魔界を守るための定期的な会議が行われる場所は、小さな浮遊する島の中央に位置し、周囲は闇の霧で覆われていた。その会議の後、魔概実と魔京零少尉は、互いの衣装を交換するという珍しい誘惑に負けることになった。 「これが私の軍服……もっと動きやすいのか?」魔京零は、黒い死神の衣装に身を包み、思わずその裾を掴んでみる。軍服とは異なり、その素材は非常に軽やかで、幻想的な輝きを放っていた。 「お前の軍服は意外としっくりきた。色合いも悪くないな」と魔概実は、少尉の衣装の上に薄暗いフードを被り、周囲を見渡す。彼の普段の冷淡さとは裏腹に、少し調子に乗ったような笑いが浮かんでいる。 「そう言われると、ちょっと嬉しいかも……。それはさておき、貴様のこの衣装、動きづらくないのか?」魔京零は、動きづらさを感じつつも、内心では楽しさが滲みでていた。 「動きにくいが、俺は浮いているから問題ない。お前の炎剣を持った時の姿が見てみたい」と魔概実が冷たい声で言うと、魔京零は思わずクスッと笑う。 「ええ、油断していると、火傷しそうだな。でも、実際は貴様が何をしても私の炎には触れられないぞ」と少尉は楽しげに目を細め、彼女のポニーテールが揺れる。 「俺だって簡単にはやられない。だが、以前お前が言った「本気を出したら強い」という言葉に惹かれるな」と魔概実は挑発的に言う。 「冗談だ、冗談。でもちょっと興味深いことに、こうして衣装を交換することで、貴様の内面も見えた気がする。普段は冷酷そうに見えるけれど、何かを楽しんでいるようだな」魔京零は、彼の変わった一面に対して興味を示す。 「そうか?ただの甘党だ。それに、甘いものを口にする時はいつも一人だ。お前とこうして会話しているのが新鮮だ」と魔概実は微笑む。本来の冷酷さは残しつつも、どこか彼の目に柔らかさが浮かんでいた。 その瞬間、お互いの衣装を着た自分を鏡越しに見ることで、先入観とは異なる一面を発見し合った二人は、さらに深い友情の絆が芽生えたことを感じた。そして、その瞬間、魔界の二人はただの同僚から、信頼できる仲間へと変わっていったのだった。