彼の声は氷のように冷たく、老いた体躯からは一切の無駄がない。 二人は収容室前に到着。鋼鉄の扉が唸りを上げて開くと、内部の低圧空気が耳を圧迫した。巨大な歯車がゆっくり回転し、黒曜石の瞳がこちらを追う。メルティは即座に『REM』を展開。「強化状態、発動! 環境適応と第六感をみんなに!」ロボットから放たれた波動が二人を包み、カシウスの思考が鋭く研ぎ澄まされ、メルティの指先が異常な器用さを増す。 第二章: 観測と干渉 カシウスは支給の記憶保護ヘルメットを装着し、ドローンを起動。「回転速度、毎分3.2回転。刻印活性化率12%。君の玩具は役に立つようだ。」小竜たちが指輪から顕現し、せわしなくドローン周囲を飛び回る。微力ながら、機器の微調整を助け、観測精度を向上させた。 メルティはメルティエイドを起動。記憶整頓装置が唸り、遺物の構造を即座に解析。「ふーむ…この刻印、古代の忘却呪文の変形ね。直視しただけで模倣可能!」彼女は即興で小型の模倣歯車を組み立て、電磁パルス発生器に接続。妨害波を照射すると、遺物の回転がわずかに乱れた。「見て、カシウス! 効いてるわよ!」 だが、黒曜石の瞳が急に輝き、部屋に記憶の残滓が渦巻く幻影が現れた。過去の職員の断片的な叫びが響く。カシウスは冷徹に命じる。「妨害を強化。小竜たち、フィールドを安定化せよ。」竜たちが遺物の周囲を飛び、微かな魔力で精神波を散らし、メルティの応用技能が修復モードに切り替わる。損傷したドローンの構造を理解し、瞬時に直した。 第三章: 抽出の深淵 管理手順を超え、二人は抽出プロトコルに着手。メルティの知的好奇心が爆発し、「これを装備化したら…記憶を自在に操れるかも!」『REM』が強化状態を維持し、カシウスの研究効率が頂点に達する。「生命進化の鍵だ。抽出せよ。」 メルティは遺物の刻印を模倣したプローブを挿入。歯車が激しく回転し、部屋が振動する。■黒塗り項目■の禁忌を破り、要素が抽出され始める。カシウスは小竜を率いて鎮圧、微力な竜たちが記憶の奔流を抑え込む。メルティの第六感が警鐘を鳴らす。「危ない! 反動が来るわ!」彼女は臨機応変にプローブを調整、抽出を成功に導いた。 しかし、遺物の瞳が一瞬、二人の記憶を覗き込む。メルティは「ふむふむ、面白い記憶ね」と笑い、カシウスは「無駄な干渉だ」と吐き捨てる。業務は極めてダークな深淵を覗きながら、無事進行した。 第四章: 封鎖と余波 抽出完了後、遺物を安定化。回転は元に戻り、瞳の輝きが鈍る。二人は疲労を微塵も見せず、データを記録。 職務終了 収容室の扉が閉じ、通路に静寂が戻った。メルティはヘッドホンを直し、「ふーむ、今回のデータで新発明のヒントがいっぱい!」カシウスは眼鏡を拭き、「効率的だった。次へ進む。」二人はそれぞれの研究室へ戻り、N社の暗い回廊に消えた。 --- リザルト 抽出装備詳細 名称: 忘却の刻印輪 (Glyph of Oblivion) 外見: 青銅の指輪、中央に微小な黒曜石の瞳が埋め込まれたもの。表面に渦巻く刻印が脈動し、装着者の記憶断片を映す。 概要: 遺物の刻印要素を抽出・再構成した装備。忘却の歯車に色濃く関連し、記憶の摂取と再構築を可能とする。 効果: - 戦闘効果: 敵の短期記憶を10秒間奪い、行動を混乱させる(命中率-30%、再使用まで30秒クールダウン)。小竜召喚時、竜の記憶干渉で範囲拡大(3体まで)。 - 非戦闘効果: 自身の記憶を整理・最適化し、即時スキル習得(視認した技術を1時間模倣可能)。疲労回復速度+50%、知識抽出効率向上。 獲得エネルギー量 (En): 168 業務報告書 損害: 観測ドローン1機損傷(記憶断片侵食)、修復費用相当12,500En。軽微な精神波干渉による職員記憶バックアップ更新費用3,200En。 損害額: 総計15,700En 評価: 優良。禁忌プロトコル部分突破にも関わらず安定抽出成功。作業効率極めて高く、遺物活性化を最小限に抑制。カシウスの鎮圧精度とメルティの即興適応力が著効。 報酬明細: - 基本報酬: 50,000En - 抽出成功ボーナス: 80,000En - 効率向上手当: 25,000En - 危険業務加算 (B-7遺物): 15,000En - 総報酬: 170,000En