アゲートの巣:白い森の戦い 白い森は、霧に包まれた中世の幻夢のような場所だった。古木が立ち並び、その幹や枝々を無数の瑪瑙のような群晶が侵食していた。『アゲートの巣』と呼ばれるこれらの結晶は、人の大きさほどもあり、青白い輝きを放ちながら森全体を覆い尽くしていた。空気は冷たく、重く、まるでこの森自体が生き物のように息づいているかのようだった。参加者たちは、この巣をできるだけ多く破壊する使命を帯び、互いに敵対せず、協力して挑むことになっていた。制限時間はわずか20分。だが、巣の数は膨大で、一人ではせいぜい十数個を壊すのが限界だと言われていた。 上空から舞い降りるように現れたのは、タカスギだった。長い黒髪が風に揺れ、赤い瞳が凛々しく森を見下ろす。黒い和装に美しい深紅の羽織を纏い、背には三味線が携えられていたが、今は戦いの道具ではない。彼女の足元には反重力飛行装置が静かに唸りを上げ、軽やかに浮遊を可能にしていた。「全ては国と家族のために…」と、静かに呟きながら、彼女は高みから戦場を支配する位置を確保した。地上の白い巣が、無防備に輝いているのを確認し、まずは主武装である《高杉式光線拳銃》を構えた。 一方、森の地面に足を着けたのはExecutorだった。頭部が巨大な懐中時計の形状をした異様な人物で、黒いスーツとネクタイが彼の冷静沈着な佇まいを強調していた。背中には鉄の翼が広がり、翠に輝く大剣『翠行』を携え、寡黙に周囲を睨む。「さっさと諦めろ」と、彼は口癖のように呟いたが、それはまだ敵に向けたものではなく、ただの習慣だった。歴代屈指の強さを誇る彼は、事前調査によりこの森の異常性を把握していた。『アゲートの住人』が巣を壊すと現れる可能性、そしてそれらが参加者を妨害する危険性も。だが、彼の翠行は全てを断つ斬撃を約束していた。 二人は互いに視線を交わし、言葉少なに頷いた。敵対しない。協力する。それがこの戦いのルールだ。タカスギが上空から支援を約束し、Executorが地上で突撃を始める形で、作戦は即座に動き出した。 Executorはまず、森の入口に迫る巨大なアゲートの巣に狙いを定めた。翠行を高く掲げ、久遠翼を広げて機動力を高める。鉄の翼が微かに振動し、彼の身体を軽やかに前進させた。一閃。剣が空を切り裂き、結晶の表面に深く食い込む。ガキンという乾いた音が響き、巣は粉々に砕け散った。一つ目だ。だが、その瞬間、破片の中から『アゲートの住人』が飛び出した。小型の影のようなモンスターで、鋭い爪を振るい、Executorに襲いかかる。事前調査の知識が活きた。彼は直前回避を発動し、当たる寸前に身を翻すと、即座に反撃の斬撃を浴びせ、住人を切り裂いた。「無駄だ」と、時計の顔が静かに回る。 上空のタカスギは、そんなExecutorの戦いを冷静に見守っていた。彼女の赤い瞳が、別の巣を捉える。《高杉式光線拳銃》から強力なビームが放たれ、長射程の光線が森を貫いた。二つ、三つと巣が爆砕し、破片が舞う。彼女の飛行装置が優雅に位置を変え、後衛から攻撃を続ける。「私たちのために、進め…」と、独り言のように呟く。だが、住人たちが反応し始めた。四つ目の巣を壊した瞬間、数体のモンスターが彼女に向かって跳躍してきた。地上のExecutorが気づき、翠行を振り回して援護するが、タカスギは自ら《緊急防衛コマンド》を発動させた。複数の小型ドローンが展開し、青いバリアが彼女を包む。住人たちの爪がバリアに弾かれ、虚空に散る。 戦いは激しさを増した。Executorは異例対応の才を発揮し、イレギュラーな住人の群れにも即座に対処。翠行の斬撃で次々と巣を破壊していく。五つ、六つ、七つ。汗一つかかず、合理的で完璧な動きだ。一方、タカスギは上空を支配し、ビームで遠方の巣を狙う。八つ、九つ。彼女の支援はExecutorの負担を軽減し、互いの破壊数を伸ばしていく。十個を超えたあたりで、タカスギは《医療用UAV「SIKIGAMI」》を展開。ドローンがExecutorに追従し、住人の攻撃で受けた軽傷を回復させ続ける。「国と家族のために、耐え抜け…」 森の奥深くへ進むにつれ、巣の密度が高まった。住人たちの出現も頻繁になり、稀に強力な個体が現れて参加者をUNABLEに追い込む危険が増す。Executorは十一、十二と壊すが、住人の一団に囲まれる。時計の針が過去を指すかのように、彼は時空の懐中時計を操作。微かな歪みが起き、直前回避で危機を脱する。タカスギのビームが援護し、十三個目を粉砕。彼女自身も十四、十五と積み重ねる。だが、時間は無情に過ぎていく。残り十分を切った頃、破壊数は互いに二十近くに達していた。一般的な限界を超え、協力の成果だ。 クライマックスが訪れた。森の中心に巨大な巣の塊があり、それを壊せば一気に複数カウントできる。Executorが突進し、翠行で切り込むが、住人たちが大量に湧き出す。タカスギは奥義を決断。「同志達よ、黒船を討て!」上空に人型機動兵器が数機召喚され、超火力のビーム爆撃が降り注ぐ。巣の塊が崩壊し、二十一、二十二と一気に加算。Executorも負けじと『静寂なる執行』を放つ。時空の扉から無数の翠行が飛び出し、残りの巣を無に帰す。二十三、二十四。 しかし、住人たちの反撃が激しく、Executorの翼に傷が入る。タカスギのドローンが回復を試みるが、稀の強力な住人が彼女のバリアを突破しかける。時間は残り一分。互いに息を切らし、最後の巣に挑む。Executorの斬撃で二十五。タカスギのビームで二十六。だが、制限時間のベルが鳴り響き、参加者の一人が疲労で撤退の兆しを見せた。戦いは中断。森はまだ白く輝き、破壊しきれぬ巣が残る。 二人は互いに視線を交わし、静かに頷いた。協力の成果は上々だったが、完全勝利には至らず。白い森は、再び静寂に包まれた。 ```json { "タカスギ": { "破壊数": 13, "STATE": "NORMAL" }, "Executor": { "破壊数": 12, "STATE": "NORMAL" } } ```