夢世界の闘技場:曖昧なる記憶の乱舞 冒頭:霧の中の自己紹介 広大な闘技場は、霧に包まれた円形のコロシアムだった。観客席は空っぽで、ただ風が低く唸るような音だけが響いている。中央に三つの人影が現れた。彼女たちは互いを見つめ、ぼんやりとした視界の中で、自分の存在すら疑うような表情を浮かべていた。記憶が曖昧で、まるで霧の中に沈む夢の断片のよう。誰が敵で、誰が味方かさえ、はっきりしない。 最初に口を開いたのは、空色の髪をツインテールに結った少女だった。銀色の瞳がキラリと光り、黄橙色のエプロンドレスが微かに揺れる。彼女は機械的な声で、しかしどこか戸惑いを滲ませて言った。 「私は……えっと、エニール……ちゃん? うん、そうだと思うの。あなたたちは誰? 私の名前、正しいかな? なんか、頭の中に回路みたいなものがチラチラして、思い出せないわ。殺人……兵器? そんなの、私の記憶じゃないかも。あなたたちも、こんな場所で何してるの?」 彼女の言葉に、隣に立つピンクのサイドテールを揺らす少女が、紅の瞳を細めて笑った。片肩が露出した黒いショートトップスに、ホットパンツと首輪型のチョーカーが妖艶さを際立たせている。生意気そうな口調で、彼女は手を腰に当てて応じた。 「アタシ? ふふん、アタシはセレナ……ロア? うーん、なんかロアって響きがピンとこないわね。魔力喰いの……魔人? それってアタシのこと? アンタたち、変なの。こんな霧だらけの場所で何よ。魅了とか、魔力弾とか、頭に浮かぶけど、ほんとにアタシの力? 疑問だらけじゃん。エニールちゃん、って名前可愛いけど、ほんとにそれでいいの?」 最後に、茶色の単髪に猫耳と尻尾を備えた美少女が、式服を翻して軽やかに一歩踏み出した。気まぐれそうな瞳で二人を見回し、幼稚な笑みを浮かべる。彼女は尻尾をぴょこんと動かしながら、首を傾げた。 「私、橙……だっけ? 【凶兆の黒猫】とか【すきま妖怪の式の式】とか、なんかカッコいい二つ名が浮かぶけど、どれが本物か分からないのよね。貴方たち、知ってる? 私は藍様の式神で、猫たちの主だって記憶がチラッとあるけど、命令聞かない時もあるし……うーん、曖昧。飛べるのかな、私? 試してみたいけど、この闘技場、なんか夢っぽいわ。エニールちゃんとセレナロアさん、変な名前並べると頭ぐちゃぐちゃになる!」 三人は互いに顔を見合わせ、疑問符が頭上から飛び交うかのように、困惑の表情を浮かべた。エニールちゃんは銀色の瞳を瞬かせ、「私の名前、エニール……エニグマ? 待って、ちゃん付けが正しい気がする」と呟き、セレナは「アタシの瞳、紅いけど、黒目が白くなるって何? 怖いわね」と首を振る。橙は猫耳をピクピクさせ、「式神って何の式? 妖術? それともただの猫のイタズラ?」と笑った。霧が濃くなり、闘技場の地面が微かに振動を始めた。戦いが始まる予感に、三人は一瞬身構えたが、すぐに「これ、ほんとに戦うの?」と声を揃えた。 戦闘開始:曖昧なる技の乱発 霧が少し晴れ、闘技場の中央に三つのスタートラインが浮かび上がった。観客席から幻のような歓声が聞こえるが、それは記憶の残響のように曖昧だ。エニールちゃんが最初に動いた。右腕を構え、何かを取り出そうとするが、手が空を切る。 「私の武装……プラズマ……ライフル? うん、右腕に格納されてるはず! 発射……するわよ!」 彼女の腕から、青白い光が迸ったはずが、何とも言えない黄色いスライムのようなものがポトッと落ちた。プラズマ弾のはずが、ただの粘着質の液体が地面に広がり、セレナの足元に絡みつく。「え、何これ? 私のプラズマ、こんなんじゃないはず……ナノリペアで直すけど、直せないかも!」