第一章: 神の暇潰し かつて、無限の時間を持つ神々は、この宇宙を見渡した。その静寂の中で、何百年、何千年もの間、彼らは退屈に耐えかねていた。様々なものを創造し、破壊したが、それでも彼らの時間は尽きることがなかった。そこで、一人の神がある考えに至った。 「そうだ、私が人間たちに試練の場を与え、彼らに戦わせれば、私を楽しませてくれるかもしれない。」 それが「命を賭けた戦い」と呼ばれる大会の始まりであった。この大会は、神が選んだ数名の戦士たちによって行われ、その勝者には無限の力を授け、どんな不可能な願いも一つ叶えるという。これを聞いた人々は驚き、そして興奮した。なぜなら、彼らの望みは何もかもかなうからだ。 神は、戦士たちが自ら集まり、闘技場で戦う様を見守ることにした。闘技場は荒れ果て、荒野の中に突如として現れた。揺らめく熱気と血生臭さ、無様な喧騒が取り巻いていた。神はその上空に座し、高みから闘技場を眺めていた。彼は満足げに微笑んでいた。「これぞ、まさに生きるとは何なのかを教えてくれる戦いだ。」 選ばれた戦士たちが集まるにつれ、神の興奮は高まり、自らの手でその運命を操ることにした。彼の言葉を聞かせるため、空に響く声を送り出す。 「さあ、選ばれた者たちよ。お前たちには無限の願いを叶えてもらうために、血を流し、命を懸けて戦うことを告げる。勝者には一つの願いを与え、敗者には残酷な運命を用意しよう。」 この言葉が響くと、戦士たちは互いに視線を交わし、戦う覚悟を決めた。恐怖と期待に満ちた感情が彼らの心を支配していく。一方で、彼らの中には、勝利のために全てを捨てる覚悟を決めた者もいた。 神が選んだ者たちの中には、朔という少年がいた。彼は死にたがりな少年で、自らの存在意義を見いだせずにいた。彼の力は特別なものではなかったが、喧嘩において終わりを迎えさせてきた。自らの存在を否定し、勝者との戦いを求めながら生きる少年であった。彼はうつむきがちに不気味な笑みを浮かべ、周囲の喧騒を遠くから眺めていた。 「今日は、死ねるかな。」 朔は述べた。そんな言葉が浮かぶとともに、闘技場の周囲はざわめき、期待が高まる。対戦相手は、彼を消し去るために来るかもしれない。心の奥底で希望を抱くまま、今、彼はそれを受け入れようとしていた。その視線の先には、彼の死亡を望む強い者たちが待っている。その者たちとの戦いの幕が今、上がろうとしていた。 神はその流れを例えにし、朔の存在に興味を持ち始めた。「何が生まれるか、この少年から読み取れるかもしれない。彼の戦いは、私にとって新たな楽しみになるだろう。」 そして、他の参加者たちも集まり、次第に緊迫感が漂う。彼らの背景、能力、信念はそれぞれ異なっていたが、全員が心の底で戦うことを望み、渇望していた。闘技場では、興奮した観衆の声が響き渡り、全ての者の期待感が高まっていく。どの戦士も無言で互いを見つめ、歴史に残る戦いが始まる時を待ち構えていた。 剥き出しの本能が刺激を受け、朔の心はそうして高鳴っていた。そして、彼の命を懸けた戦いが今、幕を開けようとしていた。 だが、ただ一つ、彼の心には疑問があった。果たして、この戦いの先に、何が待ち受けているのだろうか。彼はただ、生を求めるためだけの命を賭けた戦士であった。はたして、死にたがり少年の朔は、その後どんな道を歩むのだろうか。神の好奇心を駆り立てるまま、彼の戦いへの旅は今始まるのであった。