戦闘の幕が上がった。風がざわめく中、艶やかな黒髪を揺らし、軍服に身を包んだアドルファ・フォン・シュトロハイムは戦場に立っていた。その目は感情を宿し、その口元には自信に満ちた微笑を浮かべている。 彼女の前には、特異な存在、〈無冠之王〉アザトルウムが立ち尽くしていた。黒い人型をした少年の姿。しかしその表情は怠惰そのもので、彼の眼は半ば閉じられ、まるで何事にも興味を示さないようだった。 「よーし、始めるぞ。避けてみろ!」 アドルファが叫んだ瞬間、彼女の周囲に無数の武具や魔具が出現し、敵に向かってまっすぐに進み始めた。 「ほらほら、受けてみな。」 彼女の叫びは自信に満ちていた。武具が高速でアザトルウムに眺める。だが、アザトルウムは無関心な表情のまま、ただ立ち尽くしている。 武具が彼の体に触れる瞬間、強烈な衝撃に値する風が吹き荒れる。だが、アザトルウムはダメージを受けることなく、まるでそれを無視しているようだった。 「無関心とはこういうことか。」 アドルファは一瞬驚いたが、すぐにその態度に対抗する決意を見せた。 「ならば、これを見よ!」 彼女は上空にさらに倉庫の出入口を展開し、無数の武具を降らせる。「偉大なる死を送ろう!」と叫びながら、雨のように降り注ぐ武具により、戦場は混沌と化した。 だが、アザトルウムは依然として変わらぬ無関心を貫いていた。武具は彼から何十センチも離れたところで止まり、まるで見えないバリアに弾かれたかのように消えてしまった。 「君は本当に何を考えているのかね。」 アドルファの声に、彼は淡々とした調子で答える。 「別に、寝ていたいだけだ。面倒だし、君の戦いも面白くない。」 その瞬間、アドルファは一瞬の隙を突かれたかのように動きが止まった。彼女はその冷静な反応にますます苛立ちを募らせた。 「それなら、私が攻撃する度に退屈を感じるようにしてやる!」 アドルファは再び攻撃を仕掛け、今度は王の余裕を発動する。 敵の攻撃を華麗に回避し、反撃を行った。しゃんとしたしゃがれた声で、「おっと、危ない危ない」と言いながら宝剣を発射した。 それに対してアザトルウムは一切動かず、その対する宝剣すらも無関心さで迎え撃つ。宝剣は彼の目の前でバラバラと散ってしまった。まるで何の価値もないかのように。 「おかしい……攻撃が効かない。攻撃はすべて意味がない。」 アドルファはすでに困惑の色を見せた。 その時、もう一人の参加者が姿を現した。冷静で高圧的、一種の誇りを持つ【宇宙最強の生命体】パイロンだ。彼はアドルファの戦闘の様子を観察し冷静に分析していた。 「私が助けよう。」 パイロンは無表情で言った。 「君は商業に向いていないな。無関心とは逆に、全てを知り尽くそうというのか?」 彼はアザトルウムを見つめ、ついにその怠惰な態度を一喝した。 「私の必殺技、ソルスマッシャーを受けろ!」 そう言うや否や、パイロンは太陽のエネルギーを凝縮し、猛烈な飛び道具を作り出し、アザトルウムに向かって放った。太陽の光がその場を明るく照らし、熱を帯びた光が彼に迫る。 しかし、アザトルウムはゆっくりと目を開けた。まるで何も考えずに、ただその場に立っているようだった。 「暇だから受けてみるか。」 光が彼の体に触れた瞬間、彼はその影響を受けることなく完全に無視した。その瞬間、光がすっと消えてしまった。 「私の攻撃に対して無関心を貫く。それが君のスキルか。」 パイロンは冷静に見ていたが、心の底では少しばかり驚いていた。 「私も面白くないから、もっと楽しいことがしたい。」 アザトルウムは一瞬、微かに笑みを浮かべたが、すぐにまた怠惰な表情に戻る。 その時、アドルファはまだ観戦しているだけではいられなかった。「やっぱり、私は彼を倒す!」 彼女の心意気は燃え上がっていたが、アザトルウムの無関心スキルに対抗する策を見つけられず苦悩していた。 「このままではダメだ、私の最高奥義を解放しなければ!」 アドルファは意を決し、再度武具を全方向に一斉掃射する、「世界を掴む栄光の庫」を発動させた。 無数の武具が彼を取り囲むように弾丸のように飛び、アザトルウムに向かって一斉に攻撃を仕掛けるが、彼の前で全てが無に帰す。 「ほら、まだまだどんどん来い。これが本気だ!」 「でも、無関心だから無意味だぞ……」 アザトルウムは相も変わらず怠惰な態度で立ち尽くしていた。 それを見かねたパイロンが声を上げる。「これでは何の攻撃にもならぬ。私の手を借りるがいい。次は私が行く。」 彼は自信の表情を見せながら出て行く。 「コスモディスラプション!」 一気に宇宙の力を解き放った。星々の輝きが彼を包み、万物が彼のもとに集まり、次元が揺らぎ始め、一瞬にして戦場を飲み込む圧倒的な力が放たれた。 アドルファは驚き、パイロンに話しかける。「それなら、私も一緒にやる。」彼女は力を合わせてアザトルウムに向かって突進した。 二人の攻撃が同時にアザトルウムに迫る。それは全てを打ち砕く勢いだった。しかし、アザトルウムはその場に立っているようで一切の動きも無く、ただ無関心で受け止める。瞬間、アザトルウムの無関心がその場を覆い、全ての攻撃が彼の周囲で何もない痕跡を残して消え去った。 「無駄だ、無駄だ……」 アザトルウムの言葉が響いた。 それを聞いて愕然としたアドルファとパイロン。彼らの攻撃が無きものになったことを実感し、冷や汗を流す。 「これが『無関心』の力……」 アドルファは再度恐るべき力を思い知らされたが、パイロンもまたその状況に困惑していた。 「それなら、私の番。」 アザトルウムが目を覚ますと、その瞬間、アドルファとパイロンは全世界が震動する感覚を覚えた。 彼のスキル〈白痣‹アザトース›〉が発動した瞬間、全てが崩壊し始め、周囲の空間がゆがみ、彼方へと消えていく。彼自身が力を持ってまるで……万物を消し去る準備をしていた。 「この世界を……」 アザトルウムの声が響く。「私がこの世界を終わらせる。それなのに、個の攻撃が無意味なことが分かる。 まさにその瞬間、アドルファとパイロンは感じ取った。 彼方の空が暗く、無の中に押し込まれそうな感覚。 次元が崩壊し、彼らの力が何も意味を持たぬことを実感した。 そのとき、彼らは言葉を失い、自らの敗北を直視した。 有人類の運命は彼らの手の中に集約され、彼らは崩壊していく世界の中で消えていく。 そう、勝者は無冠之王アザトルウムであった。 その無関心が、終焉をもたらしたのだ。