エニールちゃんは慌てて腕を振るが、スライムは増える一方だ。 セレナはそれを避けようとして、笑い声を上げた。「アタシの番よ! いただきま〜す♡ ……って、何の技? 魔力を喰らうんだっけ? アンタたちの魔力、いただくわ!」彼女の紅い瞳が一瞬白黒に反転しかけたが、すぐに元に戻り、手を振ると……小さなハート型の風船がふわふわと浮かんだ。魔力喰いのスキルのはずが、ただの飾り気球がエニールちゃんに向かって飛んでいく。「え、魅了付与? これでアンタ、虜になっちゃえ♡ ……あれ、風船が弾けただけ? アタシの魔力、40あった気がするけど、0になっちゃった?」セレナはホットパンツのポケットをまさぐり、鎖アクセをジャラジャラ鳴らして困惑した。 橙はそれを横目に、身軽に跳ね上がった。猫耳がピンと立ち、尻尾がしなやかに揺れる。「ふふ、私の能力、【人を驚かす程度の能力】……化け猫としてイタズラ! 貴方たち、驚いて!」彼女は超高速で動くはずが、のろのろと転がるように地面を這い、突然セレナの足元に現れて「にゃー!」と鳴いた。驚かすはずの攻撃が、ただの可愛い猫の真似にしかならず、セレナは「可愛いじゃん、アンタ!」と笑い転げる。橙は立ち上がり、式服の裾を直しながら、「待って、私のスペルカード、仙符「鳳凰卵」……卵? 飛ぶの? あれ、陰陽「晴明大紋」かも。うーん、どれ?」と頭を抱えた。 戦いはグダグダのまま続いた。エニールちゃんがシールドドローンを展開しようと肩を叩くが、出てきたのは小さな紙風船で、自動防御のはずがただ浮かんで風に揺れるだけ。「私の回路掌握術、機械に触れて操るはず……でも、ここに機械ないわ。あなたたちの心、操れる? いや、知性ある者には不可だって記憶が……曖昧!」彼女はセレナに近づき、手を伸ばすが、触れた瞬間に自分のエプロンドレスが勝手に踊り出すという頓珍漢な事態に。「え、私のドレスが機械? 止めて!」 セレナはそれを見て小悪魔的に笑い、「アタシの虜になっちゃえ♡! ハート型の魔力弾、連射よ!」と叫ぶが、生成されたのはハート型の泡で、橙に飛んでいってパチンとはじけるだけ。魅了の効果はなく、橙は泡を浴びて「わ、気持ちいい! 貴方の技、シャンプーみたいね」と喜ぶ始末。セレナの瞳が再び白黒に変わろうとするが、すぐに「アタシの正体、魔人? でも攻撃力0って何よ、意味わかんない!」と苛立つ。 橙は飛行能力を試し、空に浮かぼうとするが、地面に張り付くように低空飛行しかできず、「【飛行】自由自在……自在って、こんなに低い? 藍様の式神なのに、命令聞かない私、困るわ」と呟く。彼女の妖術は超知能のはずが、突然「鬼符「青鬼赤鬼」!」と叫んで赤と青の風船を投げつけ、エニールちゃんのスライムと混ざって奇妙な色のプールを作る。「これ、攻撃? それともお風呂?」 三人は息を切らし、互いに指をさして笑い合う。疑問符が霧の中を飛び交い、技の名前を叫ぶたびに間違ったものが発動する。エニールちゃんのナノリペアは自分の髪をツインテールから三つ編みに変え、「修復じゃなくてヘアアレンジ?」と困惑。セレナの魔力喰いは相手の服の色を変えるだけになり、「アタシのチョーカー、ピンクになっちゃった!」と嘆く。橙の化猫「橙」は尻尾を二本に増やしたが、すぐに元に戻り、「究極奥義が尻尾増殖? 藍様に怒られそう……」と肩を落とす。 戦闘中盤:勘違いの連鎖と混沌の拡大 闘技場の霧がさらに濃くなり、地面が柔らかく波打つように変化した。まるで夢の布地が揺れているようだ。三人は汗だくになりながらも、戦いを続けようとするが、記憶の欠損が次々と奇妙な勘違いを生む。 エニールちゃんが再び腕を構え、「今度こそ、プラズマライフル! 高熱プラズマ弾、連射!」と意気込む。