1. 殺し合う者たちの対峙 地下鉄の薄暗いトンネルの中、二人の戦士が対峙していた。ひんやりとした空気の中で、響くのは互いの息遣い。そして、ラディッツはスカウターを通じてアール・タール・コールを見据えた。 「戦闘力…たったのXか…ゴミめ…」 顔には冷酷な笑みを浮かべたラディッツは、スカウターの画面に表示された数値を見て嘲笑する。彼の背後には高貴で尊大な立ち振る舞いがあり、彼の存在感は地面を鳴らすほどだった。 その対面には、アール・タール・コールが搭乗する大型機体「ヒュメーネス」が立っている。彼はまったく勢いを欠いたように見えたが、彼の手には新たな力が秘められている。その心の奥底では、恵まれた兄が冷酷にも自分を見下す様を隠しきれずにいた。 「俺は負けない。今日こそこの因縁を終わらせてやる。」 アールは機体のコックピット内で気合を入れ、両手を握りしめる。彼の心には、戦う理由が深く根付いていた。かつて、彼は兄に戦士としての道を選ぶよう強要され、その重圧に苛まれてきたのだ。 2. 死闘の始まり 地下鉄の蛍光灯がちらつく中、ラディッツは気を高め、圧倒的な力を解き放った。彼の気が一瞬で空間を震わし、アールはその力に圧倒され、動けずにいた。 「行くぜ！これが俺の真の力だ！」 ラディッツは一気に間合いを詰め、エネルギー波を発射する。青白い光がアールに迫る。その圧力は、まるで地獄のような恐怖を伴っていた。 しかし、「ヒュメーネス」のパルス防壁が瞬時に展開され、エネルギー波は直撃することなく消え去った。アールは冷静さを保ちながら、ロケットパンチを発射する。 「有線式ロケットパンチ、発射！」 巨大な拳がラディッツに向かって飛び出し、緊迫感が走る。その拳は敵に向かってまっすぐ進むが、ラディッツは軽々とそれを耐え、その姿勢を崩さずに消えていった。彼は一瞬で身をかわし、アールの真横に立ち尽くす。 「甘いな。もっと力を引き出せよ。」 3. 佳境 戦闘は激化し、地面に亀裂が走ると同時に、地下鉄の壁が崩れ落ちていく。振動が響く中でアールはじっとこらえ、冷静に攻撃を続ける。 「ロケットパンチ、受け継ぐ！」 再びロケットパンチが放たれ、今度は右腕で敵を捉えようとした。しかし、ラディッツは再びその攻撃を回避、即座に接近戦を挑んできた。その鋭い蹴りがアールの装甲に激しく衝突する。アールは構造の内部で振動を感じ、痛みが走る。 「ぐっ…！」 彼の腕がひねられ、壁に叩き付けられてさらにひびが入った。彼は構えを崩さず、反撃に転じる。しかし、ラディッツの力は圧倒的だった。 「その程度か！？」 4. 因縁の過去 二人の間には深い因縁があった。かつて兄弟でありながら、ラディッツの冷酷な性格がアールを孤独にさせた。彼の影響下でアールは常に自分自身を強くしなければならなかった。 「お前は俺の影だ！」 アールはその言葉を突き刺すように言った。思い出は、お互いの心に残った苦い記憶だった。戦士としての道を選び続ける中で、彼は兄とは違う道を歩むことを決心できずにいた。 「俺は影ではない。俺は俺だ！」 アールは力を込めて叫んだ。ラディッツは知らぬ間に、アールの心の中の決意を感じ取った。「お前が俺に挑むのか？」その眼差しには、固い意志が映し出されていた。 5. 本気の一撃 戦いは激しさを増し、人工物が次々に崩壊し、土煙が立ち込める中、ついに二人は決着をつけるべく本気を出した。 「これが俺の真の一撃だ。」 アールは、「ターミナルアーマー」の機能を発揮させる。彼の機体が赤い光を放ちながら急激に活性化し、彼の考えが一瞬で全身を包む。 一方、ラディッツもまた、気を高めに高めた。攻撃力を300倍にし、全力で応える。 「この瞬間が、全ての終焉だ！」 両者の技が交錯し、巨大な衝撃波が周囲を吹き飛ばした。アールのロケットパンチとラディッツのエネルギー波がぶつかり合い、地下鉄の構造物が吹き飛ぶ音と共にクレーターが生まれた。 アールの一撃がヒットするかと思われた瞬間、ラディッツは不可視の気をまとって反撃した。 「これで終わりだ！」 6. 最期とこれから 必死に抗ったアールだったが、ラディッツの一撃が彼の装甲を破り、彼は地面に叩きつけられてしまった。血が彼の口から流れ出る。その瞬間、彼は思い出の走馬灯が脳裏に浮かんできた。 兄との思い出、幼い頃の笑顔、共に過ごした日々。しかし、それらは全て過去のものだった。 「……俺は、影なんかじゃない。」 アールは耳に残る残響の中で失った戦士としての誇りと共に、静かに息絶えた。彼の目には希望が失われ、彼が求めた平穏は永遠に手の届かぬところへと消えていった。 ラディッツは何も言わず、冷酷な視線でその死を見守った。彼に何の感情も湧き上がらない。勝者も敗者も、その胸には勝負を支配する運命だけが残るのだった。