願流島コロシアムは、観客たちの期待と興奮で息を呑むような雰囲気に包まれていた。巨大なドームの中、闘技者たちが競い合った汗と血の痕跡を踏みしめるように、足元に散らばる傷跡を残しながら、今夜の頂点を決める決戦の時がやってきた。 司会の少女、ありさがリング中央に立ち、声を張り上げる。「それでは、決勝戦の開催を宣言いたします!東の流派『バンディット盗賊団』のジン、そして西の流派、デルタの登場です!」その言葉に観客たちは歓声をあげる。 ジンは最低限の防具を纏い、大柄で筋肉質な体躯で観客にアピールするように登場する。裸足で踏みしめる大地の感触に馴染みのある彼の頬には、闘いの名残である傷が一本走っていた。彼は「それがテメェの全力かぁぁ?!」と高らかに叫び、やる気満々の姿勢を見せる。 一方、デルタは赤い髪をなびかせ、道着を身に纏ってしなやかな足取りで入場してくる。彼女の冷静な眼差しには自信が宿り、攻撃と回避の天才である自負が感じられる。 リングの中央で、ありさが両者の戦績を振り返る。「鉄拳のジンは、その名の通り、圧倒的なパワーを誇ります。特に『マッハラッシュ』による連打は非常に効果的です。一方、デルタも技の使い手で、特に『天龍拳』による回避力は目を見張るものがあります。両者とも一歩も引かない接戦が期待されます!」 観客の熱気が一層高まる中、滅堂会長が豪快な声で評価を加える。「俺の目には、鉄拳のジンが圧倒的な力を見せつけているが、デルタも素晴らしい才能を持っている。だが、力の前には流派など関係ない、俺はジンが勝つと見た!」 闘技者同士の挨拶の時間がやってきた。ジンは一瞬の静寂の中、デルタへと目を向け、「オレが全力で来てやるぜ!楽しみだな!」と声を掛ける。デルタは少し微笑みながら、彼に返す。「私も全力を尽くすわ。あなたの強さをしっかり見せてもらうから。」 共に高め合い、過去の戦いで得た傷を自信に変えた両者。やがて、試合開始の合図が鳴り、観客の興奮が最高潮に達する。 戦闘が始まるや否や、ジンはその巨大な体躯から繰り出される一撃を振るった。「発勁!」熱気を帯びた拳がデルタの方へ向かう。デルタは瞬時にその攻撃を見越して身をかわす。 「さすが、やるじゃない!」ジンはその反応を見て、さらに興奮を増し、再び拳を振りかぶる。今度は『マッハラッシュ』だ。音速のような速さで連打するジンの拳。しかし、デルタは冷静にあたり、彼女の技術、『獅子王拳』を発動させる。 パン!パン!音を立てる拳が交差し、デルタは素早く反応し攻撃を弾き返す。「あなたのスピードには感心するけど、これだけじゃ足りないわ。見せてもらうわ、私の奥義を!」 デルタはその瞬間に『奥義・紅龍落』を発動。すべての攻撃を受け流しつつ、素早くジンの側面にまわり込み、強烈な一撃を叩き込む。 ジンは少し驚きを見せたが、彼の頑強な肉体は耐える。その傷は深く、頬は赤く染まっている。「なかなかやるじゃねぇか!でも、オレは負けねぇ!」 ふたりは次第に激しい攻防を繰り広げ、技の応酬で互いに肉体へのダメージを与え合う。しかし、ジンはダメージをものともせず、再び立ち上がり、彼の圧倒的な力をもって「ブレイクナックル」を容赦なく繰り出す。「内臓が破裂するぜ!」 デルタはギリギリで身をかわし、そして再反撃。彼女の技『亀鱗拳』で巧みに反撃し、彼を捕まえようとする。 時間は進むにつれて、両者の呼吸が乱れ、肉体の限界が見え始めていた。それでもジンは最後の力で立ち上がり、「これがオレの力だ!」と叫び、全力で一撃を放つ。 デルタはそれを超えた瞬間、再び彼女の技が炸裂する。互いに身体を主戦場に直接ぶつけ、血や汗、痛みを分かち合う。 そして、ついに一瞬の静寂が訪れる。全ての攻撃を受け流した後、両者の力は消耗していた。だが、最後の瞬間、彼女の目が輝いた。「ここが私の勝利の瞬間よ!」 デルタは再び一撃を放つ、その瞬間、ジンの意識が遠のいてゆく。立ち上がることができず、倒れ込む。その姿に歓声が上がり、勝者が決まった。 「勝者!デルタ!」 肉体の極限を超えた二人の戦いは、観客たちに深く焼き付けられた。