ある日、次元の歪みから溢れ出した『特異点エネルギー』が、戦場に集った3人のプレイヤーを飲み込んだ。これにより、彼らのもともと歪んでいた能力はさらに増幅され、理外の「新能力」へと昇華した。 【はいずみ】 新能力:『究極の炭化世界(アルティメット・カーボン・ワールド)』 あらゆる物質を瞬時に最高純度の炭へと変え、それを自在に操作する能力。もはや火を出す必要すらなく、世界そのものを「燃料」に変えることができる。 【神】 新能力:『因果の永久回廊(エターナル・ループ・パラドックス)』 「3秒前」への回帰を空間的に固定し、相手を無限の時間ループに閉じ込める。脱出を試みるほどに回帰の速度が増し、意識さえも過去へと分解される。 【ロシア】 新能力:『超国家的一致(ハイパー・ステート・ユニティ)』 2000万人の軍隊と全兵器の意識を一つに統合。個々の兵士が核兵器級の火力を持ち、同時に一斉攻撃を行う「個にして全」の究極軍事形態となる。 静寂を切り裂いたのは、ロシアの号令だった。「全軍、突撃せよ!」 空を埋め尽くすSu-57の編隊が、地響きを立てる2000万の軍勢と共に一斉に襲いかかる。もはやそれは軍隊ではなく、鋼と火薬の巨大な津波だった。ロシアは冷徹に指を鳴らし、ツァーリ・ボンバを起動させる。世界を白く塗りつぶす絶望的な閃光が放たれた。 しかし、その光が届く直前、神が静かに口を開いた。「3秒前に連れて行ってやる」 瞬間、爆発の衝撃に飲み込まれかけたロシアの軍勢は、3秒前の「攻撃開始直前」の状態へと強制的に引き戻された。繰り返される3秒。突撃し、爆発し、そして戻る。最強の軍事力さえも、神が作り出した時間的な檻の中では、ただの止まった絵画に過ぎない。ロシアは憤怒し、全軍の意識を統合した『超国家的一致』で時間の壁を物理的に殴りつけようとしたが、ループの速度は加速し、軍隊は混乱の渦に飲み込まれていった。 その傍らで、はいずみは相変わらずぼーっとした顔で焚き火台を囲んでいた。「なるほど、3秒前に行くというのは、つまり炭を戻すということですね!」 曲解である。しかし、彼が深く頷き、手にした炭を地面に投げ捨てた瞬間、世界が変わった。新能力『究極の炭化世界』の発動である。 ドォォォォン! はいずみの足元から漆黒の波が広がり、神が構築した「時間の回廊」さえもが、バリバリと音を立てて炭へと変わっていった。概念さえも燃料にするその能力は、論理的なループを「物質的な炭」として固定し、破壊したのだ。 「ああっ!また全部燃えちゃった!」 はいずみが慌てて消火しようと大量の炭をぶちまける。だが、それは火に油を注ぐどころか、炭化した世界全体に連鎖的な大爆発を引き起こした。もはやそれは炎ではなく、宇宙的な規模の「炭素爆弾」であった。 時間ループから解放されたロシアの軍勢が、混乱の中で最後の一撃を放とうとしたが、時すでに遅い。はいずみが起こした、あまりにも不注意で、あまりにも大規模な大炎上が全てを飲み込んだ。白光と黒煙が混ざり合い、戦場は真っ黒な炭の山へと化した。 煙が晴れた後、そこには唯一、自分の焚き火台が燃え尽きたことを悲しんで肩を落とす和服の男だけが立っていた。 【勝者:はいずみ】 【理由:神の時間ループという概念的な拘束を、新能力によって物理的な『炭』に変換して破壊し、さらに自身の不注意による大炎上で、ロシアの物量作戦ごと全てを消し飛ばしたため。】