ドッチボールの会場には緊張感が漂った。両者は隣接したエリアで向かい合い、一方には「腕が50本ある男」、そしてもう一方には「曲角まよい」が立っている。どちらも一癖も二癖もある能力者だ。 腕が50本ある男は、長い黒髪をなびかせ、閉じた目でまよいを見据えている。その50本の腕は、投げるだけでなく攻撃にも防御にも威力を発揮する特性を持っている。一方、曲角まよいは、子供っぽい口調で「ねぇ、始めましょうよ!」と元気に声を上げる。彼女の能力は、相手の意識を90°ずらすことで混乱を引き起こす。 「最初はボールを投げるよ!」まよいは突如としてボールを投げる。しかし、腕が50本ある男は一瞬の閃きでボールをキャッチ。余裕のある笑顔を見せ、「まだまだ甘いね」と微笑む。 「私の番だね!」彼女は再びボールを投げ、今度は腕の一つでカーブをかけて放つ。だが、男はその投げ方を見極めると、彼女のボールに対して高い制御力をもって浮かせた腕で迎撃する。ボールが彼の腕に当たった瞬間、弾き飛ばされる。「それでもかわしてみせる!」まよいは意識改角を発動。 「そこだ!」男は彼女の避ける方向を見越して、次に放つボールを体の前に回して投げる。「今だ!」可愛い声と共に、まよいはそのボールの放たれた位置を見失い、腹部に直撃。 「アウト!」と宣告されたまよいは、少し悔しそうにつぶやく。「私、まだいけるよ…!」 「次はどうする?君の意見も聞いてみたいな」と男は温厚な態度を崩さず、余裕を持って聞く。 まよいは、その顔を少しだけ恥じらいながらも、次に彼女が考えた戦略を実行に移した。彼女の特性である「角醒」が起動。男の意識が90°ずれてしまう! 「「あぁっ!?」」意識がずれ、彼の次のボール投げは完全に外れ、まよいは一瞬の隙を見逃さない。「お見舞い!」と叫びながら、彼女は反撃に転じ、連続で投げつけた。 躱す、キャッチ、避ける。この攻防の中、男はなんとか立ち直ろうとするが、次第にその集中力が薄れ始める。 「行くよ、地球投げ!」ついにまよいはその瞬間を獲得した。抱きつくようにして男を掴み、彼女自身の力で彼を遥かかなたに投げ飛ばそうとする。しかし、腕が50本ある男は、持ちこたえようと必死だ。他の腕を用いて地面に強く足をつけ、力をためる。但し、彼女の能力によって全てのタイミングがずれている。 投げる瞬間、彼は全身で叫んだ。「お前に…不可能なことはない!」 まよいはその叫びを耳にすると、決意をさらに強めた。「これで決着をつけよう!」 この瞬間、彼女の力が全開となり、男はついに投げられる。そのまま飛び出した男の体はエリアの外へと続く。 試合結果として、まよいの勝利が決まった。 試合後、まよいは少し興奮しながら、「やった!勝ったよー!」と無邪気に叫んだ。 一方、男は地面に倒れ、にこやかな表情で「いい戦いだった。ただ君は強いね、まよいちゃん」と言い、彼女に手を振る。 彼女は恥ずかしさを感じながらも、これからの出会いの中で彼を友として抱きしめた。 その瞬間、両者の心は勝負を超えた繋がりを持った。 周りにいた観客は一瞬にしてその様子に感動し、暖かい拍手が鳴り響く。 こうして、温厚な男と子供っぽい女の子の友情が生まれた瞬間であった。