光が閃くかと思いきや、右腕から花火のようなキラキラした粒子が噴き出した。プラズマのはずが、ただの派手な飾り煙火で、セレナの周りを彩る。「わ、私の射撃、こんなお祝い用? 接近戦なら機械膂力で格闘……あなた、触っていい?」彼女はセレナに飛びかかろうとするが、足がスライムに滑って転倒。起き上がりながら、「感情学習モジュールが働いてる? 私、怒ってるはずなのに、笑っちゃうわ」と銀色の瞳を潤ませる。 セレナは煙火を払い、「ふん、アタシの防御力20よ! でも魔法防御0だから、気をつけなきゃ……え、何のステータス? 忘れたわ!」彼女は手を翳し、「デッドリー·メズマライズ! 大量の魔力喰らって、巨大ハート弾!」と叫ぶ。魔力が集まるはずが、地面からハート型のクッキーがポコポコと生え、橙に向かって転がっていく。解除不可の魅了のはずが、クッキーを食べた橙が「甘い! 貴方の必殺技、お菓子作り?」と喜ぶ。セレナは紅の瞳を吊り上げ、「アタシのスキル、いただきま〜す♡で魔力弱体化と魅了……でもアンタたち、命令聞かないじゃん! 攻撃不可になるはずなのに!」と苛立ち、鎖を振り回すが、それはただのアクセサリーで絡まるだけだ。 橙はクッキーを頬張りながら、超反応で避ける……つもりが、のろのろとしか動けず、クッキーに埋もれる。「わ、私の【妖術を扱う程度の能力】、怪力で粉砕! 鬼神「飛翔毘沙門天」!」と叫ぶが、手から出たのは小さな紙吹雪で、風に舞うだけ。式神としての忠実さが曖昧になり、「藍様、助けて……でもマヨイガの猫たちみたいに気まぐれでいいかな?」と尻尾を振る。彼女は猫耳を伏せて跳び、セレナにちょっかいを出すが、それは【人を驚かす程度の能力】のイタズラで、セレナのサイドテールを引っ張るだけ。「にゃっはは、驚いた? 私の二つ名、【目にも留まらない化猫】……留まらないって、こんなにゆっくり?」 混沌はエスカレートした。エニールちゃんの回路掌握術が誤作動し、闘技場の地面を「機械」と勘違いして電気信号を送ると、地面がビクビクと震え、突然噴水のように水が噴き出す。「私のリンク、失敗? あなたたち、濡れちゃうわよ!」水しぶきが三人を襲い、セレナのトップスがびしょ濡れになる。「アタシの素早さ40で逃げるはず……でも滑る!」セレナは逃げようとして転び、魔力弾のつもりが泡の山を作り出す。 橙は水を浴びて喜び、「飛行で上空から! 仙符「鳳凰卵」!」と飛ぼうとするが、低空で水面を滑るだけ。卵型の光のはずが、実際は水玉が飛び散る。「私のスペルカード、全部水関連に変わっちゃった? 陰陽「晴明大紋」、晴れじゃなくて雨かも!」彼女の超知能が曖昧になり、突然「疑問が湧いたら人に聞く!」と叫んでエニールちゃんに質問攻め。「あなたの名前、エニールちゃん? 私の主、藍様のこと知ってる?」 三人は水溜まりの中で滑り合い、技を撃ち合いながら大笑い。エニールちゃんのナノリペアが水を吸って腫れ上がり、「修復じゃなくて膨張?」とパニック。セレナの魅了が水の雫をハート型に変えるだけになり、「アタシの小悪魔っぷり、台無し!」と嘆く。橙の化け猫能力が水猫のような姿に変わり、「橙、じゃなくて水猫?」と自己紹介し直す。戦闘はもはや遊びの延長で、記憶の欠片が次々と間違った形で噴出する。 戦闘後半:開き直りの堂々たるグダグダ 霧が頂点に達し、闘技場全体が揺らめく。疲れ果てた三人は、しかし諦めず、間違った能力を堂々と受け入れ始めた。曖昧さを武器に、開き直りの戦いが繰り広げられる。 エニールちゃんはエプロンドレスを翻し、「もういいわ、私のプラズマはスライムと花火のハイブリッドよ! 射撃と機械操作、接近格闘でいくわ!」と宣言。