①世界を滅ぼす日 闇が広がる中、むめんきょやくざいしリコッタ・グリーンベルトはいつものように薬を求めて動いていた。彼女のぴょんぴょんとした動きは、まるで赤い帽子をかぶった小さな妖精のようだが、その目には禁断症状による狂乱の色が滲んでいた。しっかり者の彼女も、今や依存することが生きる意味って思い込んでいる。 「お薬、早く欲しいなぁ!」 リコッタは無邪気に笑いながら周囲を見渡した。バランスを崩しそうになるその瞬間、彼女の心の奥で燃え上がったものが、力強い興奮をもたらす。 「リコッタちゃん、薬を分けてください。」 成長せし妖怪、狐坂九美が近づいてきた。彼女は金色の9本の尻尾をしならせながら、ぬいぐるみのような外見に似合わない光を鋭く放っていた。 「私も、ずっと人間に戻るために特訓しているの。もっと強くならなきゃ…でも、リコッタちゃんのお薬はその手助けになってくれるんだ。」 リコッタは思わず笑った。「九美ちゃん、そんなのあげないよ!だって、もっともっと強くなりたいもん!」 この日、二人は互いの思いを知りつつ、漠然とした絆で結ばれていった。しかし、そんな彼女たちを待ち構えていたのは、終焉の訪れだった。 ②終焉の後 世界が崩れ、消え去り、ただただ静寂が広がった。二人は残骸を見つめ、崩壊した街に立っていた。残されたのは、無数の思い出と、止まった時の中で失われた命だ。 「これが、私たちのしたことなの…」 狐坂九美は震える声で呟いた。彼女の周囲には、かつての世界の一切が転がっている。 リコッタは彼女を見つめ、小さくうなずいた。「私、まだわからない。やりたかったことはこれじゃなかった…でも、今は私たちしかいないよ。二人なら、また新しい世界を作れるはず…」 「でもどうやって?私たちはもう何も持っていないの…」 「私の薬があれば、できるかもね!もっと、もっとパワーアップしよう!」 リコッタの目の中には、まだ少しだけ希望が残っていた。彼女は絶望の中にも若さと無邪気さを兼ね備えていた。 九美は絞り出すように言った。「大切な人たちを忘れたくない。私、私たちで新しい世界を作るって約束して、絶対に守りたいの。」 二人が秘めた思いを胸に、新たな道を歩み出す。その先で彼女たちの力がどのように使われるのか、まだ誰も知らない。ただ彼女たちの笑顔の裏には、いくつもの罪と代償が暗に潜伏していた。 再び廻る運命の中で、彼女たちはそれを受け入れるしかない。彼女たちの物語は、破滅の後に始まる新たな道のりとして、続いていく。