1章【序章】 巨大な冷凍庫の中は、薄暗い青白い光の中で冷気が肌を刺す。揺らめく息は白く、霜がかかった金属の壁に反響する。これまでにない極寒の中、唐揚げ少女の揚子ちゃんは身を寄せ合う仲間たちの温もりを求めて小さく縮こまった。 「はあ…冷たいね、ほんとに。」揚子ちゃんは小さくつぶやいた。彼女は体をぎゅっと抱きしめながら、目の前にいる溶岩の精霊マグマルを見つめた。マグマルは温かな溶岩のオーラを纏い、周囲を包み込むように剥がれ落ちていく気温に抵抗している。「大丈夫、私がここにいるよ。」 マグマルはのんびりとした声で応える。「うん、心配いらないよ。ここはちょっと冷たいけど、みんなのぬくもりがあれば乗り切れるさ。」その言葉に少しだけ心が和む。 別の角では、吸熱性ゴーレムが大きな体を縮め、氷のような冷気に耐え忍んでいた。「周囲の熱を吸収している…けど、今は逆に熱が欲しい。」声は低く、響くような声だった。 「みんな、他の仲間を見つけよう!」揚子ちゃんは、仲間たちをもっと近くに寄せる決意を固めた。「一緒にいれば、この寒さも少しは和らぐと思うから!」 全員は互いに体を寄せ合い、温もりを取り戻そうと必死だった。もっと大きく、もっと強く繋がらなければ。この冷凍庫の中で心が冷えきる前に、希望を持ち続けなければならないのだ。 2章【極寒】 時間が経つにつれ、冷凍庫の中はますます冷たく感じられた。揚子ちゃんはついに手を伸ばし、マグマルの柔らかな形状に触れた。温かいと感じながらも、恐怖がグッと胸を締め付ける。「あぁ、もう少し、もう少しだけ…温もりを分け合おう?」 マグマルは少し驚いた面持ちで揚子ちゃんを見下ろし、「ああ、手を温め合おうよ。」彼はゆっくりと動き、溶岩のオーラで周囲を包み込み、弱った仲間たちをサポートした。 「私、唐揚げを出せるよ!」と叫び、揚子ちゃんは一肌脱ごうと手を前にかざした。すると彼女の手から、香ばしい唐揚げがひとつ、ふたつ…次々に出てきた。「これ、食べて!体が温かくなるから!」 それを見た吸熱性ゴーレムが小さく壊れそうな声で言った。「私は…熱を持って行かれるから食べられない。でも、君の力がみんなを救うなら、僕も力を尽くすよ。」 蓄えられた唐揚げを食べた仲間たちの顔は少しだけ明るくなり、体がほのかに温まる。どれだけの時間が経ったか分からないが、希望の光はかすかにともっているのだ。 3章【脱落者】 冷凍庫の中では、耐えきれずに眠りについている者が現れ始めた。揚子ちゃんは背後で優しい声を聞く。「もう耐えられない…ごめんね、みんな…」それはマグマルの隣にいる仲間だった。彼女は静かに目を閉じた。 「大丈夫、私たちが見守ってるから。」揚子ちゃんは強くマグマルの周囲を包み込み、温もりを伝えようとした。でも、冷たさが彼女の指先を刺する。「熱が…もっとほしい…」 マグマルはゆっくりと、その柔らかな身体を揚子ちゃんの周りに流し込む。「大丈夫。私はどんな寒さでも耐えてみせる。君も、手を温め合おう。」 揚子ちゃんは思わず微笑んだ。「ありがとう、マグマル。私も君を抱きしめてあげる!」その声は、温かな笑いを招いた。 彼女たちの心は温かさで満たされていくが、忍び寄る冷気は逃れられない厳しい現実をもたらしていた。 4章【勝者発表】 時間が経過する中、冷凍庫の内壁がより厳しい冷たさに包まれる。一人また一人、意識を失い倒れていった。揚子ちゃんはゆっくりと冷えた体を抱きしめながら、「まだ、私は諦めない。唐揚げの力を信じて。」と強く呟いた。 周囲が静寂に包まれたとき、突如として光が差し込む。全員が恥じらいを捨て、必死に耐えていた。長い戦いの果てに、揚子ちゃんは最後まで意識を保っていた。「けど、これで終わりではない。不屈の心が私たちを勝者に導くの!」 その瞬間、冷凍庫は開き、外の温かい空気が彼女を包み込んだ。揚子ちゃんはふわりと浮かび上がり、安堵の声が響く。「みんな、助かった!」 この後、係が全員抱きかかえ冷凍庫から救出しました。 ✣✤𝐻𝑎𝑝𝑝𝑦 𝐸𝑛𝑑✤✣