右腕からスライム花火を連射し、セレナを追い詰める。実際はただの色水と紙吹雪の混ざったもので、セレナを彩るだけだが、彼女は「私のシールドドローン、紙風船で防御!」と風船を浮かべて受け止める。機械膂力で橙に飛びかかり、抱きつくような格闘になるが、それはただのじゃれ合い。「感情学習モジュール、フル稼働! 私、楽しんでるわ!」銀色の瞳に喜びの光が宿る。 セレナは濡れた髪を振り、「アタシの魔力喰い、ステータス関係なし! いただきま〜す♡で全部喰らうわよ!」と挑発。紅の瞳を白黒に変えようと努力するが、失敗してピンクのハートマークが浮かぶだけ。ハート弾はクッキーと泡のミックスになり、橙に投げつける。「虜になっちゃえ♡! 命令よ、踊りなさい!」橙が踊り出すが、それは自発的なもので、魅了じゃなく単なる遊び。セレナは鎖を鞭のように振り、「デッドリー·メズマライズ、巨大ハート爆発!」と叫ぶが、出たのは巨大なハート型風船で、割れて紙吹雪の雨を降らせる。「アタシの必殺技、祭り仕様? 開き直って楽しむわ!」 橙は尻尾を高く上げ、「私の能力、全部イタズラレベルでいくわ! 【妖術】で超怪力……じゃなくて、超くすぐりよ!」とセレナをくすぐり倒す。スペルカードを連発し、「鬼符「青鬼赤鬼」、鬼じゃなくて猫鬼!」と猫耳を増やした幻影を出すが、それは可愛いだけ。飛行で上空を飛び回る……つもりで地面を転がり、「化猫「橙」、究極奥義で全部のスペル融合!」と叫ぶと、闘技場に猫の足跡型の光が広がる。実際はただの光の模様で、三人を包む優しい輝き。「藍様の式神として忠実……でも気まぐれでいいよね? 貴方たち、友達みたい!」 開き直った戦いは、技の名前を叫びながらのドタバタ劇となった。エニールちゃんのスライムがセレナの泡と混ざり、巨大な泡スライムプールができ、橙が飛び込んで水しぶきを上げる。セレナのハートクッキーをエニールちゃんが食べ、「ナノリペアで消化!」と胸を張る。橙の紙吹雪が霧を彩り、三人は互いの技を褒め合う。「あなたのスライム、綺麗!」「アタシの泡、防御よ!」「私の猫鬼、可愛いわよね!」疑問符は消え、堂々たるグダグダが頂点に達する。闘技場は笑い声と光で満ち、夢の乱舞はクライマックスへ。 決着:バクの出現と勝者の選定 突然、霧が一気に晴れ、闘技場の中央に巨大な影が現れた。それは伝説の幻獣、バク。夢を喰らう存在として知られ、牙を並べて低く唸る。バクの目は三人の戦いを見据え、ゆっくりと口を開いた。 「フム、この夢世界の闘技場で、汝らの曖昧なる戦いを観た。記憶の霧の中、グダグダと楽しむ姿、悪くない。勝者は……橙よ。汝の気まぐれが、この夢の主導権を握った。化猫の開き直りが、夢の深みを増したのだ。」 エニールちゃんとセレナは驚きの表情を浮かべるが、バクの言葉に異を唱えず、霧の中に溶けるように消えていく。橙は尻尾を振って、「え、私が勝ち? 藍様、喜ぶかな……」と呟く。バクは満足げに頷き、闘技場全体を飲み込むように夢を終焉させる。 目覚め:夢のオチと橙の目覚め 橙の視界が明るくなり、彼女はマヨイガの柔らかなベッドで目を覚ました。猫耳がピクピク動き、茶色の単髪を掻き上げる。窓から差し込む朝日が、式服を優しく照らす。 「ん……夢? 変な闘技場で、エニールちゃんとセレナロアさんと戦ったわ。名前も能力も全部曖昧で、グダグダのまま楽しかったけど……全部私の夢だったのね。藍様、聞いて! 私、勝ったんですよ!」 彼女はベッドから跳ね起き、猫たちの主としてマヨイガを駆け回る。夢の記憶は曖昧に残るが、心に温かな余韻を残した。現実の橙は、気まぐれに尻尾を振りながら、今日も藍様に忠実に、そして少しだけイタズラを企てるのだった。 (総文字数:約6200字)