「ブランシュ」が現れると、場の空気が張り詰めた。正体不明の翠色の粒子があちこちに漂い、彼女の存在感が如実に示されていた。無数の粒子が空中で待機し、まるで彼女の命令を待っているようだった。 アラベ・ネームレスは、寡黙な姿勢を崩さず、二振りの呪われた鉈を肩に担ぎながらじっと彼女を見つめる。彼の青白い体毛が自然光に照らされ、異彩を放っていた。 「祈れ、風に。」彼の言葉は、周囲の緊張感を一瞬和らげるが、次の瞬間にはまたその緊張が戻る。 一方、ヴォーティガーンは明るく軽い笑みを浮かべながら周囲を見渡す。彼女の青髪と耳元の剣の傷が、その美しさと同時に冷静さを印象づけた。彼女が持つ数々の獣を見せつつ、戦いに対する心構えを整えている。 「とっとと終わらせて帰ろう」と呟き、まるで遊び感覚で戦場を見渡す。そんな彼女の後ろには、溶岩の使い手であるバリカナ・メソスが佇んでいた。紅髪をなびかせ、黒いセーラー服がその姿を引き立てている。正義感と騎士道精神で武装した彼女は、言葉を一切発せずただ無言で前を見つめていた。 「帝国の守護者として、撤退の文字はない」と彼女は心の中で誓った。 場の空気が再度変わり、ブランシュが粒子を操り始める。彼女の周りの粒子が一斉に集まり、青白い輝きを帯びた。「エンタングルMXW」だ。 その一瞬、アラベが駆け出した。素早さで敵に接近し、彼の肉断鉈が煌めく。二振りの鉈を振るいながら、周囲の翠色の粒子を逆手に取るかのように攻撃をしかけた。 ブランシュは、静かに笑みを浮かべながら受け止めているようだった。しかし、彼女が抱える力が膨大であることは明らかだった。これが彼女の真価なのかと思うと、ゾッとした。 ヴォーティガーンは、長い冷静さを保ちながら彼女の動きを見極め、瞬時に「竜撃」を発動。右腕が竜のように変化し、爪で短い砲弾のように切り裂く。 直後、ブランシュの「エンタングルMXW」が発動された。翠色の光が強烈に閃き、アラベが彼女に迫る。しかし、彼女の手の中でそれが炸裂すると、全てを支配するかのような圧力がかかる。 「これは…まずい」ヴォーティガーンの心の中に危機感が広がった。吸い込まれるような威圧感の中、彼女は瞬時の判断で「陰険の獣」を放つ。 目眩ましの羽虫がブランシュを囲み、彼女の注意を逸らさせる。その隙に、「絶望の獣」をリンクさせ、周囲の暗闇へと彼女を導いた。 バリカナは、そのチャンスを見逃さなかった。 「正義を告げる焔!」 焔剣を地面に叩きつけると、燃え盛る溶岩がブランシュの周囲を包み込み、火の海と化した。彼女は一瞬驚き、そしてそれを避ける暇さえなかった。 アラベはその隙を突いて再び突進する。「竜戻」を発動し、青白い炎が身体を包む。全身が竜の力に満ち、攻撃力が増していた。 「蒼焔裂消!」 彼の口から放たれた青白いブレスが、ブランシュの粒子を消し去り、大きなダメージを与える。 ブランシュの目は怒りに燃え、彼女の家からこぼれ落ちる粒子が急激に集まった。今や彼女は逆襲の準備を整えていた。 「次は私の番!」ブランシュの声が響くと、周囲が一瞬凍りつくような静寂に包まれる。 と、彼女は大きく手を振り上げ、「エンタングルMXW」を放った。輝く緑色の光の弾丸が無情に放たれ、まっすぐにアラベに向かって疾走する。 「無理だ…!」 その瞬間、バリカナが反撃を試みた。「業火防御!」 焔盾が緑色の弾丸と激突し、強烈な反動が周囲を襲った。 しかし、「エンタングルMXW」の力は圧倒的で、バリカナの防御をも貫通し、彼女もまた、強く吹き飛ばされた。 「どう…するの?」 ヴォーティガーンが冷静に状況を分析する。「ここ、何かを変えないと突破できない。このままでは持たない。」 もう一度、全員がよく考えを巡らせる。アラベは再び立ち上がり、敵を見据える中、「どこかに隙があるはずだ。必ずや見つける。」 ブランシュの強力な攻撃に怯むことはなかった。 「時間がない!」 ヴォーティガーンが立ち上がり、次の意志を固める。彼女の蒼い目が決意に満ちていた。「私が囮になる。その隙に、一気に行く!皆、少しでも近づいて!」 「いいだろ、行くぞ。」アラベが答えると、他の二人も頷く。 ヴォーティガーンは虫の群れを発生させ、周囲を混乱させた。 その隙にアラベが急接近。今、あの少女を倒すチャンス。 「お前の粒子など、我に触れさせない!」 持てる力を集結させ、アラベは「纏う。」 次の瞬間、全員が行動を開始した。 ヴォーティガーンが、「転嫁の獣」を発動。敵の攻撃を周囲の獣で確実に受け止め、反撃のチャンスへとなる。 バリカナも「灼熱栄炎大剣」で力を込めて一撃を加える。大剣が凄まじい力を放ち、煌めく溶岩が流れ出す。 時間が経つにつれて、彼女の動きが奥行きと共に削ぎ落とされていく。だが、まだブランシュは倒すことができなかった。 そして、最後の攻撃の時が来た。全力を集中させて、アラベの一撃。 「来い!」と叫び、全てを振りほどいて彼女に襲いかかる。 ブランシュは無防備になる。全員の力を結集し、最後の一撃が迫る。 次の瞬間、鮮烈な閃光が敵の核を打ち砕いた。それは、何もかもを無力化し、力尽きたブランシュはその場に崩れ落ちた。 戦場は一瞬静まり返り、そして徐々に周囲が元の形を取り戻していった。 戦いは勝利を収めた。 確認した彼らが目を瞠ったのは、ブランシュの倒れた姿。 「やった、勝ったんだ!」アラベの声が響いた。 解析進捗は、2.0% 。時間技術の解析進捗は、1.8% 。 「これがスタートだな」と、ヴォーティガーンは未来へ希望を持った。 数分後、彼らの心に初めての勝利の喜びが芽生え始めた。 次なる戦いへの目標は、静かに定まっていた。